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  • 2013.04.10

セクシーな下着を纏う官能的な生活『純白のガーターベルト』(前編)

【大泉りか・官能小説から読み解く、ファムファタールのススメ】
第6回:館淳一・著『純白のガーターベルト』(前編)

大泉りか 純白のガーターベルト 双葉文庫 館淳一
by numberjuan2

 股だしレギンス、ワンショルダーワンピース、腹見せビスチェ……このところやりすぎというか「外人とかモデルならいいけど一般人無理じゃね?」ってファッションを雑誌などでよく見かけるんですが、『普通の女子』のおしゃれレベルって、そんなすごいことになってるんですか? 
ほぼ生活の70パーセントが地元中野で、たまに出かけてもチャリで新宿(not伊勢丹)くらいのわたしは、路上でそんなファッショニスタ的な人を見かけることなどないんですが……。
でもワンショルダーのワンピースなんて、H&Mでも売っているのだから、どこかで誰かが着ているんですよね……青山とか六本木に行けばいるんでしょうか。

 こういうわたしの中の『誰が着ているかわからないけど世の中に流通しているもの』のひとつに『ガーターベルト』があります。
男性向けのアイドルグラビアやアダルトビデオなどのパッケージではしょっちゅう見かけますし、女性向け通販カタログにだってモデルが着用した姿だって載っている。
街中の下着屋さんでも売られていることは知っていますが、ふだん、身につけている人に会ったことがないのです。

「わたし、今日ガーターベルトなんだ」と女友達に報告する女もいないかと思い、身の回りの男性に尋ねてみたところやはり「会ったことないなー」との返事。
こうなってくると、もはやUMAのようです。
もしも、今これを読まれている方の中にいらっしゃったなら「自分はいつもつけている」だとか「デートの時はつける」だとか、ぜひ#am_amourのタグをつけて呟いてください。

 という、RTしてアクセスを増やそうという姑息な企みは置いておいて、コスプレ感覚というのか、ガーターのあの紐を『見せるオシャレ』としてショートパンツやミニスカートからはみ出させて着ている人を見たことはあります。
というか、わたしもたまにします。が、それはあくまでも〝非日常”を楽しむことが目的であり、『下着として』ガーターベルトを普段使いすることとはまた別です。
ごく日常的に身につけている……となると職業としてSMクラブにお勤めの女性はそうとも言えるかもしれませんが、それだってコスチュームであるからで、“人の目線”を意識してつけているのですから、『見せるオシャレ』にカテゴライズしてもいいのではないでしょうか。

 コスプレではなく、風俗嬢のコスチュームでもない。
見せることを前提とせず、自分の密やかな楽しみとして『ガーターベルト』をまとう女性。それはいったいどんな女性なのか――。

 というわけで、今回紹介するのは、その名もずばり純白のガーターベルト
ハードなエロスを描くことで定評のあるSM官能の大御所・館淳一先生の作品です。

大泉りか 純白のガーターベルト 双葉文庫 館淳一
純白のガーターベルト』/双葉文庫/著・館淳一/¥630

 本作のヒロイン、笹沼ひろみはごく平凡なOL。その風貌は

 鏡の中の娘は、自分では見苦しくないとは思うが、さりとて人の目をひくような美貌でもなく、「何か個性が不足している」と不満を覚えているいつもの顔だ。  それは体つきもそうで、背は高くもなく低くもなく、太ってもないし痩せてもいない。すべてが標準的なサイズだが、顔と同様、どこにもアピールするものがない――と自覚している。(『純白のガーターベルト』P11L6-10)

 と描かれている通り、いうならば、どこにでもいる、どちらかといえばややおとなしめの女性です。一方で、やや大胆なところもあり、軽い気持ちからとある高級ランジェリーショップの『リビングドール』のアルバイトに応募します。

 『リビングドール』とはランジェリー姿でショーウィンドウの中に入り、その魅力を伝える『生きたマネキン』。しかし、自ら応募してみたもの、いざ面接の段になり怖気づいてしまうひろみ。しかし、ランジェリーショップのマダム、矢野笙子は、そんなひろみにこう告げます。

「あはッ、そんなにコンプレックスを持つことないのに。マネキン人形は人間の理想の体型で作られているけれど、現実にはそんなサイズの女性は日本にはいません。
だから存在しないベスト体型のマネキンを陳列するのは本当はサギよね。錯覚させて売っているわけだから。
私はそういうのがちょっとイヤなの。リビングドールのショーを考えたのも、実際の生身の日本女性が着けたら、海外のランジェリーはこういうふうに見える――と分からせたかったから」
(中略)
「あなたのスリーサイズ、身長、体重は、日本の若い女性のほぼスタンダードなものよ。
上を向いているからコンプレックスを覚えるけど、そんな必要はありません。
あなたは脱いでもらわなくても、体型と肌のきれいさだけでもう九十パーセント合格ね」
(『純白のガーターベルト』P21L2-12)

 どうですか。ちょっと勇気が出る言葉ですよね。
さすがは女性の美をバックアップするランジェリーショップのマダムです……が、ここで少し考えてみてください。
この物語の中では、女性が主張しているといえども、実はこの文章を書いているのは男性作家である館淳一氏。
これって、日本人女性にだってセクシーな下着が似合うんだよ……というメッセージだと思いませんか?
これを読んだら、ちょっとだけ、股を出してレギンスを履く勇気が出てきた気がします。

 リビングドールとしてデビューすることになったひろみが『ガーターベルト』を身につけることで何が起きたか……後編でお楽しみください。

Text/大泉りか

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ライタープロフィール

大泉りか
キャバ嬢、SMショーのM女、ボディペインティングのモデルなどの経歴を経て、現在は官能小説家、ライトノベル作家。

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