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  • 2012.11.09

“ビッチ”な服装なら抵抗なくできるというのに、なぜ“清純派”を狙うことはできないのか『甘えないで』(前編)

大泉りか 官能小説 甘えないで
by Michael Benatar

清純派がモテると分かっていても、そこを目指したくない女たち

 「真剣に付き合うなら遊んでいない女がいい」とはよく聞く言葉。いくら時代は進化したと言っても男性はやっぱり“清純派”の女が好きなことには変わりはありません。

 しかしながら、“清純派”であることは、最も困難な女道のひとつ。年を過ぎれば経験が増えて世慣れた雰囲気になっていくと同時に、女はそもそもデコラティブ指向な生き物。『なりたい自分を目指して』せっせとネイルサロンに通い、靴ずれを作っても12センチヒールを常用する。そんな努力の末に“いい女”として振舞う自分が大好きなのです。

 しかし、そうしてやっとのことで、指が太いだとか、脚が短いだとかのコンプレックスを解消しているというのに、男性陣には受けるのは、素のままでも十分に美しい”清純派”の女性。

 「ずるい!!!」とやっかみをこじらせて、「実は人の彼氏に手を出すと有名」「元ヤンキーだった」などと確証ない噂話で“清純派女性”を貶めるくらいならば、自らもそこを目指せばいいだけの話……なのですが、多くの女はどうしてもそれができません。

 “ビッチ”な服装ですら抵抗なくできるというのに、なぜ“清純派”を狙うことはできないのか。それは女の目線が気になるからに尽きます。同性に“清純派を狙っているあざとい女”というレッテルを貼られることを何よりも恐れているのです
余談になりますが、一方で、ビッチファッションは、男に媚びているようで、実は女に媚びた服装です。女の大好きなコスプレ感がある上、“男の目を気にしない奔放な女”を演じれば、同性から敵扱いをされることもありません。

幸薄×色白×和風美人×人妻の主人公・優子から得る“そそる女”のヒント

大泉りか 官能小説 甘えないで
甘えないで (祥伝社文庫)/睦月 影郎 (著)/定価:600円

 話を戻しましょう。さて、今回ご紹介する一冊は、連載第一回目に相応しい官能小説界の大御所作家、睦月影郎氏の作品。400冊超の著書の中から、今年の7月に刊行された『甘えないで』(詳伝社文庫)を選びました。

 8編の短編が収録されたこの本書と同タイトル作品『甘えないで』のヒロイン、優子から“清純”が、いかに男性を虜にするかを学びたいと思います。

 ヒロインの伊村優子は、六畳一間に狭いキッチン、バストイレだけのボロアパートに住む人妻。ろくに仕事にもつかないろくでなしの亭主がいるため、駅前のデパ地下の食料品売り場でパートをしている三十歳前後、子はなく色白で万事に控えめな和風美人
しかし、毎晩、亭主に殴る蹴るの暴力を振るわれた上で、蹂躙される日々を送っています。

 優子の家庭は、おそらく裕福ではないはずです。お嬢様育ちっぽいから実家から仕送りを受けているかもしれない、と書かれているものの、デパ地下のパート勤めでは、収入は、せいぜい月に15万~18万程度でしょうか。
ボロアパートといっても都内でバストイレつきならば5万はすると思います。
それでパチンコに通えば夜は酒を飲む亭主と住んでいるのだから、生活は相当に厳しいはず。そんな優子の服装はブラウスにスカート。下着もブラジャーとパンティーとあっさり描かれているだけということは、特段変わった色味やデザインのものではないのことが推測できます。
それでいて、ほんのりと匂い立つような、つつましく清楚な色気を持つ女性。“大人かわいい”ならぬ“大人清楚”という言葉が頭の中に思い浮かびます。

優子のようなつつましい色気を醸し出すために、おしゃれすぎず、派手すぎない服装をあえて選んでみるというのも手かもしれません。

このヒロインが濡れ場でどのような痴態を見せるかは後編でお楽しみください!


Text/大泉りか

ライタープロフィール

大泉りか
キャバ嬢、SMショーのM女、ボディペインティングのモデルなどの経歴を経て、現在は官能小説家、ライトノベル作家。

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