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  • 2014.12.27

エロへの執念を感じる秘宝館での淫靡な体験/『むつごと秘宝館』(後編)

官能小説から、男性をその気にさせる方法を読み解く人気連載。今回は『むつごと秘宝館』(小玉ニ三・著)を紹介。主人公の園浦礼太郎は、伯父の営む鰻養殖場の営業マン。取引先の営業不振に見舞われて、旅館やホテルなどの新規開拓先を探して温泉地を回っているなか、三十路絡みの女性と老人のセックスを目撃してしまう!

4Pに耽る豊臣秀吉などのウイットの利いたエロマネキンたちはどこへ行くのか

大泉りか 官能小説
Leigh Harries


 すっかり定番化したサブカル趣味のひとつ、B級スポット訪問
その代表的巡礼地といえば、なんといっても秘宝館です。

 かつては昭和を代表したエロスポットも、時代の流れとともに廃れゆき、性交に励む仕掛けマネキンたちを観ることができる秘宝館の、現存する二館のうちのひとつであった鬼怒川秘宝殿が2014年末をもってついに閉館に。

 4Pに耽る豊臣秀吉や、出征前夜に妻とまぐわいを交わす武士といったウイットの利いたエロマネキンたちは、処分されてしまうのか、それともどこか然るべき施設に貰い受けられて、再び好事家たちの熱い視線を受けることとなるのか、どちらにしても、何かが終わる瞬間というのはいつも切ない。

 そういえば、奇しくも、ちょうどつい先日、コメントを寄せた某週刊誌の企画タイトルも、『廃れゆく[伝統のエロ産業]を行く』でした。
テレクラ、ブルセラ、ストリップ。どれも携わったことのあるエロ産業ばかりであることが余計に悲しい……というか、わたしもまた、廃れ行く伝統のエロ産業従事者のひとりだと思うと、不安な気持ちにならざるを得ません――が、このままだと、どんどんと話が暗い方向に進んでいきそうなので、ここらで、前編に引き続き、小玉ニ三・著『むつごと秘宝館』(竹書房ロマンス文庫)をご紹介したいと思います。

『むつごと秘宝館』小玉ニ三・著 秘宝館での淫靡な体験

大泉りか 官能小説 むつごと秘宝館 小玉ニ三
『むつごと秘宝館』/小玉ニ三(著)/竹書房ロマンス文庫

 ひょんなきっかけで秘宝島と呼ばれる廃れた観光島を訪れることとなった鰻養殖場の営業マン、園浦礼太郎。
そこで廃館となった秘宝館を目にする。ひとめで陳列されている人形たちの虜となった礼太郎は、その館のオーナーの娘であり、人形そっくりの美貌を持つ姫路沙織に修復を申し出る。やがて修復が終わると人形たちが動き出し――。

 あるブースの中では、乙姫は浦島太郎であろう逞しい老人から立ったまま、背後から挿入されて身悶えている。電気が通っているので、その人形たちは動いている。太郎の腰が延々と前後に動き続け、乙姫の尻の割れ目からパックリと覗いた実にリアルな女性性器の中に、これまた立派なペニスを出し入れしている。  乙姫の、たまらなさそうにしかめた顔が、実に生々しい。電気が通り、実際に女陰を貫かれている状況で見ると、またいちだんを胸に迫ってくるものがある。(中略)
繁華街の風俗店を思わせる、いかがわしいような、だからこそ好奇心をそそられる派手派手しさ。人形だって、改めて見れば、昭和のデパートのショーウィンドウに飾られていたマネキン人形風だ。館内の展示物のディスプレイは、雑然としていた。
 しかし、だからこそ、創設者の姫路忠の情熱が、館内のどこを見渡しても感じられた。廃館時でさえそうだったのだから、電気の通った今はなおさらだ。忠の秘宝館への思い、そして性への執念のような熱気が、ここには満ちている。
 人形たちは、一人でいる礼太郎を尻目に、せっせと行為に励んでいる。礼太郎はなんだか取り残されたような気になってくる。人形相手に何を馬鹿なと思うが、ほんとうに独り身が辛く感じられてしまうのだ。
 対となる相手が欲しくなる。ここは、そんな場所だった。
『むつごと秘宝館』P251L5-P253L16)

 

 昭和のエロ遺産、秘宝館。もしも貴女が少しでも興味を持ったならば、ぜひ、一度、足を運んでみてはいかがでしょうか。
チープなエロ人形館を作ろうと思い立った先人の気持ちに思いを馳せるのもよし、バカくさいシモコントに初笑いするもよし。
もしかしたらわたしたちが「秘宝館を観たことがある」最後の世代になるかもしれません。

Text/大泉りか

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ライタープロフィール

大泉りか
キャバ嬢、SMショーのM女、ボディペインティングのモデルなどの経歴を経て、現在は官能小説家、ライトノベル作家。

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