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  • 2014.11.01

夫の引退宣言でセックスレスに…妻は他所で身体を満たすのか/『甘いお菓子は食べません』(後編)

甘いお菓子は食べません 田中兆子 R18文学賞 大泉りか
Lies Thru a Lens

 誰もに訪れる可能性のある、女の悩みのひとつ“セックスレス”
「パートナーがいるのにセックスが出来ない」という状況は、理不尽さからくる怒りと、優しくしてくれてもいいんじゃないかという悲しみと、前は出来ていたのに年をとった自分が悪いのかという自省でもって、女性を混乱へと突き落とします。

 二十代ならば「人生を無駄にするのはヤメ!!!」と考えて次に行けばいいとも考えられますが、アラフォー・アラフィフになって、今までの人生をひっくり返るような所業が出来るのかというとこれまた難儀
長年連れ添ってきたパートナーにならともかく、新しく恋に落ちた相手の前でたるんだ裸を晒せるのか。
いまさら、新しい恋など出来るのだろうか。いや、そもそも、求めているのは恋ではなくセックスなわけで

 というわけで、前編に引き続きご紹介するのは第十回R18文学賞受賞作の『べしみ』を収録した『甘いお菓子は食べません』(田中兆子・著)。
その中から『花車』という短編を取り上げてみたいと思います。

セックスという『おつとめ』から引退したい、と告げた夫

 ある日、夫の宗太郎からセックスという『おつとめ』から引退をしたいと告げられた、アラフィフのビーズアクセサリー作家の武子。
久々にバツイチの女友達、香穂との会食で思わず愚痴を口にする。
すると、香穂がこっそりと秘密を打ち明け出して――。

「あたし、セックスだけはふっきれてなかったんだね。自分で勝手にすごくあせって。今ならまだ間に合うかもしれない、結婚はムリとしても、ここで何とかしなきゃ一生引け目に感じてしまうかもって。それでセックスすることにした」
「することにしたって、どうやって」
「変わったこと始めた人がいてさ。ネットで相手を探すってトラブルの不安があるし、男を買うのは気が進まなかったりするでしょ。でね、セックスだけしたい大人を集めて、結婚相談所みたいに引き合わせてくれる会があるわけ。入会金もあるし、交渉が成立したらお金を払うのも結婚相談所と同じ。違うのは、相手を何回でもとっかえひっかえしていいこと。紹介制で、会員になっている人が身元保証人にならないと入れないから、怪しげな人はいないし、その点が一番安心なんだよね」
「結婚してる人も入れるの?」
私は反射的に聞いていた。
「そっちがほとんど。だから秘密結社的」
(中略)
「セックスしてみて、どうだった?」
「気持ちが落ち着いた」

 香穂は、座禅や写経の体験をした後みたいな発言をした。

『甘いお菓子は食べません』収録『花車』P59L18-P60L17)

夫とのセックスは諦めて他所で身体を満たすのか─

 まさに渡りに船、ともいうべき情報を手に入れた武子。セックスをすれば自分は悩みから解放されるのか、と訝しみながらも、その心の中に広がる淡い光に満ちた救いのイメージ……。
しかし、すぐに会に申し込むほどに武子は自由でも奔放でもありません。

『夫とのセックスは諦めて他所で身体を満たす』のか、それとも『諦めずに夫との再構築を目指す』のか――
武子の選択と、その理由に心が締めつけられるような気持ちになりました。
パートナーとのセックスレスで悩んでいる貴女はもちろんのこと、多くの女性が共感を持って楽しめる一冊です。

Text/大泉りか

ライタープロフィール

大泉りか
キャバ嬢、SMショーのM女、ボディペインティングのモデルなどの経歴を経て、現在は官能小説家、ライトノベル作家。

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