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  • 2014.10.26

アラフィフの夫にいきなり「もうセックスはしたくない」と言われて/『甘いお菓子は食べません』(前編)

アラフォー・アラフィフになるとセックスレスも深刻化!?

大泉りか 官能小説
Bitchin' Amy


『アラフォー』などという言葉がすっかり定着してしまったせいで、まだかろうじて30代だというのに、完全に気分は40代の今日この頃。
しかも困ったことには、ハマると想像以上に気持ちいいのがこの“アラフォー”というカテゴリー。

『オバサン無双』とはとある女友達の弁ですが、“若い女”であろうとする抵抗を辞め、「そうよー、オバサンだから仕方ないの、あっはっはー!」と笑い飛ばした瞬間、今まで悩んでいた『なんでわたし愛されないんだろう問題』や『モテたいけど自意識が邪魔をする問題』『この服が着たいんだけどちょっとどうかな問題』などはすべて「オバサンだから仕方ない」「オバサンだから何したっていい」と開き直りで解決できてしまう。
アラフォーでこんなに楽なのだから、アラフィフになれば、さらに生きやすくなるのでは、と思うと、どんどん年をとってさらに“オバサン”として進化していきたいとさえも願ってしまいます。

 が、アラフォー・アラフィフという中年に至ったからこそ、また新しく生じる悩みもあります。親の介護や自分やパートナーの病気、子供や老後のお金の問題。
年を取ることで、神経の細やかさが麻痺してきたのは、ひょっとすると、アラサー時代よりも幾分か由々しさを増したそれらの悩みに対応して乗り越えていくためのサバイバル術なのかもしれません。

 そして、アラフォー・アラフィフになってこそ、さらに深刻化する悩みのひとつにセックスレスがあります。
賢さとしぶとさとを身につけたアラフォー・アラフィフ女は、セックスレスにどう立ち向かうのか――というわけで、今回紹介するのは第十回R18文学賞受賞作の『べしみ』を収録した『甘いお菓子は食べません』(田中兆子著)。この、40代、50代の女性たちを主人公とした連作集の中から『花車』をご紹介します。

夫に「もうセックスをしたくない」と言われて…

大泉りか 官能小説
『甘いお菓子は食べません』/田中 兆子(著)/新潮社


 アラフィフのビーズアクセサリー作家、武子の夫は売れない日本画家。
夫婦仲は悪くはないが、ほぼセックスレスの生活を送っている。かろうじて一年に一度「七夕」(年一度)くらいの交わりがあったのだが、ある日のこと――。

「武子には悪いんだけど、もう性欲が湧かないんだ」
「……どういうこと? 今日はたまたま調子が悪いってことじゃなくて?」
「これからもずっとそうだと思う」
「じゃあ……もし私がセックスをしたくなったらどうしたらいいの?」
 できるだけ軽い調子で尋ねた。今までも、私たちはセックスについて話し合って努力してきた。私は夫があまりセックスを求めないことを責めないようにしていたし、彼は妻が求めるのをすぐには拒まないようにしていた。
「僕には他に好きな人や付き合っている人はもちろんいない。女でも男でも。武子が一番好きだよ。でもセックスは別なんだ。前にも言ったと思うけど、セックスは好きじゃない。若いときはそうでもなかったけど、最近はすごく苦痛に感じるようになってしまった。それを隠すのも限界に来てる……だから『おつとめ』は引退したい」
 頭を殴られたようなショックだった。それほど、私とのセックスがいやだったのか。そんなに、我慢してセックスをしていたのか。今までの話し合いなど何の意味もなく、すべては私の自己満足に過ぎなかったのか。(『甘いお菓子は食べません』収録『花車』P49L3- P49L16)


 

 この「出来ていると思った話し合いが、実はなんの意味もなかった」ことを知った気持ちを一言で表すならば、脱力でしょうか。長く付き合ってきたからこそ、このパートナー発言が、自分たちの根底を覆すような気持ちになることには想像に難くありません。

【後編に続く】


Text/大泉りか

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ライタープロフィール

大泉りか
キャバ嬢、SMショーのM女、ボディペインティングのモデルなどの経歴を経て、現在は官能小説家、ライトノベル作家。

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