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  • 2016.05.31

EROMEN LABO番外公開放送イベントレポート――月野帯人という未知、あるいはダイヤモンド

女性向けAVの研究者が、一番好きなAV男優って誰だと思いますか? 現役の東大大学院生男子がイベントレポートを通じて、月野帯人という男のすごさを熱く語ってくれています!

私が一番好きなAV男優

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「揉まれティ~」を着る月野帯人と、ゲストの今立進

 女性向けAVの研究をしていると、「どのAV男優が好きなの?」と訊かれることがよくある。
だが、これは結構悩ましい問いだ。

 研究者としては、その人気、肩書き、作品……あらゆる面で一徹が最も興味深い存在であることは間違いない。
その一方で、一視聴者として気になる男優ならば他にもいる。
顔だけでいえばムータンの塩顔が癖になるが、作品を視聴するのに疲れてくると有馬芳彦の演技力、安定感に安心する。
女性向けアダルト動画サイト「GIRL’S CH」で活躍する里中夏生は、第一印象ではチャラさが受け付けなかったのだが、「東京オナニースタイル特別編」で「川上ゆうさんが好き」と答えるのを聞いて「こいつ、“分かってる”じゃねえか」と思ってからは応援している。
ハットリは同じ「服部」として頑張ってほしいと思っているし、「GIRL’S CH」の「男優と男優」シーズン5で左の乳首が弱いと答えるのを聞いてからはシンパシーを感じている(私は右が弱い)。

 だが、一番好きなのは、月野帯人かもしれない。
去年の11月に、AVに出演する男優だけで組まれた劇団である「劇団Rexy」の公演を観劇して、その魅力にすっかりハマってしまった。
「SILK LABOの台本でも台詞が2行以上あると覚えられないと言っていたツッキーが、こんなにも頑張っている……!」
私は研究者としてというよりは、父のような母のような目線で彼を見守った。

 そして何より、月野帯人の魅力はその予測不可能性にある。
というか簡単に言うと、イケメンなのに天然ボケなのだ。そこが可愛い。

 5月15日(日)に阿佐ヶ谷ロフトAで行われたイベント、「EROMEN LABO番外公開放送 ~月野アニキが単独MCやるよ! Part 3~」でも、彼はその魅力を如何なく発揮していた。
「EROMEN LABO」とは、ニコニコチャンネルで放送されている、エロメンとSILK LABOプロデューサーの牧野江里によるトーク番組のこと。
これの公開生放送、およびアフタートークが今回のイベントである。
だが、月野帯人が単独MCなんてできるわけがないのだ。だからこそいいのだ。

 以下は、そんな愛すべき男のきらめきに彩られたイベントレポートである。

月野帯人というダイヤモンド

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公開生放送の様子

 開場してすぐに足を運んだつもりだったのだが、すでにほぼ満員状態で、会場は和気藹々とした談笑に包まれていた。
客層は30代後半ぐらいがおそらくボリュームゾーンだった。どうやら関東外から来た人もちらほらといたらしい。

 グループで座っている女性が多かったが、これは元々知り合いだったのではなく、「エロメンが好き」という共通項で新たに結ばれた絆なのだろうか。
女性が自分の性生活について話すのは社会的になかなか難しく、また同時に、大人になってから友達をつくるのも意外と難しいものだと思うのだけれども、実際にこうしてコミュニティが出来上がっているのだから、自分のことでなくとも嬉しい気持ちになる。

 さあ、スタートの13時になって主役の月野帯人が現れ、拍手が巻き起こる。
月野は、単独MCイベントが初めて行われてから約1年が経ったということで、第1回ゲストの清田代表(桃山商事)、第2回ゲストのChiyu(SuG)のことを振り返ることで最初のトークを始めようとするのだが、ゲストのことをまったく覚えていないのだ。
「よかった、今日もツッキーはツッキーだ……!」と感じる。快調な滑り出しだ。

 その後、今回のゲストである、お笑いコンビ・エレキコミックの今立進が登場。
彼もまたツッキーに忘れられるのだろう。可哀想に。
だが、流石は芸歴19年目。月野帯人の天然ボケマシンガンをすべて拾って返していく。
ぐだぐだなツッキーの司会ぶりを常に軌道修正していて、どっちがMCなのかわからないほどだ。

 今立が、初めて出会ったときのお互いの印象の話や、俳優・声優の宮下雄也と3人でトークライブを行った話で盛り上がっている最中でもツッキーは変に几帳面なところがあるから、無理やりギュンとカーブして台本通りのトークテーマに持っていこうとする。
急に、あの気の抜けた喋り方で「彼女から連絡がなくてガマンできるのは何日ですかー?」と今立に聞き始めるのだ。興味もないくせに。

 いやそうじゃなくて、もっと話のフリはだな……と、とうとう今立によるMC講座が始まったりまでするのだが、月野は絶対に今立の思い通りにはいかない。
しかし、何度でも言うが、そこがいいのだ。

 今立も当然、月野が最強のボケであることはよく分かっている。
イベント前半の生放送が、終わりに差し掛かってきた頃だろうか。
今立は月野のボケを捌いたあとに「すべてが新鮮だ!よかった!こんな逸材と出会えて!」と叫んだ。
「みんなからは砂利に見えてるかもしんないけど、俺にとってはダイヤモンドだぜ!」と。

 そのとき、あの日一番の拍手が会場を包んだ。
今立含むその場の全員が、ずっと前から知っていたのだから。彼こそが自分にとってのダイヤモンドだと。
照明と、今この場だけ少女に戻ったかのような観客の視線を浴びて――汗かきだからだろうか、きっとそれだけではない――月野帯人はきらきらと光って見えた。

女性を「じゅわっ」とさせる男

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イベント後半の様子

 イベント後半、生放送が終わってからのアフタートークは、月野帯人と今立進が質問をぶつけ合うコーナーから始まった。
このとき、「どうしたらすぐイカなくなりますか」という今立のマネージャーからの問いに月野が、「プライベートですよね? 仕事じゃないんですよ、イケばいいじゃないですか」「(すぐ2回戦やるためのテクニックは)一概には言えないですよね。[…](大事なのは)気持ちじゃないですか、多分。どんだけヤリたいかっていう」とこれまでの受け答えからは考えられないほど饒舌に堂々と答えていたのが印象的だった。
私はここに、エロメン・月野帯人の矜持を見た気がした。

 その後、バカゲーやクソゲーが大好きだという今立が持ってきた、セガサターンの『THE野球拳スペシャル~今夜は12回戦~』で遊ぶ。
1995年発売されたアダルトゲームということで、正直、出演している12人の女性は全員「誰を選んでもなあ……」というレベルである。
しかし、イベント中にセレクトした「美咲舞」という女優は、後からDMM.R18で検索をかけたところ、2013年発売の四十路・五十路モノ作品にも出演していた。
あのときは、「この人らも2016年に見られてるとは思わないでしょうね」という今立の一言に会場全体が笑ったものだが、実際は割と最近まで活動していたわけで、我々は「AV女優の人生」に関して、想像力が“笑ってしまうほど”欠如していたのかもしれない。

 さて、ジャンケンに5回勝てれば女の子が服をすべて脱いでゲームクリア、5回負けたらこちらが服をすべて脱いでゲームオーバーというルールで、ツッキーが挑戦する。
ゲームの女性よりも薄着だったツッキーは、3回負けても指輪⇒腕時計⇒ネックレスと外していき客席を焦らしていたが、とうとうズボンとシャツを脱いでパンツ1枚になったときの客席の興奮といったらなかった。
客席は途中から、間違いなくツッキーよりもゲーム側を応援していた。

 イベントの最後は大抽選大会である。
月野帯人の私物(カワウソのぬいぐるみ、パジャマ、ブーメラン水着、10年前のプリクラ)と2ショットチェキの権利が、くじ引きでファンに配られる。
そして特賞はなんと、1分間のハグ。

 照明がピンクに変わり、ムーディーな(?)BGMとして松田聖子の「SWEET MEMORIES」が流れ出すと、月野がファンをそっと抱きしめる。
遠くから見ていたからよく分からないが、何か囁いているようだった。
ツッキーのサービスだったのか、あまりの興奮にファンの女性の腰が砕けたのか、段々と押し倒されるような形になり、客席からの死角に2人の姿が消えていった頃に1分が経ったことを知らせる号令がかかって終了。

 この1分間、会場から「きゅんっ」というより「じゅわっ」というような音が聞こえた気がした。
別に下品な意味ではなく、デトックスというか、何か若さのエキスが勢いよく分泌されたような感じである。
世の中に、女性を「きゅんっ」とさせる男はいくらでもいるかもしれないが、女性を「じゅわっ」とさせる男がどれだけいるだろう。
不思議な興奮に包まれ大盛況のまま、イベントは無事、幕を閉じたのだった。

  *  *  *

 学問に限らず、恋愛でも何でもそうかもしれないが、ある対象に関して「すべて分かった」と思ってしまったら、終わりだ。
いくら考えても掴み損ねてしまう部分が残る不即不離の関係だからこそ、我々はその対象に情熱を注ぐことができるのである。

 その点、月野帯人はいくら考えても分からない。
月野帯人という予測不可能な未知を前にして、我々はその好奇心を抑えられない。

 月野はきっとすぐにこのイベントを忘れてしまうのだろう。それでいい。
だがきっと我々は、この男のことを忘れることなど、出来やしないのである。

Text/服部恵典

 次回は《女性向けAVの3Pと「欲望の三角形」――密やかに現れるホモソーシャル》です。

ライタープロフィール

服部恵典
東京大学大学院修士課程1年。同大学卒業論文では、社会学的に女性向けアダルト動画について論じる。

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