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  • 2016.11.30

「あたしを買わない?」客引きしながら隠し撮り!ロマンポルノの圧倒的な熱量/日活ロマンポルノ

数多くの有名監督、女優を輩出したことでも知られる『日活ロマンポルノ』がこのたび塩田明彦、白石和彌、園子温、中田秀夫、行定勲を迎え復活!日活の経営難を救ったピンク映画は、新たなスターを生み出すのでしょうか?引き続き日活の社員さんにインタビュー。女性でも観やすい名作ロマンポルノを紹介していただきました!

日活ロマンポルノ ポルノ映画 復活 ロマンポルノ・リブート・プロジェクト プロデューサー

 日本を代表する監督陣を迎えた「ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」。 前回に引き続き、日活のみなさんに、その豪華プロジェクトの概要と、過去のロマンポルノのオススメ作品について、お話をうかがいました。

映画への情熱がロマンポルノを生んだ

――みなさんは、どういったいきさつで今回のロマンポルノ・リブート・プロジェクトに関わることになったんですか?

西尾:私は、『クロユリ団地』『劇場霊』などで中田秀夫監督の作品を担当していたんです。中田監督は日活でロマンポルノの助監督をしていた経歴があり、あと少しで監督として作品が撮れるっていうときにロマンポルノの製作が終わってしまったため、ロマンポルノに思い入れがあるんですね。ですから今回監督をしていただけることなって、私も引っ張られて……みたいな感じです。

高木: 私は、もともとロマンポルノが好きで日活に入社したんですよ。日活創立100周年として「生きつづけるロマンポルノ」という特集上映を担当して、このプロジェクトでもロマンポルノのクラシック作品の上映があるので、関わっています。

滝口:高木は、すごくロマンポルノに詳しいんですよ。

――ロマンポルノの魅力ってなんですか?

高木:エネルギッシュでアナーキーな雰囲気を感じるので、70年代という時代が好きなんです。その時代に生まれたロマンポルノって、画面に作り手の情熱が満ち溢れてる。観てるとその熱が伝わってきてテンションがあがるんです。最初にロマンポルノに触れたのは大学生のとき。ぴあフィルムフェスティバルでのロマンポルノの上映や、池袋の文芸坐でオールナイト上映を観たりしてたんですけど、ハマるにつれて名作以外の作品まで観たくなってきて。情報誌ぴあで調べて郊外の成人映画館まで観に行くこともありましたね。

――成人映画館にまで入っちゃうって、けっこうなハマりっぷりですよね(笑)。ちなみに、高木さんをそこまでハマらせた作品って何なんですか。

高木『天使のはらわた 赤い淫画』っていう作品です。劇画家で監督もされている石井隆さんが脚本を書いています。男性にこの作品が好きでたまらないって言うと「それは異常だ、あれは男の映画だよ」って言うんですよね(笑)。
名美というファム・ファタール(運命の女)と、彼女を追い求める村木という男が主人公の、石井隆さんの人気シリーズの一本ですが、「女の君に、それがわかるの?」って。
でも私は、理屈じゃなく映画の圧倒的な熱量にやられてしまった。
今の映画って、クールでスマートじゃないですか。でもロマンポルノの時代って、みんな不器用で、それを取り繕ってない。そういうところがいいなと。まあ、最初に入口として観るのはどうかなって感じの作品なんですけどね。

――熱い! そう聞くとすごく観たくなります。

日活社員が選ぶおすすめ作品

――他にもみなさんオススメのロマンポルノのタイトルがあったら教えてもらいたいんですが。 高木:事前に質問をいただいていたんで、女性でも観やすいものをみんなで選んでみたんですよ。今回レイトショーでクラシック作品も上映するので、興味があったら是非どうぞ!。

 まず、神代辰巳監督というロマンポルノのエース監督が撮った『一条さゆり 濡れた欲情』。伊佐山ひろ子さんが主演を務めているんですけど、これはおすすめですね。一条さゆりという実在した伝説のストリッパーがいて、伊佐山さんはその地位を狙っている後輩ストリッパー。私が登りつめてやるって野心を持ってる女性です。自由で正直で、笑える部分もあって、観ていて元気になる、気持ちがいい作品です。神代監督はフェミニストで「女性は神様」みたいなところがあるんですよ。俳優さんにも人気があり、桃井かおりさん、萩原健一さん、内田裕也さん、奥田瑛二さんなど、神代監督のためならなんでもやるっていう俳優さんがたくさんいたみたいです。

 それから、『(秘)色情めす市場』。ちょっと過激なタイトルですが、これもすごい作品ですよ。主人公は、大阪のドヤ街で体を売って暮らしているフリーの売春婦。40歳過ぎの母親も売春婦で、親子2代で売春してて、弟と三人で暮らしています。そこしか居場所のない彼女たちが、どうやって生きていくかってとうのを約80分という短い尺の中で濃密に見せていく。かっこいいですよ。西成のちょっとガラの悪い場所で、本当に「あたし買わない?」ってお客をとりながら隠し撮りで撮影したそうです。基本的にはモノクロで物語が進行するのですが、物語の中盤でパーッとカラーになる瞬間なんてほんとにたまりません。これはロマンポルノだけでなく映画史に残る傑作だと思います。

 女性が観やすい作品っていうことでいうと、相米慎二さんが監督した『ラブホテル』。相米監督もロマンポルノが好きだったそうで、自分から「撮りたい」と志願して撮った一本です。『天使のはらわた 赤い淫画』と同じ石井隆さんの脚本で、これにも村木という男と名美というファム・ファタールが出てきます。特に山口百恵さんともんたよしのりさんの挿入歌が流れるシーンは女性なら滂沱の涙になると思いますよ。一度見たら忘れられない名場面です。

 あとは、コメディにもいい作品がたくさんありますね。時代劇の『㊙女郎市場』は、ナイスバディだけどちょっと頭の弱い女郎がヒロインで、セックスって何をするのかわからないまま売られちゃう話。親友と呼ぶ牛に乗って現れたり、「寝てればいいんだよ」と言われて本当に寝ちゃったりするんです。コントみたいなんですけど、最後はホロっとしちゃうっていう。

滝口:私は谷ナオミさんが大好きなので、今回の上映作品には入ってないんですけど『花と蛇』がオススメです。谷さん演じるお金持ちの貞淑な奥様がある男に調教されるんですけど、それだけで終わらないんですよ。彼女を慕う待女が堕ちた谷さんの姿を見て哀しむと、彼女は一言「でも男の人って可愛いでしょ」って言うんです。それで谷さんは調教されたんじゃなく開花したんだっていうのがわかる。女の奥深さみたいなものが出ていてグッときますね。

西尾:私は俳優さんにも注目しながら観て欲しいです。ロマンポルノって意外に有名な俳優さんが出てるんですよ。『赫い髪の女』の石橋蓮司さんとか『嗚呼!おんなたち 猥歌』の内田裕也さんとか、男の色気が滲み出ててかっこいい。どちらも今回のレイトショーで上映します。「今活躍してる俳優さんが、こんな役をしてたんだ」って思いながら観るのも楽しいんじゃないでしょうか。

――みなさん、やっぱりロマンポルノのことになると熱が入りますね!

西尾一般作のラブストーリーってハッピーエンドのものや綺麗事で描かれるものが多いですけど、ロマンポルノってもっと自由。ラブシーン込みで男女の恋愛の本質・かかわりを描いているところがすごく面白いんです。AM読者の女性にも是非触れて欲しいですね。

☆つづく

■第1回10分に1回濡れ場があること」がルール?日活ロマンポルノが復活
■第2回10分に1回濡れ場があること」がルール?日活ロマンポルノが復活
もお読みください!


Text/遠藤遊佐

次回は <ラストは全員燃え死ぬ!?エロを期待して観たロマンポルノの思い出>です。
ロマンポルノ―それは、いまの若い世代の方は見覚えのないモノかもしれないし、もしかしたら「手に取りづらい」と思ってしまっているかもしれない。また、官能的なのに「ヌケない」というイメージを持ってしまっているかもしれない。そんなロマンポルノが「日活ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」として再登場。そこで、今回はロマンポルノの魅力に迫ります。

ライタープロフィール

遠藤遊佐
AVとオナニーをこよなく愛するアラフォーライター。

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