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  • 2016.08.29

恋愛をするのに余計な力はいらない

LGBTのためのコミュニティサイト「2CHOPO」の記事をご紹介!トロントに暮らすゲイのキャシーさんのセックスや恋愛に関するコラムです!今回は「恋愛への力の入れ具合い」について。AM読者のみなさんは恋愛に対してどれくらい力を入れていますか?ガチガチにならない方がいいのかもしれません!

LGBTのためのコミュニティサイト「2CHOPO」の記事をAMでご紹介させて頂けることになりました!
今回は、キャシーさんの「セックス・アンド・ザ・キャシー」の記事です。

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 彼氏と初デートに出かけた日から5年経った記念日にナイアガラ・オン・ザ・レイクへ小旅行に出かけた。トロントから車で数時間のところにある小さな町である。ワインの名所として知られているだけに、見渡す限りのぶどう畑が目の前に広がっている。自転車に乗れないくせに、サイクリングしながらワイナリー巡りがしたいという彼氏。運転できない二人にとって自転車は唯一の手段だ。幸いなことに自転車のレンタルショップには二人乗り用のタンデム自転車があった。これなら一緒に移動ができる。今まで触ったこともないタンデム自転車を眺めていると、ショップのスタッフが近付いてきた。ぎこちない様子を見てきっと心配になったのだろう。

「未経験だと難しいかもしれないよ」

 5年前、同じことを言われた。恋愛は難しいものだといろんな人が語っていた。お互いに恋愛未経験だった私たちはそんなでこぼこ道を歩もうとしていた。周りの失敗もたくさん目撃してきた。一歩踏み出す前からどうやって破局するのか思い描いていた。肩に力が入って、どんな悪い結末が待っていようと転ばないように構えていた。このタンデム自転車のハンドルを力一杯握りしめながら、同じ気持ちを抱いた。バランスが崩れて二人して倒れる光景ばかり脳裏を過った。まだペダルも踏んでいないのに汗びっしょりだ。

 タンデム自転車に跨って、後ろに彼氏が座ったのを確認すると、足で蹴ってペダルを漕いだ。いつもより重い上に、ハンドルもグラグラして、全く言うことを聞いてくれない。二人の呼吸が合わないと、勝手に動くペダルから足が滑ってしまう。力任せにコントロールしようとすればするほど、よりバランスを失った。レンタルショップの駐車場での試運転はとてもスムーズではなかった。これから5時間もこれに乗ってワイナリー巡りをするのに大丈夫なのか。その一部始終を見ていたレンタルショップのスタッフの表情はこわばっていた。

「余計な力はいらないよ」

 自転車に初めて乗ったときに誰かがそう教えてくれた。子供だった自分はそんなアドバイスの意味を理解できずに何度も転んだ。子供だったから何度転んでも平気だった。ふと思い出したその言葉を意識して、もう一度タンデム自転車に挑戦してみる。深く考えすぎず、力を抜いて、風を切って前に進むことに集中して自然に体を任せてみた。ぎこちないままだったが、前回より遥かに安定した。不安ばかり感じていたせいですっかり忘れていたが、こうやって二人で一緒にタンデム自転車を漕ぐのは単純に楽しかった。

 オンタリオ湖からの涼しい風を感じながら、広いぶどう畑を自転車で駆け抜けると、オシャレなワイナリーに到着した。髪の毛は汗で濡れて、股間は痺れて、膝は震えていた。深刻な運動不足である。息を切らしたままワイン・テイスティングが始まった。目の前のワイングラスにピンク色のスパーリングワインが注がれると、勢いに任せてゴクリと飲み込んでしまった。シュワシュワした喉越しが最高に気持ち良い。隣を見ると、彼氏のグラスも空になっていた。それに気付いて二人とも笑った。カウンター越しに立っている店員は、きっとワイン・テイスティングを理解していない人たちが来たと軽蔑しているかもしれない。しかし、そんなことはどうでもよかった。

次回は≪親しいからって恋人同士である必要はない≫です。

Text/キャシー

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