セックスを恥ずかしく思う自分を優しく受け入れよう

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 セックスをした後、その最中にあったことを語り合うのはタブーだと思っていた。
誰かにそう教わったわけではない。
本で読んだわけでもない。
初めてセックスした日からずっとそれがフツーだと思っていた。

 まだ経験が浅かった頃、ネットで知り合った男性とカーセックスをした後、彼が運転する横で何も言えずにいた。
凄く好みのタイプで、セックスも相性が良くて、性格も優しそうな人だった。
もしかしたら、たまに会ってセックスするような関係になったり、恋人にだってなれるかもしれない。
まだ自分がゲイだということを受け入れる覚悟もなかったのに、夢だけは溢れていた。
しかし、頭の中で繰り広げられる妄想とは裏腹に、何も口から出てこなかった。
向こうから何か聞かれても、そっけない返事しかできなかった。

 さっきまで車の中でいやらしいことをしてたのが死ぬほど恥ずかしかったのだろう。
そんな行為に及んだ自分をとても受け入れられなかった。
セックスをしている最中の自分と、日常生活を送っている自分は別人だった。
そのふたりは交わらない方が気が楽だった。
だから、さっきまでセックスしていた人に何か言いたくても、口に出す勇気はなかった。
結局、何も会話ができないまま彼の車から降りた。
無言だった自分のせいだったかはわからないが、彼と会うのはそれが最初で最後となった。