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  • 2016.11.25

なぜ「悩めるオッサン」に女性は惹かれるのか/『ジムノペディに乱れる』行定勲×峰なゆか【対談】

日本を代表する監督陣が「ロマンポルノ」を手がける「日活ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」。その中の一人、11月26日公開『ジムノぺディに乱れる』の行定勲監督と、漫画家・峰なゆかさんとの対談を開催!作品に登場する板尾創路さんを小学生時代からエロい…と思っていた峰さんが語る「メンヘラおじさん」の魅力とは?

ジムノぺディに乱れる 日活ロマンポルノ・リブート・プロジェクト 行定勲 峰なゆか
©2016 日活

 日本を代表する監督陣が「ロマンポルノ」を手がける「日活ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」。
その中の一人、11月26日公開『ジムノぺディに乱れる』の行定勲監督と、漫画家・峰なゆかさんとの対談を開催!

 作品のこと、そして日活ロマンポルノのことを語り合っていただきました。

『ジムノぺディに乱れる』あらすじ
映画監督の古谷は、肌のぬくもりを求めて女たちの隙間を彷徨っていた。仕事、名声、そして愛。すべてを失った男が、辿りついた先に見つけたものとは?

「悩めるオッサン」の魅力

ジムノぺディに乱れる 日活ロマンポルノ・リブート・プロジェクト 行定勲 峰なゆか左:峰なゆかさん、右:行定勲監督

―まずは本作を観てのご感想をお願いします。

峰さん(以下M):私、もともと板尾創路さんが男性として大好きなんですよ。小学生くらいの頃から「この人、エロいな…」と思ってました。
そんな板尾さんの濡れ場がたくさん観られて、すごく満足しました。

行定監督(以下Y):良かった、板尾さんをキャスティングして(笑)。

―そんな板尾さん演じる「古谷」が、たくさんの女性と交わりますが、お金もない、仕事もない、いわゆる「ダメ男」じゃないですか。それなのに、なぜ惹かれてしまうんでしょうね。

M:え、あんなに苦労してる映画監督なんて、モテるに決まってるじゃないですか!?

Y:さすがですね。そう、モテるのは当たり前なんですよ。
達成できないことがあったり、何かに抗おうとしてる男の周りには「自分が何とかしてやろう」という人が集まるんですよね。

―母性本能をくすぐられるんでしょうか?

M:そういう「悩めるオッサン」に引き寄せられる女子は、「私が癒してあげたい」っていうより、「病気に巻き込んでほしい」と思ってるんですよ。「生活が物足りない」みたいな闇を抱えている女子が、古谷みたいな映画監督に惹かれていくんじゃないかなと思います。

Y:「悩めるオッサン」か~。俺もオッサンと呼ばれる年齢だから、ちょっと傷つくよね(笑)。

M:本当は「メンヘラおじさん」って言いたいところを、柔らかくして「悩めるオッサン」って言い換えたんですが…。

Y:「メンヘラおじさん」はもっと落ち込むよ(笑)!

―そんな古谷の役柄が、板尾さんの雰囲気とすごくマッチしていましたよね。

Y: 板尾さんと初めてお会いしたのは、釜山国際映画祭の懇親会でした。TVで観る板尾さんとは全然違い、隅っこのほうでひざを抱えながら、少年のような笑顔で映画の話しに相槌を打ってるんです。質問すると「そうですね~」「映画って難しいですね~」なんて答えてくれて。その曖昧な言葉の中に、全てがあるような気がするんです。
板尾さんが帰ったあと、板尾さんを知らない外国の女性も「あの人かっこいい!」と言ってました。

M:やっぱり、「古谷」は板尾さん以外の俳優が演じるのは、難しいかもしれないですね。「え、なんでこの人モテるの!?」って思っちゃいそう。

Y:それはその通りで、他の方が演じると、キザになっちゃうかもしれないですね。

―古谷のような映画監督は実在するんですか?

Y:います。女優からスタッフまで、色んな女性の家を渡り歩いて、「自宅に帰るまでに一週間かかっちゃった」なんて監督、昔はよくいたんですよ。
でも、服にも無頓着だし、無精ひげだらけだし、カッコイイわけじゃない。

M:古谷も、寝た女性の彼氏のTシャツ着てましたね。「似合ってないな~」って、すごく笑いました(笑)。

「答えを言わない監督」とは

ジムノぺディに乱れる 日活ロマンポルノ・リブート・プロジェクト 行定勲 峰なゆか行定勲監督

―監督は、古谷のようなタイプではないのですか?

Y:違いますね。でも、古谷のような「答えを言わない監督」に対する憧れはあります。

―答えを言わない監督?

Y:演出の答えを言わない監督です。
たとえば、撮影中、女優に何度も注文をつけてやり直させる。それってムカつくじゃない?でも、「私にこれだけ手をかけてくれる」とも言える。愛憎がどんどん強くなるんですよ。
そのまま女優を追い込んで、最後に「今までのことは忘れて、自由に演じてごらん?」と囁く。それでOK出されたら、絶対に好きになっちゃうよね。

僕は反対に「はい、こうやって」とテキパキ指示出してしまうので、演者は「答えを全部言われてやらされちゃったな~」って“ヤリ逃げされた”みたいな気持ちになってしまうかもしれませんね。

M:監督のお話を聞いてると、古谷に対してムカつかない理由がわかりました。監督は「色んな女とヤレていいよね」って気持ちじゃなく、「こういう男っていいよね」と憧れをもって撮られてるんですね。

Y:そうそう。その思いが伝わらないと、「なんでこいつがモテるの?」と観客に疑問を持たれちゃうんですよね。

―たしかに「モテる理由」はわからないけど、「モテる」ことには疑問は持ちませんでした。
逆に、監督と古谷の共通点はあるのでしょうか。

Y:古谷はおそらく、会った女性ほとんどと関係を持ってるんです。それって、相手に「好き」も「嫌い」も言わないから、誰とも揉めずに成り立ってるんですよね。こういう男は、女性のいいところしか見ないんです。
僕は、容姿に自信がない人が好きなんです。人がもつコンプレックスを「良いな」と思えるようになると、全ての女性が素敵に思える。そこが共通点ですね。

滑稽な男と、輝く女

ジムノぺディに乱れる 日活ロマンポルノ・リブート・プロジェクト 行定勲 峰なゆか峰なゆかさん


―峰さんの印象に残った濡れ場はありますか?

M:古谷の元妻の濡れ場です。
「教え子とのセックス」や「勝気な女優との廃墟でのセックス」は、男の夢なんだろうな~ってわかるんです。でも、「元嫁が現嫁のために、好きでもない男とセックスする」なんて、そうそう思いつかないぞ!?と衝撃的でした。

―あのシーンも「男の夢」なんですか?

Y:あれはね、「男の夢」というわけじゃないんです。だってあのシーンの男たち、滑稽じゃなかったですか?
元々、日活ロマンポルノは、「女性の裸」というロマンを、美しく、ときに生々しく描いたものなんです。男たちが滑稽であればあるほど、女たちが力強く輝く。そんな構造のものなんですね。
あのシーンは男の夢というより、女性の美しさを際立たせるためにつくってますね。

M:滑稽といえば、古谷が立ち食いそばのお代を女性に払わせてるシーンも印象に残ってますね。どこまでダメなやつなんだ~ってグッときました。

Y:グッとくるんだ(笑)。

M:グッときます。「ダメなおっさんとダメな恋愛してみたい」って欲望あるじゃないですか。私も二十歳くらいの頃はありました。でも、アラサーがそんな願望もつと、けっこうな額のお金を貸しちゃったり、「ダメな恋愛」がシャレにならないんですよ。
だから、アラサーはこの映画を観て、空想するだけで満足してほしいですね。

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