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  • 2014.11.06

感度低下、不快感のもと「腟のゆるみ」の治療最前線!

第17回 感度低下、不快感のもと「腟のゆるみ」の治療最前線!

関口由紀 膣トレ オーガズム
Mateus Lunardi Dutra


 腟は出産の際、赤ちゃんが通り抜けできるほど、伸び縮みできる臓器。
だからパートナーからゆるいなんて言われても、気にしなくてもいいけれど、最近では腟のゆるみによる感度の低下や不快感から、クリニックの門を叩く女性も増えているのだとか。

 そこで腟のゆるみについて、医学博士で女性泌尿器科専門医の関口由紀先生に、お話を伺いました。
(前回の「米ではセックスレスが離婚原因に!日本人のセックスへの関心なさが女性医療の遅れにつながる」も合わせてどうぞ)

<関口先生の解説>
「腟がゆるむことで起こる、不快な症状の主なものに『腟弛緩症』と『骨盤臓器脱』があります。
どちらも骨盤の下にハンモッグのように張り巡らされている筋肉群『骨盤底筋』がゆるんだり、骨盤底を構成する筋肉や靭帯が傷ついたことが原因。

 骨盤底筋は、骨盤内の臓器を支え、尿や経血、排便などの排出を促す大切な役割がありますが、妊娠・出産、加齢や運動不足などで、そのゆるみは加速してしまいます。それぞれの症例について説明しましょう」

セックスのトラブルにもなる「腟弛緩症」


 腟弛緩症は、腟がゆるくなってしまう症例のこと。腟の締まりが悪くなり、自分も相手もセックスの快感が鈍ることがあります。

【主な原因】
 骨盤底筋のゆるみが主な原因です。個人差はありますが、経腟出産(腟を経由した出産)をした女性はゆるみがちです。

 この他にも、肥満・便秘・喘息などの人は腹圧が高くなることがあるため骨盤底筋にダメージを与えやすいため、かかりやすい傾向が。
また遺伝も関係していて、筋肉が柔らかく、筋肉がつきにくいタイプの女性は、骨盤底筋が柔らかいため安産タイプが多いのですが、一方で妊娠・出産時、骨盤底筋がダメージを受けやすいことから、腟がゆるくなりやすいようです。

【主な治療法】
 専門の骨盤底トレーナーによる骨盤底筋トレーニングで改善を目指します。
それでも改善しない場合は、手術になります。
手術の方法もいくつかあり、多くは術後のライフスタイルによって決定します。

 出産後の方には、腟の高周波治療である『ビビーブ』がおすすめです。
高周波で腟壁皮下のコラーゲンを造成させて、腟を引き締めます。
一方更年期前後以降に人には、フラクショナル炭酸ガスレーザーによる治療である『エッジワン』がおすすめです。腟壁皮下のコラーゲンの造成とともに、腟粘膜の状態をよくして潤わせます。

 通常のメスを使った従来の手術では、術後、傷の周辺の収縮性が失われて硬くなり、セックスの際に疼痛が伴うこともありました。
快感を求めて受けた手術が、結果、セックス行為そのものを遠ざけてしまうことになっていたのです。

 しかし『ビビーブ』や『エッジワン』は、エネルギーを照射して、腟入口のゆるみをキュッと引き締める方法。
出血もなく、麻酔注射も必要なく、身体への負担が少なくてすみます。これによって腟の粘膜下にコラーゲンの蓄積を刺激して密度を高めるため、腟入口に傷跡を残すことなく、キュッと締まりのいい腟を目指すことができます。
なお、クリニックで行った臨床研究では、腟が出産前と同じ程度しまり、性的満足度も改善されたという結果が出ています。  なお『ビビーブ』や『エッジワン』では、間に合わないような、高度のゆるみに関しては、レーザーメスを使用した、腟壁が固くならない腟縫縮術をおすすめしています。

違和感で気づく「骨盤臓器脱」


「骨盤臓器脱」とは、腟から子宮や膀胱、直腸などが出てくる病気。腟に臓器がポコッと飛び出して落ちてくるため、違和感があります。

【主な原因】
 骨盤の下にハンモックのように張り巡らされている筋肉群・骨盤底筋群のゆるみと骨盤底を構成する筋肉や靭帯の損傷。
複数の出産を経験した女性は骨盤底筋に損傷を受けやすいため、起こりやすい傾向が。また、肥満や加齢、更年期に伴う筋力低下でも起こりやすくなります。

【主な治療法】
 治療の方法は様々。軽いうちは投薬や専門の骨盤底トレーナーによる骨盤底筋トレーニングが有効。それでも改善しない場合は、手術になります。

 手術方法もいくつかありますが、現在最もおすすめなのが『TFS(Tissue Fixation System)』という最新手術です。これは骨盤底の靭帯(じんたい)を専用のテープで補強することで、臓器を支え、骨盤底のスムーズな動きを回復させようとする方法です。
この手術は、骨盤底のゆるみからくる尿失禁にも効果的です。

 ちなみに、上記2つの症状は不快感が強くありますが、特にそのままでも問題はないそうです。しかし、セックスをする際に障害になることは間違いありません。中にはパートナーからゆるみを指摘されてしまった人もいるのだとか。

 現在もこれからも、日本は高齢化が問題視されています。
そのため腟がゆるくなるような、加齢に伴うトラブルは今後も増えると考えられます。
20~30代の女性だと腟のゆるみに対して悩みを持つことは少ないけれど、知識として心得ておくことは、今後のセックスライフにおいて有益かも。

 腟という場所だけに、恥ずかしさから診察や治療をためらいがちですが、最近では治療や手術に対して積極的な女性も増えてきたそうです。

 実際に関口先生が理事を務める『横浜元町女性医療クリニックLUNA』では、腟のゆるみや女性器にまつわる相談件数も増え、女性が性に対して主体的になったと感じる機会が多くなったのだとか。

 治療後はセックスに対して前向きになり、それによりパートナーとの関係を充実させることが可能です。
自分のためにも、相手のためにも、クリニックの門を気軽に叩いてみてはいかがでしょうか。

 次回は、腟のゆるみ以外の最新女性医療についてお話します。

監修/関口由紀先生
Text/平川恵

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ライタープロフィール

関口由紀
医療法人LEADING GIRLS 女性医療クリニックLUNAグループ理事長

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