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  • 2013.09.27

女AV社長に聞く女子の性の悩みが永遠に解決されないワケ

女性向けAVメーカー「シルクラボ」の社長を務める牧野江里さんのコラム記事。「愛のあるセックスなら、絶対に気持ちいいはず!」というのは男女ともに抱いてしまう幻想。互いが持つセックスに対するイメージやファンタジーが、実生活の気持ちよさを減らしているのかもしれません。

「セックスには正解がない」という大前提

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©by Víctor Ramírez Fotografía

 有難いことに、AV屋という突飛な職についている私めに、「女性の性のお悩み相談に答えてほしい」という取材依頼を頂く機会があります。

 正直な話、AV屋だからといって超ハードコアな性体験があるわけでもないですし、色恋沙汰が豊富という訳でもないので大変恐縮なのですが、私のような男と女の剥き出しの性にあてられている奇特な存在だからこそ求められることでもあるので、有難く、誠心誠意御答えさせて頂いております。

 ところが、答える側としていつも頭を悩ませることがあります。
それは、「セックスに正解がない」という大前提がなかなか受け入れてもらえないこと。

 どのメディアも、キャッチーな言葉を好みます。
「ゴールドフィンガーで女は必ずイク!」みたいな。
見る側が引きつけられるような、分かりやすくて、納得のいく答えが求められているのです。
それは痛いほどわかるのですが…ことさら性に関しては、あまりにも個人差があることなので、断定して応えるのに違和感を覚えてしまうのです。

 しかし、「うーん、人によるんですよねえ…」と言った時の取材陣の方々の「そういうの求めてないんだよなあ」というあの空気…あう…!
さらにいえば、自分の答えたアドバイスで上手くいくかなんてわかりませんし、答えた悩みが解決されたかどうかもわかりません。
ううう…。

 そんな女性の性の悩みですが、本当に、何年も前からず~~っっと同じ悩みばかりなのです。
一体なぜ?!どうして??!!
あらゆる識者の方が悩みに答えてきたはずなのに…ずっと繰り返されるのはどうしてなんでしょう。
もちろん、そう簡単に解決できることではないのでしょうけれど…。

 いつまでたっても解決されることのない女性の性のお悩み…実は根底に、『ある共通点』が存在するのです。
ここで、よくあるお悩みをご紹介しつつ、その共通点についてお話したいと思います。

アソコが黒い!セックスで愛をはかってしまう!
女性たちの変わらない悩みを解決するには

「カラダのコンプレックス」
“ヤリマンは乳首とアソコが黒くなり、ビラたん(小陰唇…)がべろんべろんに伸びて変形する。”
己の性器に対するコンプレックス関連のお悩みは、かのような都市伝説的言い伝えからきております。
さんざん、産婦人科医さんや、性器に趣の深い方々の「色素沈着は先天的なもの、人それぞれ、気にすんなし!」という有難いお言葉があるにも関わらず、なくなりません。

 アンダーヘアもしかり。
どういうアンダーヘアならいいの?私毛深いの?というお悩みも、相手によって好みは違うんだからお応えできかねます!というのが本音です。
クンニするときに毛が邪魔になるという観点から、ある程度毛量をすくことは良いかもしれませんが…。

 これ!という答えなんてないんです。
パイパンがいいらしいと真に受けてつるつるにしても、相手がモジャリアンが好きだ!という男子かもしれません。
それほど人の好みは千差万別です。
他者と比べて自分がどの立ち位置にいるか、安心したいのでしょうか。

「愛のあるセックスなのか不安」
 愛のあるセックスってそもそも何なのでしょうか。
こちらも、他人がどんなセックスをしているかのぞけないからこそ出てくるお悩みです。
また、近年はネットでAVも垂れ流しですので、「私がしてるやつとなんか違う…」なんて思う方も多いのだと思います。
あくまでAVはパフォーマンス&エンターテインメントですので、プライベートのセックスとの比較対照にはならないと思います。

 そして私が作っている女性向けのAVも、イケメンがそれはもう丁寧に前戯してヨシヨシしてパコパコしてくれるという、この世にない夢の世界を描いておるのです。
絶対に、絶対に比べてはいけません!!

 セックスで愛を図るという行為は、よくよく考えたらおかしな話です。
他にも日常生活で愛を感じる行動なんていくらでもあるでしょう。愛でセックスの良し悪しは決められなのではないでしょうか。
あれも愛、それも愛、これも愛、なんてよく言ったものです。
相手が違えばセックスの形も変わります。ボッコボコにハードにするのが愛というカップルもいるでしょうし、愛があるセックス=丁寧なヤツとは、ちょいと短絡的すぎる決めつけです。

 ただ、AV以外の、世の中にあふれている「セックス」は、愛ありきで描かれるのが常。
知らないうちに、そういう刷り込みをされているのです。

これもまた、他者と比べて自分の評価を気にしすぎているのでしょうか。

他者と比べることで発生する女性たちの悩み

 このほかにも、「セックスレス」「性体験がまだない」など、悩みのほとんどは他者と比較することによって発生しているのが分かります。
でも、いったい皆何と比べているのでしょうか?

 この情報社会、ネットや雑誌といったあらゆる媒体で、様々な意見を目にすることでしょう。
そしてネガティブな意見ばかり取り沙汰されて、煽られて、人々は不安になってしまいます。
しかし、その相手の見えない漠然とした「世論」ほど、実態がなく、当てにならないことこの上ありません。
だって、相手が変われば方法論は変わってくるのです。

男と女に、完璧な方程式なんて無いのです。

『女は男に評価されることによって生きる道が変わる』というのは言い過ぎかもしれませんが(あと腹立つ)、「嫁」というシステムがまさにそうで、「選ばれないことは悪」という世間体みたいなものもあります。
女が性を能動的に楽しみづらいのも、実態の見えない「男の目線」が気になるからで…。
自分の欲求が、目的が、いったい何なのか深掘りすることもできず、目に見えない鎖に雁字搦めになっているような気がします…なんだかなあ。
好きな人のために生きたい、好きな人が喜ぶ自分でありたい、そういう気持ちももちろんわかります。
でも、知らぬうちに我慢していることがあるのかもしれません。

 自分がいったい何と比べて不安になっているのか、悩んでいるのか。
具体的なアドバイスを求めるよりも、その根本を深掘りしてみるのも解決の近道かもしれません。

 性のお悩みに通じることですが、性についてのアンケートの結果なども人気があるそうですが、%で自分の立ち位置が大多数か平均なのか、そういう指数を欲しがるのです。
それによって安心するし不安にもなるのでしょう。

 でも、私がいつも思うのは、多数決にとらわれないで、「こんなに違う意見があるんだ!」って前向きにとらえてほしいなあということ。
「男が好きな下着」とか、黒が好きな人も白が好きな人がいる。それでいいんです。

 だからこそ、「その他」にひとくくりにまとめられてしまっている意見こそ、クローズアップしてほしいなあ、なんて。
情報ばかり集めてあたまでっかちになるよりも、世論に振り回されることなく、今目の前にいる相手のことを、もっと深く知ることが、解決の近道だと思うのです。

Text/牧野江里

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ライタープロフィール

牧野江里
女性向けアダルトDVDレーベル「SILK LABO」を立ち上げる。現在は社長。

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