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  • 2013.07.19

『エルティーン』『おちゃっぴー』…いつのまにか蓋をされた女の欲望/女AV社長の性欲解体新書

女性向けAVメーカー「シルクラボ」の社長を務める牧野江里さんのコラム記事。少女コミックをはじめとし、エルティーンやおちゃっぴーなどのティーン向け雑誌からムクムクとエロに対する好奇心を育てた牧野さん。「いつのまにか蓋をされていた」女の欲望に目を向けるきっかけとは?

もっと性描写のある漫画はないか!
立ち読みしてオカズを探す日々

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©by Shan Sheehan

『少女コミック(小学館)』との出会いにより、抑えていたスケベの芽がむくむくと発芽してしまったわたくし。

 一度知った刺激は、そう簡単に忘れることができないのが人の性です。
その後私は少コミだけでは飽き足らず、「他にも性描写のある買いやすい漫画はないか!」と本屋で立ち読みをしまくっていました。(これがいわばオカズドラクエ現象=お宝探すとキリがないこと)

 結果、コミック誌では少コミが一番ハイセンスなエロ描写だったのですが、コミック誌の他に、エッチな情報満載の雑誌を発見したのです。

 それが『エルティーン(笠倉出版)』『おちゃっぴー(サン出版)』の二大巨頭です。
『エルティーン』の方は、通常ティーン向けのファッション誌+ちょっとエッチな知識ネタで構成されていたのですが、時々『エルティーンspecial』という増刊号的なものがあり、全編エッチなネタで構成されるというスケベにはたまらないシロモノでした。

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『エルティーンspecial』(笠倉出版)

 私が鮮明に覚えているのは、別冊付録についていた「ABC解剖ブック!」みたいなやつ。
あらゆるスケベな行為をA~Zまでのアルファベットで隠語にするというトレンディな技法…わかりやすく言えば、スケベの暗号をまとめた広辞苑です。
おかげで女子がスケベトークをするときに、「ねえ、私こないだBしちゃった…!」という直球ではないアメリカンな表現で、ポップにエロを語る文化が広がり始めたのです!
このABC旋風…まさにナタデココばりに大ブームだったのですよ。
(それにしても誰が言い始めたのか、調べてもわかりませんでした……。情報求む!)

 しかし恐ろしいことに、出版社によってその解釈が違い、少女時代の私は
「Dは妊娠か、それともディープキスを現すのか、どっちなんだあああ!!!!」
と頭を悩ませて苦しんでいました。
いや、そんなことはどうでもよいのですけれど。

何だこの股間のエロい筋は…!?
『おちゃっぴー』男性グラビアの衝撃

『エルティーン』のABCの衝撃よりも、さらに過激だったのは『おちゃっぴー』です。

 そもそも『おちゃっぴー』という雑誌名も衝撃的なのですが、本当に『おちゃっぴー』の中身はすごかったんです!!!!

 読者の過激なH体験談はもちろんですが、最高に私をグッとこさせたのは「男性のグラビア」でした。
今でいうオシャレなヌードグラビアなんかではございません。

男 AV社長
by 牧野江里

 色々なタイプの全裸の男性が、白バックの殺風景なバックに、手で股間を隠して立っている、というものでした。
そして横にはその男性のプロフィールや性癖的なことが書かれているのです。

 こ、これは…!!初めて見る父親以外の男のカラダ…!な、なんなんだこの股間のエロい筋は…!(※イラスト参照)
このスケベの波動砲は、気になって気になって夜も眠れないほど爆撃でした…。
この経験が、のちに私の「男を消費する」という思想を生んだといっても過言ではありません。

 女子の剥き出しの性欲…というより思春期ならではの好奇心を満たしてくれた、今では考えられない雑誌です。
思春期の人間たちが興味を持つことに対して直球でタマをぶつけてくる感じ…。

そこには潔さも感じます。人間は抑圧したところでスケベな欲求には勝てない、そういう信念がおそらくあったのでしょう。

一度はポップに解放されたのに
また蓋をされた女の欲望

 また、時同じくして、大人の女性には「レディースコミック」という女性向けエロ漫画が一大ムーブメントとなっていました。
なんと、当時発行部数が50万部近いこともあったとか!
さらに、男性の方も「ギルガメッシュナイト」という深夜のエロ番組が繁栄し、よもや90年代初頭は世の中総スケベ時代だったのです!

 そうして世の中はスケベで溢れ返り、人々は刺激に刺激を重ねエロゾンビに…。
結果として過激の一途を辿り、問題視され、淘汰されていったのです。

 またしても人々は性欲をひた隠しにする時代がやってきました。
TVでおっぱいを見るのが困難になるほどに…。
しかし、そこにタイミングよく現れたのが、ワールドワイドウェブ…そう、インターネット。ネットの普及によって、日本人の性欲はポップから、より陰湿なものに変化を遂げていくのです。

 一度はポップに解放された女の性。
しかし、バブル崩壊のごとく、その浮かれモードは一瞬でした。

急速に世間に抑圧され、自由を奪われ、あっという間に私もスケベを前面に出せない女になっていきました。
隠さなくてはいけない、という妙な圧力を感じたのです。
そして女性の性的コンテンツはリアリティからファンタジーへと変化し、ボーイズラブブームへと流れていったように思います。

 いかがだったでしょう。
このように、時代を遡ると、女性だって性的コンテンツを楽しんできたのです。
メディアもその可能性を感じ、スケベを供給していたのです。

「女の欲望は、いつの間にか蓋をされていた」これが私の仮説です。
次回からは、この仮説を元に、さらに深い女性の欲望をひも解いてゆきたいと思います。

Text/牧野江里

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ライタープロフィール

牧野江里
女性向けアダルトDVDレーベル「SILK LABO」を立ち上げる。現在は社長。

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