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  • 2013.09.23

フジテレビは一般市民の桃源郷!/少年アヤちゃんが行く東京散歩

少年アヤちゃん 東京散歩 AM コラム

 海に囲まれているせいか、どこか離れ小島のようなイメージが漂うお台場。
新橋からゆりかもめに乗って向かうと、レインボーブリッジに差し掛かった瞬間、同乗の家族連れが「わぁ!」と歓声をあげた。

 なるほど確かに、海の向こうに煌めくお台場は、どこか桃源郷じみて見える。
子供たちは「フジテレビだ!フジテレビだ!」と騒ぎ、ゆりかもめ内はじわじわと希望のようなもので満たされていく。
ああ、この先でなにかステキなことが起きるんじゃないか。

 彼らがお台場に投影している希望というのは、芸能界に対する漠然とした憧れの気持ちだと思います。
普段の生活からは想像もできないような、華やかな夢の世界。
近づこうとしても近づけない、選ばれ者のみが立ち入れる世界。

 そんな世界が、年に一度だけ民衆を招き入れるのが、夏の風物詩・お台場合衆国
言わずと知れたフジテレビ主催の人気イベントですが、今回はそんな合衆国に殺到する、庶民たちの熱狂を見に行きました。

少年アヤちゃん 東京散歩 AM コラム

「楽しくなければお台場じゃない!冒険しなけりゃ夏じゃない!」

 不況や自然災害ですっかり参った我々を鼓舞すようなスローガンは、その暴力的な勢いに任せて、庶民から入場料1700円をむしり取るというおそろしいプロパガンダになっていた。
客層は家族連れがほとんどで、なかには小中学生の仲良しグループの姿なんかも見られましたが、全員に共通していたのが、妙に興奮した表情。
まるで「来たぞ、俺はとうとうこの世界に!」とでも叫び出しそうな、覇者の顔になっていたのです。

 恥ずかしいような、尊いようななんとも言えない気持ちにさせられつつ、エスカレーターを昇ってビルの中へ。

少年アヤちゃん 東京散歩 AM コラム
少年アヤちゃん 東京散歩 AM コラム

 中に入ると、「ごきげんよう」のスタジオ(無人)や、出演者控え室、各種バラエティの小道具などが展示されていたのですが、内容以上に、それらをジッと眺める人々の熱気に圧倒された。
なんというか、真面目すぎるのである。
「どうしよう…すごいところに来ちゃった」みたいな、静かすぎる感動。
その横顔は、なんだか恥ずかしさを通り越して切なかった。
彼らにとって人気芸人のパネルは、さながら教会のステンドグラスのように神聖なものだったのかもしれない。

 いくつか点在するショップはどこもにぎわっていて、女子アナとコラボしたアパレルや、人気番組のグッズ、また自社ビルの球体をもじったグッズなどが様々に展開されていたのだが、ここで私もとうとう辛抱ならなくなり、「逃走中」のメモパッドなんて買ってしまった(使い道ねーよ)

 それはつまり、己の中にもあった芸能界への憧れ、浮つきを、とうとう認めてしまった瞬間であり、恥ずかしながら、やっぱり私もうれしかったんだと思う。
このお祭りに来れたことが……。

 そんな一般庶民たちの信心を汲み取り、イベント&グッズという形で利益に繋げるフジテレビの商魂センスは、改めて凄い思う。
そしてこんなに大勢の人が芸能界を渇望しているのなら、高視聴率もヒット曲も簡単だろうなんて思ってしまうのだが、それはまた別なんだろうか。

少年アヤちゃん 東京散歩 AM コラム

 しかし、浮かれながら本社を出て、吹き抜けのようなところに広がっていた光景に、この祭りの深淵のような見てしまった。
そこではなんと、庶民たちが一心不乱にカップヌードルを貪り食っていたのである。
一応正式にブースで販売されていたものではあったものの、入場料1700円の弊害がこんなところに現われるのかと思った。

 豊かさってなんだろう。
というより、ひょっとしたら食を削ってまで優先すべき1700円だったのかもしれない。
芸能という神々の住処で、球体を見上げながら麺をすする庶民たちの顔は、恍惚と輝いてさえ見えた。

Text/少年アヤちゃん


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ライタープロフィール

少年アヤちゃん
平成元年、消費税と共に生まれたブスでニートのオカマ。サゲマンJAPAN代表。

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