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  • 2012.08.23

男の言い分コラム・勝手にタレント名鑑 第4回:剛力彩芽はつのだじろうの『恐怖新聞』である

第4回:剛力彩芽はつのだじろうの『恐怖新聞』である


スマホの普及率≒ゴーリキの認知度

By e d o
©By e d o

女性誌『anan』で「スマホ女子」の特集が組まれたのは、たしか昨年の夏頃だったと記憶しています。
当時、スマートフォンはまだ情報感度の高い人の持ち物で、女性のスマホユーザーとなるとかなり少なかったのです。
そしてちょうど同じ時期、テレビ東京のドラマ『IS~男でも女でもない性~』(2011年7~9月放送)で主演を務めていた剛力彩芽のことを知る人も、世間にはまだほとんどいなかったのではないでしょうか。

 それが、今ではどうでしょう。
みんなが当たり前のようにスマホを使い、LINEでリアルタイムに連絡を取り合っている人と、ガラケーでせこせこメールを打っている人とのコミュ力の差は、もはや「村八分」と言っていいほど雲泥の差にまで開いています。
そして現在、CMや雑誌の表紙で、剛力彩芽の姿を見ない日はありません。

 何か巨大な力が、大きなうねりで時代をむりくり変えようとしているのを感じないでしょうか。

 思えば、私たちはこれまでさまざまな歴史のパラダイムシフトの瞬間に立ち会ってきました。
CDウォークマン、MD、そしてiPodへの変化。
ブリーフからトランクス、そしてボクサーパンツの勃興。
ラブホテルからファッションホテル、そしてカップルズホテル、リゾートホテルといった言い換え。

…えーと、最後だけたとえを間違えた気もしますが、とにかく!
そういった歴史的転換の波にのまれるうちに、私たちは剛力彩芽を最初に見たときに抱いたはずの新鮮な感情を忘れ、当たり前のように「かわいい」にカテゴライズされている現状を受け入れています。
しかし、果たしてそれでいいのでしょうか。

“好感度”という名の怪奇現象             

OK Go By eastscene
©By [kajsa]

 インターネットでは今、誰が言い出したのか、こんなことがまことしやかにささやかれています。

「剛力彩芽って、つのだじろうの書くマンガの顔に似てね?」

 言い得て妙、と思わず膝を打ってしまいましたが、これは私たちが剛力彩芽に抱いている“違和感のようなもの”を端的に表しているのかもしれません。

「かわいいか?」と聞かれれば、もちろんかわいいのです。
しかし、それは長澤まさみや堀北真希のように、決して男性が主体的/能動的に「付き合いてえ」と欲望するような種類のかわいさではありません。

 では、女性が女性をほめるときに使う独特の「かわいい」なのかと言えば、それもまた違います。
女性が「この子、かわいいよね?」という女性タレントやモデルは、男性からすると「う、うん、そうだね…」と答えるしかないエッジの効きすぎた顔立ちであることがしばしばありますが、剛力彩芽はそういうタイプではありません。

 多部未華子と、奈良美智の絵に描かれる子供を、同じテンションで「かわいいー」と言いがちな女性の“かわいいアンテナ”にササる感じでもないのです。

 もちろん、ハイファッション好きの女性が憧れる水原希子のような、擬音で表すなら「シャキーン!」みたいなソリッドな質感の美人でもなければ、サブカル系の女子が推してくるきゃりーぱみゅぱみゅのような、ケロケロした爬虫類系の愛嬌でもない。

 そう、誰がどのように支持しているのか見えてこないのに、ただ圧倒的な露出の多さでブレイクしている。
強烈な好き・嫌いといった感情のないまま、世間の“好感度”だけが高くなっているところが、剛力彩芽の奇妙な違和感と、つかみどころのなさだと言えるでしょう。

 中学・高校時代は地味でパッとせず、全然モテなかった女子が、大学や専門学校に入って“オシャレ”“センスがある”“雰囲気がある”みたいな理由によって、急に「美人」「かわいい」にカテゴライズされることってありますよね。
男の「好み」や「タイプ」なんていい加減なので、周囲の評価が高いとわかった途端、それまで気にもかけなかった子のことが気になり出したりするものです。
男にとって、剛力彩芽もまたそんな存在なのではないでしょうか。

 ランチパック、au、ミスタードーナツ、ジョアetc……。
毎日毎日、CMで繰り返し彼女の姿を見せられるうちに、私たちは彼女の人気がすっかり国民的な同意を得たものだと思い込まされています。 それはまるで、毎朝毎朝ポストに届けられ、徐々に主人公の日常を侵食していく、つのだじろうの『恐怖新聞』のよう。
“好感度タレント”とは、そういった目に見えない不思議な力が作り出す、怪奇現象なのかもしれません……。

Text/Fukusuke Fukuda

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ライタープロフィール

福田フクスケ
フリーライター。“くすぶり男子”の視点から恋愛やジェンダー、セックスなどを考察。

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