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  • 2012.06.29

“ワタシなんか”と連呼する女

in the windy days... By Kent Ng..jpg
©in the windy days... By Kent Ng..jpg

「へりくだる女」[ヘリクダル・オンナ] hélə・kˈʊd・æl・onna

生息地:人間が密集して10個体以上集まっている場所に、必ず突如として現れる。ネグラはファンシーなインテリアで揃えていることが多い。日本各地に生息。
特徴:“かわいらしい”見た目に擬態。集団の中で弱そうに見えて、実はもっとも生存確率が高く、周囲の個体を支配している。

 新入社員が10人以上いると、必ず一人は現れる、「もっとも先輩から可愛がられる」キャラ。
飲み会でも、必ず現れるの。
すごくいいコだし、全然悪いコじゃないし、アタシも一瞬カワイイと思うし、可愛がられるのも当然だなと思うのに、なぜか気になる「へりくだる女」。

 自分を下げて相手を持ち上げるのは別に悪いことじゃない。
世の中そんなにみんな正直に生きてるわけじゃないし、みんながみんなお世辞もおべんちゃらも言わない世界もまた気持ちが悪い。
「へりくだり」にも種類があって、気になるへりくだり方は「ワタシなんか~」という言葉。

「ワタシなんかとんでもないです」
「ワタシなんかを誘ってくれてありがとうございます」
「ワタシなんかが一緒でもいいんですか?」
「ワタシなんかお役に立てるかどうか」
「ワタシみたいな人間なんかでよかったら……」


 言葉尻に「クスン」って涙浮かべて、ハンカチの端っこかじってる、そんな姿が見える。
「エースをねらえ!」かっ。鮎原こずえかっ。「だって、女のコだもん」ゆうてる場合かっ。
そこまで自分を貶めたら、そこまで悲劇のヒロインぶったら、その言葉逆に計算だと思っちゃう。
“へりくだり”は、自分への攻撃を最小限にする戦略。
「私は弱い人間で、価値などないので、攻撃なんぞしたらアンタたちの株が下がるから攻撃しないでね❤」という策略。
基本的にズルい。

 「テヘペロ」が言葉の最後に付くのよ。

だって、「ワタシなんか」って言うほど、自分を本気で価値のない人間だと感じているなら、精神的に不健康だし、堂々と会社や飲み会で人の前なんかに出ていられない。
相手が王族だったり、ものすごい重役だったり、ものすごい大物芸能人に言うならわかるけど、それを同じ会社の同僚レベルや、先輩レベル、いってもせいぜい部長レベル相手にしてはやりすぎ。
そんなに自己肯定ができていない人なら、むしろメンタルケアが必要よ。

 大抵の「へりくだる女」の存在が気になるのは、そうやって「弱くて価値の低い女」に“擬態”することで、本当に自己肯定ができてなくて生き辛さを感じている人を貶めているから。
大好きな米テレビドラマ「glee」で、車いすの男のコに、吃音の女のコが告白するシーンがあるの。
「実はあたし、吃音のフリをしているの。だってそうすれば、発言しなくていいし、楽だったし……」って。
そうしたら車いすの男のコは、こう返すの。
「君には失望した。君の“吃音”はいつでも直せるかもしれないけど、ボクは一生歩けないんだ」。

 弱いフリをする女は、本当の“弱者”のイメージを利用して貶めている。
そう考えると、なんかカワイイっていうより、攻撃したくなるわね。


 あ~あ、こんなことをセコセコ書いていろんな人に嫌われてるアタシって、自分でもイタいわ……って、辛さアピールしても誰も信じてくれないんですけど!
マジで辛いのにっ!

advice

“へりくだり”は、塩梅を考えて。自分を弱く偽装するへりくだりでトクをしようとする前に、本当にケアが必要な人のことを考えて。

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