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  • 2014.04.09

パルムドール受賞!道徳と美が荒れ狂う中、女と女は愛し合う『アデル、ブルーは熱い色』

 激しくて狂おしい気持ち。相手を想うほど身体が疼き、火照り出すような恋なんてどうやって訪れるのでしょうか。
出会いのタイミングは数多くあれど、一目惚れが運命を狂わせる事だって大いにある。
事実、この二人は一目惚れから始まった。

「人生に偶然はない」

 彼女が言った言葉の意味とは一体?
アデルとエマが恋に落ちた。ただそれだけなのに、こうも狂おしい物語があるのでしょうか。

たけうちんぐ 映画 死ぬまでには観ておきたい映画のこと アデル、ブルーは熱い色 ジュリー・マロ Blue is the warmest color アブデラティフ・ケシシュ レア・セドゥ アデル・エグザルコプロス サリム・ケシゥシュ モナ・ヴァルラヴェン ジェレミー・ラユルト コムストック・グループ レズビアン パルムドール スティーブン・スピルバーグ ラブストーリー 耽美 恋愛 セックス
© 2013- WILD BUNCH - QUAT’S SOUS FILMS – FRANCE 2 CINEMA – SCOPE PICTURES – RTBF (Télévision belge) - VERTIGO FILMS

 第66回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞し、審査員のスティーブン・スピルバーグ監督が「映画史の長い歴史でもめったにないことだ」と大絶賛。

世界が注目する本作の監督を務めるのは、『黒いヴィーナス』のアブデラティフ・ケシュシュ。ジュリー・マロのコミックを映画化し、アデル役をアデル・エグザルコプロス、エマ役をレア・セドゥがそれぞれのキャラクターに息吹を与えます。それは生々しくて熱い。肉感的な裸体と情熱的な恋が飛び込んでくる。
フィクションであることが疑わしいほど、リアルな感情描写が観る者の心を襲います。


一瞬で心を奪われた相手は、女性?

 【簡単なあらすじ】
 始まりはデートの途中だった。街中で青い髪の女性・エマ(レア・セドゥ)にすれ違ったアデル(アデル・エグザルコプロス)はそれ以後、エマの事しか考えられなくなる。
やがてバーでエマと再会したアデルは友情を軽く飛び越えた愛情を抱き、二人は激しい恋に落ちてしまう。エマは独特の感性を持つ画家、そしてアデルは教師を目指していた。

 ある日、エマの作品披露パーティが開かれるが、その時のエマの態度の変化に、アデルは彼女と別の画家との関係に疑いを持つ。狂おしい寂しさを覚えたアデルは、同僚と身体の関係を持ってしまうのだった。
次第に歯車が狂い始める二人の恋の行く末とは——。

窒息してしまうほどの恋とは?

 これはフィクションなのか?まず、そんな疑問がわいてくる。
それほど生々しい描写が多く、顔のクローズアップの連続で心地よい窒息に陥ってしまう。それは誰かを想う時の息苦しさに似ている。
アデルがエマに一目惚れし、運命的な出会いを果たした時からアデルの窒息を共有してしまうのです。

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© 2013- WILD BUNCH - QUAT’S SOUS FILMS – FRANCE 2 CINEMA – SCOPE PICTURES – RTBF (Télévision belge) - VERTIGO FILMS

 一目見て忘れられなくなったあとに、エマと再会するシーンが印象的。音楽が爆音で流れるバーは非日常的で、独特な雰囲気を持つ青い髪のエマにピッタリの空間。
彼女との出会いはバーと同じくある意味非日常で、女子グループと男子の話題で戯れる退屈な日常を打ち壊す衝撃なのかもしれない。

 哲学的で知性溢れるエマに惹かれていくアデルの表情が生々しい。想いが募るほど、淋しい感情が沸き立ち、エマと距離が生まれてしまう悲しさを鑑賞でなく、体験してしまう。
それほどまで本作は吐息がすぐ傍で聞こえ、突然始まる喘ぎ声はまるでその場で鳴っているかのよう。


ただ、そこに在る愛を切り取る

 実はこの映画、カメラの存在をまるで感じない。
こんなラブストーリーはあっただろうか…。まるで隠しカメラのようにアデルとエマの生活を追っている。それが特別な関係でも、特別な感情でもないと言わんばかりに、どこにでもある風景のように切り取っている。

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 二人の関係を妨げるのは世間の蔑む目でも、同性愛でもない。
二人に距離を作るのは、多くの恋愛映画で描かれているような心のすれ違い。

 教師を目指すアデルの道徳と、画家のエマの芸術。その二つに寄り添うようなセックスシーンは過激とはいえ、美しさの方が勝る。彫刻のような裸体が映っている。
同性愛を一切特別視しない描写が最後まで続いている。二人の絡み合う身体に淫靡な要素は無く、耽美しかない。

 ただそこに在る、二人の女性の恋愛を映し出すという独特な手法が成功している。
愛されていないと実感する時の切なさ、それを解消しようとすればするほど遠のいていく淋しさ。

 エマが発した「人生に偶然はない」の言葉を裏返すと「人生は必然である」。
恋の終焉すら必然であるとも受け取れるセリフ。非日常は続かない。いつか終わる夢。
それこそが青春なのかもしれません。

男も女も、恋の前ではみな平等

 アデルとエマはどのように恋に落ち、そしてどんな結末へ向かっていくのか。
身に覚えのある光景、感情、結末が待ち構えています。

 彼女たちが女性であっても男性であっても、恋の前では人類みな平等。

 しかし、愛に翻弄されながらも、決して人生を見失わず、教師、画家の道を歩んでいく彼女たちの姿は凛々しいのです。
この熱い色をぜひ体験してみてください。


2014年4月5日(土)より、新宿バルト9、Bunkamuraル・シネマ、 ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー

原作:ジュリー・マロ「Blue is the warmest color」 監督・脚本:アブデラティフ・ケシシュ
キャスト:レア・セドゥ、アデル・エグザルコプロス、サリム・ケシゥシュ、モナ・ヴァルラヴェン、ジェレミー・ラユルトほか
配給:コムストック・グループ
原題:LA VIE D’ ADELE CHAPITRES 1 ET 2/2013年/フランス映画/179分
URL:映画『アデル、ブルーは熱い色』公式サイト

Text/たけうちんぐ

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