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  • 2014.03.07

映画界最注目監督の最新作!あなたの中の“少女”が今まさに悲鳴を上げ、暴き出される『5つ数えれば君の夢』

 時に、あなたはいつから大人になった?
かつて“女の子”であったあの子はやがて、“女”、“おばさん”と名称と形態を変えていく。
形態とはいえ、虫が蛹となって羽化するように分かりやすいわけでもなく、『ドラゴンボールZ』の敵キャラのように最終形態が最強とは限らない。
むしろ、大人になるにつれて心と身体のバランスが危うくなる。最弱になっていく。

 この映画の女の子たちはどうでしょうか。
光に包まれ、正体が暴かれていく。大切なものを命のように抱えて、それを自ら壊していく。
あなたが“女の子”である以上、絶対に観なければならない映画がここにあります。

たけうちんぐ 映画 死ぬまでには観ておきたい映画のこと 山戸結希 山邊未夢 新井ひとみ 庄司芽生 小西彩乃 中江友梨 大和田健介 内田春菊 SPOTTED PRODUCTIONS 5つ数えれば君の夢 少女 スクールカースト 大人 煌き
©2014『5つ数えれば君の夢』製作委員会

 上智大学在学中に監督した『あの娘が海辺で踊ってる』がポレポレ東中野で連日満員を記録し、あらゆる映画作家・評論家らが絶賛する新しい才能・山戸結希監督の商業映画デビュー作。
主演を飾るのは、人気ガールズ・ボーカル&ダンスグループ「東京女子流」の山邊未夢、新井ひとみ、庄司芽生、小西彩乃、中江友梨。
鋭くて尖った感性が詰まっている。台詞は詩のように連なっている。どうしても、ただの青春映画に落ち着かない。
少女特有の瑞々しさと繊細な人間模様を、観る者の心を搔きむしるくらい強烈に描き出しています。


少女たちの憧憬、焦燥、衝動に心がえぐられる

 【簡単なあらすじ】
 文化祭を間近に控えた女子校。そこで始まるイベントに周囲が騒がしい。
傍観する子、我が道を進む子、妬む子、寄り添う子、まとめる子。さく(山邊未夢)、りこ(新井ひとみ)、宇佐美(庄司芽生)、都(小西彩乃)、委員長(中江友梨)がそれぞれ抱え込み、守り抜くものとは一体何か——。

光の牢獄“女子校”は今も続いている

 女子校の女の子たちは今日もキャーキャーと騒いでいる。表層部は美しい地と森と海で出来ていても、その最下層ではマグマがドロドロと燃え盛る。騒ぎの中では冷笑と中傷が入り交じる。

 まるで独裁者の支配下にあるどこかの国。はたまたアルカトラズの牢獄。
誰が偉いわけでもないはずの女子校のスクールカーストで、ただひたすら光り続ける者は除け者にされ、その光を灯す者は脅される。そして脅す者もまた、かけがえのないものを守っている。

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©2014『5つ数えれば君の夢』製作委員会

 誰が主人公でもない。誰も悪くない。5人の女の子が皆同じくらい重要に描かれ、同調しても、対立しても、5人全員に感情移入してしまう。
さくが守り抜くもの、りこが貫くもの、宇佐美が信じるもの、都が寄り添うもの、委員長の感じるもの。それらは誰もが生きていく中で少なからず小脇に抱え、何度も何度も地面に落とし、急いで拾っているものなのかもしれません。光の牢獄“女子校”は、今まさに身に覚えのある世界ではないでしょうか。

 終盤、それらの葛藤が一極集中する。少女たちの眼差しに小指が震え、唇が振動していく。心が打ちのめされる。
眩い光に満ちた感動が、身体の弱い部分から効いてくるのです。


その煌めきはすべての“女の子”を丸裸にする

 時に、少女たちは大切なものを自ら打ち壊してしまう。
それは、その子たちにとって命より惜しいものかもしれない。自らを人質にし、他人に身代金代わりの感傷を促す。
育ててきたものや培ってきたものを破壊し、全く違う次元であるはずの二つが体育館で同時に花咲くシーン。
それは圧巻の一言、では片付けられない。二言も三言も言葉を紡いでも敵わない。

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©2014『5つ数えれば君の夢』製作委員会

 全編ピアノの伴奏が響き渡り、その鳴り止まない音楽が突然止まる。窓から差し込む光が少女を包み込む。その瞬間、胸が張り裂けそうになる。息が詰まるのと同時に、爆撃を食らったかのような耳鳴りが残る。
心をえぐる映画です。表層部が崩れて、涙でメイクが取れ、急いでハンカチを取り出してももう遅い。最下層のマグマがバレる。ずっと隠していた熱が見つかってしまう。

 その光は観る者の正体を晒す。被害者は10代だけではない。
「君もそうだろう?」と、20代、30代、40代までもが丸裸にされてしまう。
山戸結希監督の感性が光となり、少女の美しさと汚さを同時に曝け出すのです。

 言葉と言葉と言葉の間に挟まれて、すり減ったのは作り込まれた“大人”の形。まつ毛も、メイクも、服も軒並み涙で剥がされる。
上映が終わり、映画館が明るくなれば、そこには生身の少女しか残らないのでしょう。

少女たちの姿に何を想う?

 見て見ぬをふりをしていた自分自身と再会し、幾ら背伸びをしても届かなかったあの子、あの人を思い出す。
ある人にとっては生涯の一本になる。または、トラウマレベルで忘れたくても忘れられない一本になるはずです。

 物語が自らの経験のように錯覚する瞬間に、太刀打ちできるかどうか。
それにはある意味、覚悟が必要です。
スクリーンの光と、さらに煌めく少女たちの光に目を覆うか、まばたきで済ませるか、ガン見するかはあなた次第です。


3月8日(土)、シネマライズほか全国順次ロードショー

監督・脚本:山戸結希
キャスト:山邊未夢、新井ひとみ、庄司芽生、小西彩乃、中江友梨、大和田健介、内田春菊
配給:SPOTTED PRODUCTIONS
2014年/日本映画/85分
URL:映画『5つ数えれば君の夢』公式サイト

Text/たけうちんぐ

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