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  • 2014.01.08

リアルな夫婦の9年後を描く!“口撃”する女VS理論でかわす男『ビフォア・ミッドナイト』

 会話は大切です。黙っていても気持ちは伝わらない。
不機嫌になると黙ってしまう癖があるけど、それでは相手に怒っていることも伝わらないし、ますます怒りを増幅させるだけ。特に男女間で、黙っていて相手に気持ちを伝えられるなんて幻想でしょう。そんな事ができるのはフォースの力くらいです。
何でも言い合えるカップルが理想。この映画のジェシーとセリーヌは、まさにそれです。

 
>たけうちんぐ 映画 死ぬまでには観ておきたい映画のこと リチャード・リンクレイター イーサン・ホーク ジュリー・デルピー アルバトロス・フィルム ビフォア・ミッドナイト 夫婦 会話 口撃 ラブシーン ヌード
©2013 Talagane LLC. All rights reserved.

 列車で偶然出会った男女を描いた『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(ディスタンス)』(1995)。その9年後の二人を描いた『ビフォア・サンセット』(2004)。さらに9年を経た二人を描いた本作は、監督がリチャード・リンクレイター、主演がイーサン・ホーク、ジュリー・デルピー。
18年間、今の高校3年生くらいの子が産まれた頃からこの三人で貫き通しているのです。
世界中にファンを生んだ『ビフォア』シリーズ最新作。出会った頃と違い、もはや青春とはほど遠い年齢になった二人のラブロマンスとは一体?


初々しかった二人の姿はどこに…?

 【簡単なあらすじ】
 小説家のジェシー(イーサン・ホーク)と環境活動家のセリーヌ(ジュリー・デルピー)は双子の娘に恵まれ、幸せな家族を築いていた。しかし、元妻と関係が良くないジェシーはそのせいで息子に会えず、苦悩する。
一方、セリーヌは先が見えない仕事に頭を抱えていた。そんな中、ジェシーが息子のいるシカゴに引っ越そうと提案したことにセリーヌが激怒する。

  別荘で子どもたちを預かってもらい、教会、海辺などで夕日を眺めながら二人だけの時間を作り、リラックスした時を過ごすジェシーとセリーヌ。しかし、ちょっとした会話のすれ違いから、再び険悪なムードとなり、セリーヌがホテルの部屋を飛び出してしまう……。

脚本を手がけるのは、主演二人×監督

 やっぱり男女は生き物として決定的に違う。現実では残念と絶望しかないのですが、映画にしてこの男女のすれ違いを端から見ると、とにかく笑えるのです。
なんといっても魅力的なのは、男女の台詞の数々。そこには恋愛、仕事、家族、未来すべての要素が詰まっている。哲学的に物事を考えるセリーヌの言葉に、ジェシーが理論的に言葉を添える。女の“口撃”に応戦できる男は小説家くらいなのでしょうか。それでも全然負けています。

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 主演の二人はまるで、あらかじめ決められた脚本とは思えない自然な言い回し。
それもそのはず。脚本はイーサン・ホーク、ジュリー・デルピー、リチャード・リンクレイターが前作同様に三人で手がけており、その才能はアカデミー賞の脚色賞にノミネートされたほど。それぞれ監督業もこなす主演二人。三つの才能が集結した、ある意味最強のラブストーリーなのです。

 前作を観ていなくても楽しめるし、その後にエピソード1、2として二人の軌跡を追うことができる。
成長した部分と変わらない部分、どちらも観ていて微笑ましく思えるはずです。


いまだかつてない、“ヌードの無駄遣い”

 本作ではジュリー・デルピーが当たり前のように脱ぎます。
普通、映画のヌードってラブシーン等「ここぞ!」という場面にしか出てこない。だけどこの映画は違う。これからセックス!というタイミングでケンカになり、なんとセリーヌが胸を露にしたままジェシーを責め立てる。
ラブロマンス映画で、ここまでエロもロマンも微塵も感じさせないヌードなんてあるでしょうか?

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 もちろん、この場面こそが『ビフォア』シリーズの真骨頂。ロマンスっていうものは所詮、一過性です。ロックンロールやアイドル以上に初期衝動で終わり、結婚、出産、その後はズルズルとおっぱいは萎み、ペニスは下がっていく。
そのリアルを18年の歳月をかけて再現し、映像化しているのです。

 そりゃもう、ジュリー・デルピーは美しいです。が、やはり歳月は残酷なもので、お母さん的体型の彼女の裸を我々は見ることになる。これこそが現実を直視ってやつです。
そして、この“ヌードの無駄遣い”っぷりは、恐らくあらゆる夜の営み前後で行われていることでしょう。

夫の巧妙な復縁作戦とは?

 終盤には、ラブコメディにお決まりの展開が待っているわけですが、小説家だけあってジェシーのヨリを戻す作戦が巧妙すぎるのです。
頭がガチガチに凝り固まったセリーヌを納得させる、ジェシーの会話テクとは一体?

 これにはひれ伏すしかありませんでした。本作では「喋るんじゃない。感じろ」なんて他人任せの気持ちは皆無です。
「感じるんじゃない。聞け」と言わんばかりの会話劇ラブロマンスを、ぜひ体感してみてください。


1月18日(土)より、全国ロードショー!
Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿バルト 9ほか

監督:リチャード・リンクレイター
キャスト:イーサン・ホーク、ジュリー・デルピー
配給:アルバトロス・フィルム
原題:Before Midnight/2013年/アメリカ映画/108分
URL:映画『ビフォア・ミッドナイト』公式サイト

Text/たけうちんぐ

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