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  • 2013.10.02

福山雅治×リリー・フランキーが父親を熱演!二コール・キッドマンが号泣した「親子の絆」とは?『そして父になる』

 「父」と「母」は、その称号を誰かから授かるものではない。
養ったから父なのか。産んだから母なのか。たとえ血が繋がっていても、本当に父と母と呼べるのでしょうか。
これは息子が取り違えられるという事件により、息子が息子ではなく、親が親ではない事実を目の当たりにする二つの家族の物語です。
6年間愛情を注いできた息子との間柄が突然失われた時、父(のような父)と母(のような母)はどのような決断を下すのでしょうか。

是枝裕和 福山雅治 尾野真千子 真木よう子 リリー・フランキー ギャガ そして父になる 子供 取り違え カンヌ 二コール・キッドマン たけうちんぐ
© 2013『そして父になる』製作委員会

『誰も知らない』『歩いても 歩いても』など、どの作品も世界的評価を受ける是枝裕和監督。ミュージシャン、そして俳優としても国民的存在の福山雅治。この二人がタッグを組んだら恐いものナシ!
更にそこにリリー・フランキー、真木よう子、尾野真千子、井浦新、風吹ジュン、樹木希林、そして今年5月、惜しまれながら永眠した夏八木勲ら豪華なキャストが勢揃いしたのですから、名作が生まれないわけはないでしょうね。

 カンヌ国際映画祭で審査員長のスティーブン・スピルバーグが大絶賛し、見事審査員賞を受賞。あの二コール・キッドマンが後半1時間は涙が止まらなかったといいます。

 ハリウッドでのリメイクも決定し、世界が、日本が、それほどまで心酔する映画とは一体何なのでしょうか。
その正体は、幸せと豊かさを追い求める人、かつて子どもだった人、そしていずれ父と母になるすべての人の心を揺さぶる人間ドラマなのです。


ストーリー

 一流大学を卒業し、大手建設会社に勤める野々宮良多(福山雅治)は高級マンションで妻・みどり(尾野真千子)、息子・慶太(二宮慶太)と幸せな暮らしを送っていた。だが、ある“事件”が彼の生活を大きく揺るがす。

 みどりが慶太を産んだ病院から、出産時に子どもの取り違えがあった事実を聞かされる良多とみどり。まさか、6年間愛を注いできた慶太と血が繋がっていないなんて……動揺を隠し切れない二人は、取り違えられた先の斎木雄大(リリー・フランキー)と斎木ゆかり(真木よう子)ら一家に会うことになる。
群馬の小さな電気店を営む夫婦に育てられた、本当の息子・琉晴(黄升絃)。だが、良多は生活環境が全く違う斎木家に困惑し、葛藤する。

 やがて息子の“交換”をする野々宮家と斎木家。状況がうまく飲み込めないまま、慶太と琉晴はそれぞれの親(だった二人)のもとから離れるが……。

対照的に描かれる父二人、母二人、子どもと大人

是枝裕和 福山雅治 尾野真千子 真木よう子 リリー・フランキー ギャガ そして父になる 子供 取り違え カンヌ 二コール・キッドマン たけうちんぐ
© 2013『そして父になる』製作委員会

 良多と雄大は対照的です。エリートで完璧主義者、そして家庭よりも仕事を優先する良多。庶民的でちょっぴり適当、だけど家庭を何よりも優先する雄大。

 当然、二人の子どもの育て方も大きく違ってくるわけです。上品で一流に育てられた慶太と、自由で明るく育てられた琉晴。“交換”で互いの家庭に入ると、そこで戸惑いを感じてしまうのは仕方ないこと。
そして、妻の立場も全く違う。夫に抱く不満と、それを吐き出せるか否か。言いたいことが言えるゆかりが、みどりにとっては羨ましく思えるかもしれない。
家庭を想う気持ちは一緒でも、生活と境遇がこうも違ってくるものなのかとビックリする。

 このように、本作ではあらゆる対比が描かれている。特に面白いのは、子どもと大人の対比。
良多の心無い発言により、二つの家庭の間に亀裂が入ってしまう。子どもたちは一緒に遊んだらすぐに仲良くなれるのに、大人は難しい。この対比が何とも痛快で、恐ろしいのです。
子どもはどんどん成長するけど、大人はなかなか成長できない。大人の怒鳴り声と子どもの遊び声が同時に聞こえたときにこそ、それを痛感させてくれるのです。


     

本当の豊かさとは何か? 子どもはそれを知っている

是枝裕和 福山雅治 尾野真千子 真木よう子 リリー・フランキー ギャガ そして父になる 子供 取り違え カンヌ 二コール・キッドマン たけうちんぐ
© 2013『そして父になる』製作委員会

 良多は慶太に十分な愛情を注いでいるつもり。立派な家庭で立派な生活。これ以上、何の幸せがある? そんな自信すら匂わせる。

 確かに、誰が見ても申し分ない環境です。それでも、なぜか慶太の気持ちに近づけない。その大きな理由は“目線”でしょう。
雄大のように子どもと一緒になって遊べない良多は、目線を子どもの位置に下げない。まるで高層マンションから地上を見下ろすような視点。地上にはもちろん雄大が営む電気屋も含まれている。見事なくらい、住まいの高さに愛情が反映されてしまっているのです。
それを子どもは察知する。慶太と琉晴が抱いた、互いの家庭の印象がすべて表している。

 慶太「(斎木家は)みんなで入るお風呂が狭かった」
 琉晴「(野々宮家は)ホテルみたいだった」

 この感想が素朴ながらも、キチンと的を得ているのです。
慶太が感じた風呂場の狭さは、そこでの親と子の距離だった。琉晴はその部屋が美しくて広くても、ここは家じゃないと感じた。

 本当の豊かさとは何なのか。その答えは、子どものほうが知っているのかもしれません。
大人はどのタイミングで“大人”になるのか。これは、どれほど優秀でも“大人”になりきれていない良多の成長の物語です。彼が大人として成長し、目線が高層マンションから地上へ下げられたときこそ、『そして父になる』というタイトルが心に響くのです。
果たして、良多は父になれるのかどうか。それは、すべて子どもが決めることなのでしょう。

是枝裕和 福山雅治 尾野真千子 真木よう子 リリー・フランキー ギャガ そして父になる 子供 取り違え カンヌ 二コール・キッドマン たけうちんぐ
© 2013『そして父になる』製作委員会

 良多のような父と、雄大のような父。二人のどちらが豊かなのでしょうか。
そして、みどりのような母と、ゆかりのような母。どちらが幸せ?

 本作は、父と母と子が豊かで幸せになる方法を知っています。
その一つを提示されたとき、世界中のどこにでもある身近な家庭を愛おしく思うことでしょう。

 あなたは、『そして母になる』ために、良多タイプか雄大タイプのどちらを 選びますか?
映画を観る前には、そのイメージによって「福山!」と即答する人は多いでしょう。現実でも、イメージに、「自分自身の豊かさ」を左右される人がほとんどですから。だけど、この映画を観た後は、返答に少し時間がかかるようになっているはずです。

9月28日(土)新宿ピカデリー他全国ロードショー
9月24日(火)~27(金)全国先行ロードショー

監督:是枝裕和
キャスト:福山雅治、尾野真千子、真木よう子、リリー・フランキー
配給:ギャガ
2013年/日本映画/121分
URL:映画『そして父になる』公式サイト


Text/たけうちんぐ

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