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  • 2013.04.16

彼女たちは、遠く離れた友だちに会いに旅立つ『ペタル ダンス』

ペタル ダンス 石川寛 宮崎あおい 忽那汐里 安藤サクラ 吹石一恵 風間俊介 安藤政信 ビターズ・エンド
©2013『ペタル ダンス』製作委員会

 時が経っても、遠くはなれてしまっても、大切な友だちはずっと繋がっている…。 静かな時間と、穏やかな空気。この独特で心地よい映画の中で、久々に会いたい友だちの顔を思い出してみましょう。 『tokyo.sora』、『好きだ、』で女性の繊細な心の動きを描いた石川寛監督が、6年ぶりに心に沁み入る名作を放ちます。宮崎あおい、忽那汐里、安藤サクラ、吹石一恵といった実力派の女優が一堂に会し、自分を見つめ直し、新たな生活を目指す女性たちの心象風景を見事に映像化しています。

 大学時代からの友人であるジンコ(宮崎あおい)と素子(安藤サクラ)は、6年間会っていない友人のミキ(吹石一恵)が海に飛び込んで溺れ、その後助けられたという噂を耳にする。ミキのことが気がかりな2人は休暇を合わせ、彼女に会いに行こうとする。そこにジンコが職場で知り合った原木(忽那汐里)も加わり、3人はミキの地元を目指し、北の方角へ旅に出る――。

 苦しみや悲しみを感じながら、それでも懸命に生きていくすべての女性のためのロードムービーです。 あなたにとって大切な友だちとの記憶を、ふっと呼び起こしてくれるはず。 ぜひ身近にいる女友だちとともに、この旅の一歩を踏み出してみてください。

ペタル ダンス 石川寛 宮崎あおい 忽那汐里 安藤サクラ 吹石一恵 風間俊介 安藤政信 ビターズ・エンド
©2013『ペタル ダンス』製作委員会


4月20日(土)より渋谷シネクイント、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー

監督・脚本・編集:石川寛
キャスト:宮崎あおい、忽那汐里、安藤サクラ、吹石一恵、風間俊介、安藤政信
配給:ビターズ・エンド
2013年/日本映画/90分
URL:映画『ペタルダンス』公式サイト
Twitter:@petal_movie
Facebook:petaldance2013



Text/Michihiro Takeuchi

石川寛監督のスペシャルインタビュー!

 伝えられなかった淡い恋心をいだく男女を描いた、映画『好きだ、』から7年。待望の新作『ペタル ダンス』が4/20に公開される石川監督。
さまざまな苦しみや悲しみを抱えながらも懸命に生きる若い女性4人が、旅を通じて自分自身を深く見つめなおし、新たな気持ちで前に進んでいく等身大の姿を描いた監督。凛々しくも繊細な女性の仕草が光る演出には、監督ご自身の「女性観」が関係している?
幼いころから感じていた女性に対する想いや、好きな仕草などを赤裸々に語っていただきました。

ペタルダンス 石川監督 スペシャルインタビュー

―女性の仕草や言葉遊びなどが非常に細やかで、鋭く描かれていると感じたのですが、監督は、女性のご友人が多いのですか?

石川監督(以下、敬称略):小学校4年生のころ、急に女の子の友達が増えました。男からひんしゅくを買うので女の子とばかりと話していたわけではないのですが、女の子と話してると、「こんなこと感じるんだ」とか「なんて感受性が豊かなんだろう」と発見があって、いいなぁと思っていましたね。それに比べ、男は鈍いというか(笑)。

 高校からは「友達」というよりも「付き合う」人。お付き合いして、友達とはまた違う深さみたいなものを感じましたね。
高校3年生の時に、付き合っていた女の子のことがすごく好きで、よく会っていたんですけど、時々僕の方が黙ってしまい、長い沈黙をしてしまうことが結構あって…今思うと、あの沈黙はなんだったんだろう、なぜ話せなかったのかなって。

―それは、居心地の悪さはない沈黙ですか?

石川:むこうは悪いでしょうね(笑)。僕が黙っちゃって…。
あの頃の自分は、相当弱い部分を持った男だと思っていたので、話してしまうとそれが伝わってしまう気がして黙っていたのかなって…。ちょっと情けない男ですね。

―風間さん演じる川田の「言おうか言わないか」と悩んで、つい行動に出てしまう姿とかまさにそうかな、と。

石川:若いころの自分が重なっているのかもしれないですね。
冒頭はあのシーンで始まりたくて。映画の本筋とは違う、あそこだけ恋愛関係をにおわせるんですけど、直接この後の話とあまり関係がなくてもジンコが言うあの一言から始まりたくて。
彼女の言い分は、いきなり抱きしめるのはどう?ってことなんです。関係を変えたい、進めたいなら、きちんと言葉で話してからであって、いきなり抱きしめるのはどうなのってことなんです。

―女性ならではのルールというか、ここを通って欲しいものはありますよね。

石川:それは僕なりの、20代のころに女性に対して感じていたことなのか、と。
僕は勝手に感じとっていましたね、やっぱり言葉を言ってほしいんだなって。どんなに言葉じゃなく気持ちを伝えたとしても、きちんと言葉にしてほしいのかなって感じていて、それがジンコのあの一言に集約されているのかなと思っていました。

―女性の瞬時に状況を判断する、直感や感覚的な力も鋭く切り取られてました。

石川:僕が子供のころから感じていた、女性の感受性の豊かさや感覚的な部分、相手のことを瞬時に感じとって選ぶ言葉とかを引き出したくて。
男は頭で考えちゃうところがあるので、なかなかできない。
男の人は左脳的で論理的に組み立てて、そこで納得した言葉しか言わないことが多いように思います。
逆に女の人は、右脳的な、直感ですっとその時感じた言葉を言えるんじゃないでしょうか。常々その差を感じてきたので、女の人を描くのであれば、女の人の感覚的なところ、瞬時に感じとれる感受性みたいなところが全開になればいいなって思って。

―女性の好きな仕草、キュンとくる仕草はありますか?

ペタルダンス 石川監督 スペシャルインタビュー

石川:しょっちゅうキュンキュンしていますね、特に撮影中、「そういう仕草になるか!」って。
そこに偽りがないというか、装ってないというか、その人の心の中で起きていることが表面上の断片に見えてくるといいですね。

 コマーシャルの演出という仕事をしていて、仕草とか顔の表情、俯き加減とかに意味があるんじゃないかと思って、自分から「こういう仕草で」とお願いしていた時期があったんです。結果的にこうなるんじゃないかな? って勝手に思って。
今思うと、その時の仕草は作られた仕草というか。出来上がったCMを見て、「仕草」ってそういうものじゃない、と思うようになりました。
普段人と接しているときに、無防備に、自然に出てしまった仕草とか、全く別のことを思っていたり、考えたり、感じていたものが、端の方で仕草として現れてくるといいなあ、と今は思います。

―無理して作るというよりも、思っていたことがそのまま出てしまう感じですか?

石川:本人が気付いてないくらい、何かに没頭したり、誰かを想っていたり…。
人って同時にいろんなことを思えるし、感じとれるし、その場にいてもその場のことだけを考えているわけではないので。
誰にも見られていないと思っていて無防備に出てしまった仕草にはとてもキュンとします。
そういう無防備な状態で傍にいるということは、自分に対して何かを感じてくれているのかな、と。もしかしてそれは信頼? とか勝手に思ってしまいます。

 女の人は、恋愛関係にある人以外にもそういう瞬間を見せる時がありますよね。
男は他人がいるときは気を張っているので、なかなかそうならない。自分にはない感覚だからこそ惹かれるのでしょうか。

―「スキがある人」っていますよね。

石川:僕、スキのある人が好きで(笑)。極まれにしかいないのですが、スキだらけなのに自分でそのスキを認識してない人が好きなんです。
一緒にいてその人の気持ちがどこにあるんだろう、本当に思っていることや考えていることがどこにあるんだろうと思わせる。おそらく他所にあるからスキがあると思うんです。
スキのある人は、明るさに深さがある気がしてかわいいですよね。

 今回の映画で一番初めに思ったのが、「明るさを深める」ということ。
人が誰かと会って、明るくあろうとする姿って、素敵だなって。苦しみとかを抱えていても、そばにいる人のために明るくあろうとする姿はいいなと。特に日本人のいいところでもあるなって思っていて。
とはいえ、ただ明るいじゃなくて、裏に何かがあるからこそ明るくあろうとする…そういう人たちの話にしようと思いました。
僕が女の人に感じているところでもあるかもしれないですね。人と話している時に、男の人よりも先天的に明るくあろうとするじゃないですか。
明らかに女の人のほうができてるな! って。なんだこの違いはって。

 男の人は頭で考えすぎちゃってうまくいかないことが多いんですよ(笑)。
人に対しての気遣いなんかも履き違えてしまったり…何もつかんでなかったりしますよね。
上っ面、上滑りしてるというか…とってつけたような明るさはバレてしまうという経験が、僕自身どこかであったのかもしれないですね。

 男のそういうどうしようもない、女の人に敵わない部分に興味があって、僕の映画に出てくる男は、女の人に引け目みたいなものを感じているところがある。
それは僕が普段から感じていることだからかもしれませんね。


Text/AM編集部

プロフィール
ペタルダンス 石川監督 スペシャルインタビューd
石川寛監督


1963年5月18日秋田に生まれる。東京、仙台、秋田の大館、3つの街で育つ。
明治大学中退後、1990年にCM制作会社TYOに入社。
以来CMディレクターとして多くのコマーシャルを手がける。
中でも「資生堂マシェリ」「GOAください」などの女の子の日常を切り取ったCMで注目を集める。
2000年にTYOを退社し、独立。2002年『tokyo.sora』で映画監督としてデビュー。
都会に生きる6人の女性のリアルな姿を描いたこの作品は、第56回ロカルノ国際映画祭と2003年ウィーン国際映画祭に正式招待される。
監督2作目の『好きだ、』(06)では脚本・撮影・編集も手がけ、宮﨑あおい、西島秀俊、永作博美、瑛太を迎えて、17年間におよぶ純粋な愛のゆくえを詩情豊かに描いた。
2005年ニュー・モントリオール国際映画祭で、審査委員長のクロード・ルルーシュが「素晴らしい才能を発見した」と絶賛し、最優秀監督賞を受賞。
本作は『好きだ、』以来7年ぶりの新作となる。

ライタープロフィール

たけうちんぐ
ライター/映像作家

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