お互いが失ったものを愛で取り戻す──『ただ君だけ』

　主演はTVドラマ『ごめん、愛してる』で日本でも大ブレイクしたソ・ジソブ。近年はハードボイルドな作品への出演が多い彼ですが、今回は純愛映画の主人公に。相手役には『春のワルツ』のハン・ヒョジュ。息ぴったりな二人の演技は、まるで本物の恋人同士のようです。
　監督は『スパイダー・フォレスト／懺悔』など、アート系の映画で高く評価されてきたソン・イルゴン。浮浪者と盲目の女性との純愛を描いたチャップリンの不朽の名作『街の灯』をモチーフに、現代の恋愛を描き出します。

　かつて将来有望なボクサーだったチョルミン（ソ・ジソブ）は、過去のある事件がきっかけで心を閉ざしていた。ある日、そんな彼の前にジョンファ（ハン・ヒョジュ）が現れる。目が不自由でありながら明るく振舞う彼女に惹かれ、チョルミンは次第に心を開いていく。やがて、ジョンファが失明した日のことを知るチョルミンはショックを受ける。それは過去に自分が起こした事件と関係していたから。
　そして、チョルミン彼女の目の手術代を稼ぐため、高額な賭博格闘技の試合に出場しにタイへ向かう。果たしてチョルミンはボクサーの夢を取り戻し、ジョンファの視力を戻すことができるのか――。

　献身的にジョンファを思いやり、彼女の視力のために再びリングに上がるチョルミンの姿が心を掴みます。
　そして、陰のあるソ・ジソブの演技がたまらなく渋く、かっこいいです。こんな風に愛されたい、守ってほしいと女性なら誰もが思ってしまうはず。
　いつの時代も変わらない純愛を、あなたが守り抜いてほしい人と一緒に味わってみてはいかがでしょうか。