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  • 2016.02.23

カリスマ探偵と助手のコンビ愛が炸裂!人気ドラマの特別編『シャーロック 忌まわしき花嫁』

1895年のロンドンで、数時間前に自ら命を絶ったはずのリコレッティ夫人の幽霊が路地を徘徊する。冥界からの敵を相手に、名探偵シャーロック・ホームズと助手ワトソンがその謎を解明する——。世界的人気を誇る英BBCドラマ『SHERLOCK シャーロック』の特別編。

たけうちんぐ 映画 シャーロック 忌まわしき花嫁
©2015 Hartswood Films Ltd. A Hartswood Films production for BBC Wales co-produced by Masterpiece. Distributed by BBC Worldwide Ltd.

「ドラマ観てないし…」と些か不安を募らせた。一見さんお断りの映画だったらどうしよう、と。国内外問わず、どんなドラマの映画版でもこの葛藤は付き物。しかし、その不安はまったく必要なかった。

 なんなの、この心地いいテンポ。センス溢れる言い回し。シャープな登場人物。クオリティの高い同人誌かと思いきや、予想を遥かに裏切られる。恐れながら飛び込んだ人気ドラマのスペシャル版は、その後レンタル屋に直行してドラマ版を借り漁る“沼”への入口でしかなかった。


コンビ愛が炸裂!ロングシリーズの特別編


 21世紀の現代で活躍する探偵シャーロック・ホームズと助手ジョン・ワトソンを描いたイギリスのBBCドラマ『SHERLOCK シャーロック』の特別編。今回は一回限り、舞台を1895年のヴィクトリア朝のロンドンに移している。この「時代変更」がとても素晴らしいです。

 主演のホームズはドラマ版と同じく『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』などのベネディクト・カンバーバッチ。『ホビット』シリーズなどのマーティン・フリーマンが今作でも相棒のワトソンを演じる。

 監督はダグラス・マッキノン。ドラマ版と同じくスティーヴン・モファットとマーク・ゲイティスが脚本を務める。ヴィクトリア時代を感じさせる蒸気機関車が走り、馬車が闊歩する。スペシャル版は一味違い、怪しい霧が立ち込めるゴシックホラー調に仕立て上げられている。


“友情”と呼ぶには勿体ない、“居て当たり前”のコンビ愛


たけうちんぐ 映画 シャーロック 忌まわしき花嫁
©2015 Hartswood Films Ltd. A Hartswood Films production for BBC Wales co-produced by Masterpiece. Distributed by BBC Worldwide Ltd.

 名作には必ずといっていいほど名コンビがいる。たとえ初見でもホームズとワトソンのコンビが気に入ったら後はもう流れに身を任せて、『シャーロック』の世界観に付き添える。

“幽霊”という斬新すぎる敵が相手でも、怯むことなく二人がお互いに有るものと無いものを補い合う。目立ったアクションがなくても、頭脳を武器に戦う姿はとにかくかっこいい。

 ホームズはある意味で人間味がない。頭脳明晰で妙なカリスマ性を兼ね揃える反面、何かと体温が低い。人の気持ちを全然考えられないタイプ。パッと見ると惚れるし憧れるが、恋人にしてみたら絶対大火傷しそう。

 そんな天才肌であるが故に、アスペルガー気質なホームズを全力でサポートするのが、ジョン・ワトソン。ホームズを人間らしいキャラクターに立て直し、彼と世界との橋渡しを担っている。ある意味、通訳のような存在。アーティストとプロデューサーのような関係性にも似ている。

“友情”と呼ぶには勿体ないくらい、“居て当たり前”の存在として支え合う光景が美しい。このコンビ愛に惚れてしまったらもう最後。二人を見たいがために、ドラマシリーズを振り返ってしまう。


映画を観てからドラマ版を、そしてまた映画に戻りたくなる


たけうちんぐ 映画 シャーロック 忌まわしき花嫁
©2015 Hartswood Films Ltd. A Hartswood Films production for BBC Wales co-produced by Masterpiece. Distributed by BBC Worldwide Ltd.

 もちろん登場人物の関係性を最初から知らない分、理解できない部分もたくさんある。スピーディなテンポとセリフが早口なだけ、字幕を追いきれない箇所も無いことはない。でも、先入観なく単体作品として味わえる。

 通常、映画は入口しかない。作品を観るとそれで終わり。でも、『忌まわしき花嫁』には出口がある。それはレンタル屋。ドラマシリーズがそこに置いてあり、新たな入口を楽しめる。

 ファンならもっと楽しめるんだろうな、って忌まわしき嫉妬さえ生まれるが、ここで「時代変更」が効いてくる。ドラマ版は新聞ではなくネット。電報ではなくメール。馬車ではなくタクシーをホームズとワトソンが利用するとは、なんて最強なんだ。と、時代の進歩を逆説的に感動できる。

 推理力がスマホとインターネットと手を組むなんて最高じゃないか。時代劇から現代劇へ場所を移してみると、ドラマシリーズが誕生した時の感動をよりドラマチックに体感できるかもしれない。

 とにかく、キャラクターさえ飲み込めば、映画からでもドラマからでも誰しもが深く入り込んでしまう。

 底なしのシャーロック“沼”にハマるこのプロセスこそ、ほんと忌まわしいのです。


あらすじ

 1895年、冬のロンドンでその事件は起きた。数時間前に自ら命を絶ったばかりのトーマス・リコレッティの妻が古いウェディング・ドレスを身にまとい、路地に姿を現した。癒されることのない復讐への執念とともに、その亡霊は荒廃した街を徘徊する。
 シャーロック・ホームズ(ベネディクト・カンバーバッチ)とその助手ジョン・ワトソン(マーティン・フリーマン)と彼らの友人たちは、冥界からやってきた敵を相手に頭脳戦争を繰り広げる。
 ヴィクトリア時代のロンドンで、ホームズとワトソンは敵にどう立ち向かうのか。そして、その怨念に満ちた“花嫁”の真相とは――。

全国公開中!

監督:ダグラス・マッキノン
脚本:スティーヴン・モファット/マーク・ゲイティス
キャスト:ベネディクト・カンバーバッチ、マーティン・フリーマン、アマンダ・アビントン、ルイーズ・ブリーリー、ユーナ・スタッブス、ルパート・グレイヴス
配給:KADOKAWA
原題:Sherlock:The Abominable Bride/2015年/イギリス映画/120分
URL:『SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁』
2/19発売!「SHERLOCK/シャーロック」DVDプチボックス1~3(特典映像未収録)

Text/たけうちんぐ

ライタープロフィール

たけうちんぐ
ライター/映像作家

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