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  • 2016.01.16

123人が1役を演じる!?毎日姿が変わる恋人を描く『ビューティー・インサイド』

18歳の時から目が覚めると外見が変わるようになってしまったウジン。ある日、家具店の店員・イスに恋をする。毎日性別も年齢も国籍も変わるウジンに戸惑いながらも、イスは次第に心を通わせていく——。韓国発、総勢123人が1役を演じる映画史上唯一無二のラブ・ファンタジー。

たけうちんぐ 映画 ビューティー・インサイド
©2015 NEXT ENTERTAINMENT WORLD. All Rights Reserved.

「あんな顔になりたい」「一度生まれ変わりたい」「こんな自分はもう嫌だ」

 誰しも変身願望は少なからずある。それでも、生まれて死ぬまでこの顔と付き合っていく。残念ながら鏡を見ると毎日同じ顔が映る。

 ウジンはその全く逆だ。
変身願望なんてない。生まれて死ぬまでずっと同じ顔でいたい。でも、鏡を見ると毎日全然別の顔が映っている。
残念ながら、それは仕方のないこと。この“病気”は抗えない運命なんだから…。
そう諦めていたウジンが、ある日突然変わった。

「この顔でいたい」「変わりたくない」「ずっとこのままでいてほしい」。
彼が運命に逆らおうと思い始めたのは、心から愛する人に出会ってしまったからだ。


映画史はじまって以来の123人1役が実現


 総勢123人が1役を演じる荒唐無稽な設定なんて、企画書が通るはずがない。
それなのに韓国映画界の一流の脚本家、撮影監督、美術スタッフが集結し、広告界の著名ビジュアル・アーティストであるペク監督の初監督作品を全力で彩っている。

 毎日姿の変わる男を愛する女・イスをドラマ『華麗なる遺産』のハン・ヒョジュが演じ、その男・ウジンをキム・デミョン、ト・ジハン、パク・ソジュン、イ・ジェジュン、イ・ジヌク、ユ・ヨンソク、日本からは上野樹里が演じ、気の遠くなるくらい多い123人のキャストが名を連ねる。
性別・年齢・国籍を超えて1役を演じると一体どうなる?映画史始まって以来の初の試みがここにあります。


姿が変わる病気ではない“恋煩い”の物語


たけうちんぐ 映画 ビューティー・インサイド
©2015 NEXT ENTERTAINMENT WORLD. All Rights Reserved.

 一つ間違えたらコントになりかねない。
朝起きたらハゲ散らかしたオッサンに? 少年に? よぼよぼバアさんに?
俳優が1人2役を演じることなんてよく聞くけど、総勢123人の俳優が1役を演じるなんて聞いたことがない。 前代未聞のブッ飛んだ設定なのに、どうしてここまで心に入り込んでくるのか。共感が何一つできない。
というのも、恋人の顔が毎日変わる人なんてこの世にいないからだ。それでも、共感の裏側にあるものに気づかせてくれる。

 本作が描く“病気”とは、姿が変わることではなく、恋煩いのことだ。
食べ物が上手く喉を通らなかったり、よく眠れなくなったりするアレだ。
誰しも恋をすると日常に変化を求めてしまう。
ウジンの場合は否でも応でも毎日姿が変化するが、それを止めたいという心の変化が起きる。

 イスにアタックするのをなるべくイケメン顔の日に選ぶのが面白い。
誰だってコンディションの良い日にコクりたい。
「眠らなければ姿が変わらない」と不眠に努める姿は愛らしい。
誰だってその一日の最高の記憶を眠ることで薄めたくない。
「姿が変わる」というブッ飛んだ設定ながらも、恋愛あるあるネタは満載だ。

 あるときは「少年」なのにクレジットカードを店員に差し出したり、またあるときは「女の子」がイスに愛の言葉を囁いたりと、シュールな場面が笑いを誘う。
が、根本にあるのはシリアスな恋煩いで、その“病気”が次第に2人を苦しめていく。


愛は外見で決まらない?


たけうちんぐ 映画 ビューティー・インサイド
©2015 NEXT ENTERTAINMENT WORLD. All Rights Reserved.

 前半はウジンの苦悩を中心に描くが、後半はイスの葛藤に焦点を当てる。
幸せな日々はそう長くは続かず、ウジンの絶え間ない変化からイスは精神的に追い詰められていく。

 毎日姿の変わる恋人は、他人にとっては「複数の男性」にしか見えない。
毎日取っ替え引っ換えしているように思われ、尻軽女に見られる。決して世間から認められない。
昨晩愛し合った人が翌朝知らないオッサンになるなんて。 想像するだけでも無理すぎる。
目まぐるしく変化していくウジンに、イスは次第に取り残されていく。

 前向きに捉えると、色んなイケメンと愛し合える、毎日姿が変化するから飽きない。しかし、それと一生付き合うことになるイスは「慣れない」と嘆く。
「恋人の顔を思い出せない!」
まるでイス自身が記憶喪失の“病気”にかかってしまったかのように、その葛藤がウジンとイスの心に隔たりを作ってしまう。

 人はある程度、日に日に変化していく。あの頃の情熱も年月が経つと形を変え、跡形もなく消えてしまうことだってある。
毎朝昨日の記憶が薄れ、新しい自分が鏡に映る。今すぐではなくても、いずれ容姿だって変わってしまう。
この物語はそれを強調して描く。変化に抗うカップルの愛の深さを試している。

 愛は外見で決まらない――。
使い古されたこの陳腐なテーマを、本作は独創的なストーリーに昇華させている。
「相手の変化を受け入れる」ことこそが、互いの絆を強くさせるのだ。

 恋人の姿が毎日変わっても、愛し続けられるか。
さすがに翌朝に小汚いオッサンにならないとしても、いずれそうなってしまうものなのですから。


あらすじ


 18歳の時から、毎日目が覚めると外見が変わるようになってしまったウジン(キム・デミョン、ト・ジハン、パク・ソジュン、イ・ジェジュン、上野樹里 他)。
男、女、子ども、老人、外国人と性別、世代、国籍を超えて変わるため、人に会う仕事ができずインターネット上で家具デザイナーとして働いていた。
そんな中、ウジンは家具屋の店員・イス(ハン・ヒンジュ)に出会い、恋に落ちる。
イスをデートに誘って好意を抱かれ、上手くいったウジン。
だが、寝て目が覚めると別人になってしまう。
やがて年下の女性に生まれ変わってしまったウジンは、イスに真実を打ち明ける。
果たして、イスはウジンを受け入れることができるのか?


1月22日(金)TOHOシネマズ新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開!

監督:ペク
キャスト:ハン・ヒョジュ、パク・ソジュン、上野樹里、イ・ジヌク、キム・ジュヒョク、ユ・ヨンソク他
配給:ギャガ・プラス
原題:THE BEAUTY INSIDE/2015年/韓国映画/127分
URL:『ビューティー・インサイド』公式サイト

Text/たけうちんぐ

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たけうちんぐ
ライター/映像作家

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