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  • 2015.04.25

炭坑労働者と同性愛者がプライドを賭けた『パレードへようこそ』で世界を変える!

1984年、炭坑労働者のストライキのためにゲイとレズビアンの集団が募金活動を始める。最初は偏見と差別で相手にされなかったが、やがて炭坑労働者と同性愛者たちが深い友情で結ばれる——。第72回ゴールデングローブ賞ノミネート!イギリスで実際にあった友情と革命の物語。

 今が決して当たり前じゃない。今があるのは過去のおかげで、その過去には様々な戦いがあった。
たとえば、ある日突然働き口を奪われたら? もしくは、自らの性を否定されたらどうする? 今に至るまでの過去を描いたこの映画には、その二つについて回答がある。

 誤解が理解を飛び越え、和解に至るまで。決して交わることのなかった、炭坑労働者と同性愛者たちのプライドを賭けたパレードとは?

たけうちんぐ 映画 死ぬまでには観ておきたい映画のこと マシュー・ウォーチャス ビル・ナイ イメルダ・スタウントン アンドリュー・スコット ドミニク・ウェスト パディ・コンシダイン ジョージ・マッケイ セテラ・インターナショナル パレードへようこそ 炭坑労働者 同性愛者 LGSM パレード プライド
© PATHE PRODUCTIONS LIMITED. BRITISH BROADCASTING CORPORATION AND THE BRITISH FILM INSTITUTE 2014. ALL RIGHTS RESERVED.

 第72回ゴールデングローブ賞で「作品賞」にノミネートされ、「ロンドン映画批評家協会賞」など数々の映画祭で話題に。
マーガレット・サッチャー政権下、荒れるイギリスを舞台に炭坑労働者たちのストライキに同性愛者の団体が支援するという実話に基づいたお話です。

 監督は第63回トニー賞を受賞したマシュー・ウォーチャス。舞台作品中心の彼だからこそ、ビル・ナイ(『ラブ・アクチュアリー』『アバウト・タイム』)やイメルダ・スタウントン(『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』)らイギリスのベテラン役者の力を信頼した演出が光る。

 ストライキの先頭に立つマーク役に新人俳優ベン・シュネッツァーを起用し、時代の変革を描くだけでなく青年たちの成長を美しく映し出します。


社会の隅っこで生きる人が闘った理由とは?


【簡単なあらすじ】
 1984年、ロンドン。サッチャー政権下で炭坑労働者組合は危機に晒され、多くの炭坑労働者が反発した。そのニュースを見た同性愛者のマーク(ベン・シュネッツァー)は、仲間たちと手を組んで“LGSM(炭坑夫支援レズビアン&ゲイ会)”なる団体を作って募金活動を行なう。

 しかし、偏見と差別でゲイとレズビアンは冷遇され、賛同してくれる組合も見つからない。そんな中で、ウェールズ奥地の炭坑町・ディライスの役場だけが唯一受け入れる。

 役場はマークの団体が何の集まりか分からず迎え入れてしまった。そのため、当初は同性愛者ということで距離を置いていた炭坑労働者たち。しかし、次第にマークたちを受け入れていく。やがて二つが手を組み、大きなストライキに乗り出していくが――。


音楽とダンスが差別の壁を無くす?


 社会的に隅っこに追いやられた二つが団結する。そこに至るまでのプロセスが劇的で、これが実話であることを疑うくらい感動的です。

 炭坑労働者のストライキの集会に訪れた“LGSM”に対する白い目がリアル。マークの拙い演説が災いし、退席する人々で溢れ返る。しかし、次第に同性愛者たちの熱意が伝わり、一致団結していくのだから清々しい。

     
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 印象的なのは、音楽とダンスが偏見と差別の壁を壊し、心を通わせていくシーン。集会で一人の女性が歌い出し、やがて全員が合唱しはじめる姿に涙を誘われる。

 過酷な境遇でも笑いが絶えず、ユーモアを忘れない人々の姿が素晴らしい。これは映画自体にも言える。「カルチャー・クラブ」や「ザ・スミス」など1980年代のヒット曲に乗せて、自由を勝ち取ろうとする物語をポップに描き出す。

  その軽快なムードは冷ややかな時代に対して、この映画自体が歯向かっているように見えてくる。それが、政府に抵抗するマークたちの姿と重なるのです。


誇りを賭けたお祭りに訪れる清々しい結末


 本作は、多くの女性が物事を進める鍵を握っている。
ステフは青年ジョーを“LGSM”に誘う重要な役割を果たし、シャンは田舎の人々の目を気にする夫を説得し、ヘフィーナは炭坑町全体を取り仕切る。

“男勝り”なキャラクターが勢ぞろい。もちろん、その性は男と女の二つに留まらない。様々な性の形が混じる中で、その明確な意志さえあれば同じ意志を持つ人々は集まり、やがて大きな力になる。

 たびたび橋を渡るシーンが挿入されるが、これはイングランドとウェールズを架ける橋。田舎から都市へ、すべての壁が取り払われる時、橋の意味がようやく分かる。

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 反発する人々を描いただけの映画ではない。小さな町から全国へ、人と人とが分かち合う姿を描くから感動を覚える。
当然のことながら、それは容易くはない。タブロイド紙では「オカマがストに口出し」と書き立てられ、“LGSM”の支援を打ち切るか否か採決がとられる。

 それでも、悪評で得た知名度を利用し、ピンチをチャンスにして、資金集めのコンサートを開催する。そのパレードが“プライド”に聞こえた時、それは誇りを賭けたお祭りとなるのです。


世界をつなぐ橋をかけよう


 臆することなく、いつだって前向きに現状を変えようとする人々が映し出される。勇気が掻き立てられる。それは炭坑労働者でも同性愛者でも関係ない。

“壁”に抵抗するためには橋を架けなきゃ。
重要なのは争うことじゃなく、手を組むこと。清々しい結末が、それを教えてくれます。



絶賛公開中!

監督:マシュー・ウォーチャス
キャスト:ビル・ナイ、イメルダ・スタウントン、アンドリュー・スコット、ドミニク・ウェスト、パディ・コンシダイン、ジョージ・マッケイ
配給:セテラ・インターナショナル
原題:Pride/2014年/イギリス映画/121分
URL:映画『パレードへようこそ』公式サイト

Text/たけうちんぐ

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ライタープロフィール

たけうちんぐ
ライター/映像作家

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