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  • 2015.03.03

『(500)日のサマー』脚本家が送る!不治の病にかかる男女が愛し合う大ベストセラーを基にした青春ロマンス『きっと、星のせいじゃない』

末期のガン患者のヘイゼルは17歳。ガン患者の集会で片脚のないオーガスタスと出会い、互いに惹かれ合っていく。やがてヘイゼルの愛する作家に会いに行くために向かったオランダで、2人の関係は思いもよらぬ事態に——。不治の病にかかった男女を描く、ベストセラー小説を映画化したラブストーリー。

「不治の病にかかった若い男女のラブストーリー」
なんて聞くと、よくある難病モノでしょ?って毛嫌いする人もいる。重くて悲しい物語をわざわざお金を払って観たくないって人もいる。

 でも、この映画は意外性に満ちている。男女が限られた時間の中で輝いていて、簡単には結ばれない。二人とも「傷つけたくない」「いつか忘れ去れられる」と互いに距離を置くところからラブストーリーは始まる。
死に対してシニカルなスタートラインからどう着地するのか。そのゴールには激しく心を揺さぶる結末が待ち構えています。

たけうちんぐ 映画 死ぬまでには観ておきたい映画のこと ジョシュ・ブーン シャイリーン・ウッドリー アルセル・エルゴート ナット・ウルフ ローラ・ダーン ウィレム・デフォー ジョン・グリーン さよならを待つふたりのために 岩波書店刊 20世紀フォックス映画 きっと、星のせいじゃない 難病 (500)日のサマー
©2014 TWENTIETH CENTURY FOX

 原作は、16歳の若さで亡くなった友人をモデルに書いたジョン・グリーンの『さよならを待つふたりのために』ニューヨーク・タイムズの2012年のベストセラー第1位になったこの小説を、新鋭ジョシュ・ブーンが映画化。脚色を『(500)日のサマー』のスコット・ノイスタッター&マイケル・H・ウェバーが手がけ、全米でオープニング興行成績1位を獲得するなど世界中に社会現象を巻き起こしています。

 末期ガン患者のヘイゼルを演じるのは、『ファミリー・ツリー』でジョージ・クルーニーの娘役を演じて「ゴールデン・グローブ賞」にノミネートされたシャイリーン・ウッドリー。皮肉屋の彼女に恋をするのは、ウッドリーと『ダイバージェント』で共演したアンセル・エルゴート。
瑞々しくて繊細な恋愛模様を描き出し、2人とも本作でティーン・チョイス・アワードの主演賞に輝きました。


お涙頂戴映画に収まらない新たな“ラブ×難病ストーリー”


【簡単なあらすじ】17歳の末期ガン患者のヘイゼル(シャイリーン・ウッドリー)は、どこに行くのも酸素ボンベが必要。13歳から入退院の繰り返しで、友達もできず、孤独な青春を送っていた。
嫌々ながら参加したガン患者の集会で、ヘイゼルはオーガスタス(アンセル・エルゴート)と出会う。一目見て惹かれ合う2人だが、ヘイゼルは友達のままでいたいと頼む。「死」を爆弾にたとえて、「まわりを壊滅させるから、被害を最小限に食い止めたい」と打ち明ける。

 オーガスタスもまた「忘れられること」を不安に思い、友達でいることを望む2人はヘイゼルが大好きな作家ヴァン・ホーテン(ウィレム・デフォー)に会いにオランダへ発つ。その旅で待ち構えていたのは、想像を裏切る展開と予想もしない運命だった――。

     

2人の幸せな姿が胸を締め付ける


 酸素ボンベの管を退けてキスをするシーンのロマンチックさといったら。
片脚のないオーガスタスがヘイゼルを抱きしめる。重なり合う身体は他の人と違う。でも、そこにいるのはどこにでもいる若い男女。新しいカップルの誕生に涙が溢れてしまう。

 ある意味、死を描かれるよりも2人の幸せな姿を眺めることが胸を締め付ける。だからといって陳腐なお涙頂戴映画とは一線を画す。それは愛し愛されることが相手を傷つけることになると知っているから。
死を目前にしたヘイゼルだからこそ、オーガスタスに愛されることが恐怖になってしまう。

     
たけうちんぐ 映画 死ぬまでには観ておきたい映画のこと ジョシュ・ブーン シャイリーン・ウッドリー アルセル・エルゴート ナット・ウルフ ローラ・ダーン ウィレム・デフォー ジョン・グリーン さよならを待つふたりのために 岩波書店刊 20世紀フォックス映画 きっと、星のせいじゃない 難病 (500)日のサマー
©2014 TWENTIETH CENTURY FOX

「生きていれば傷つくこともあるけど、その相手は選べる。君に傷つけられたら本望だ。」

 このオーガスタスの言葉に、死がすぐそこに迫っていなくても、飛びついて抱きしめたくなる人は少なくないはず。闇に光を照らすように、互いに励まし合って生きていく2人が過ごす日々は輝いていて、笑いに溢れている。
決して重苦しい空気にさせない映画全体のテンションに、安心して身を委ねられるのです。


次々と予想を裏切る“難病モノ”の新しい定義


 この映画は予想を裏切り続ける。いわゆる“難病モノ”のお約束を打ち砕く。
本来、死を目前にしている者にとって、自分のラブストーリーは映画のように上手くいくとは思っていない。人はいずれ死ぬが、末期ガン患者は明日、いや今日が最後かもしれない、と。

 そんな女の子は自分が死ぬことで「傷つける」と愛する人に打ち明け、その愛する人に「忘れられたくない」ために愛することを恐れる。それを聞くと、死期が定められていない者は気づくはず。自分は何も恐れることなんてない、と勇気付けられていることに。

たけうちんぐ 映画 死ぬまでには観ておきたい映画のこと ジョシュ・ブーン シャイリーン・ウッドリー アルセル・エルゴート ナット・ウルフ ローラ・ダーン ウィレム・デフォー ジョン・グリーン さよならを待つふたりのために 岩波書店刊 20世紀フォックス映画 きっと、星のせいじゃない 難病 (500)日のサマー
©2014 TWENTIETH CENTURY FOX

 そして、オランダへ旅に出たヘイゼルとオーガスタスに、この映画は楽観的な展開を用意していない。2人の心を崩れさせるような出来事に、またも予想が裏切られる。

 その絶望のおかげで2人は距離を縮めるが、このシニカルとも受け取れる展開は、男女の恋愛観の違いを冷静に見つめた『(500)日のサマー』の脚本家のせいだろうか。
生きるのに必要なのは薬だけじゃない。毒がなければ説得力がない。現実を描くことで、死に対して誠実な作品に仕上げているのです。

愛する気持ちに嘘はつけない


 愛せば愛すほど、失うことの恐怖は大きい。でも、気持ちに逆らうことはできない。

 本当に好きだからこそ葛藤する若い男女のラブストーリーに、不治の病は関係ないかもしれない。人はいずれ死ぬ。それが早いか遅いかってだけの話に思えると、希望に満ちたお話に感じるでしよう。
シャイリーン・ウッドリー、アルセル・エルゴートのフレッシュで瑞々しい魅力に触れてみてください。


TOHOシネマズ日本橋ほか全国絶賛公開中!

監督:ジョシュ・ブーン
キャスト:シャイリーン・ウッドリー、アルセル・エルゴート、ナット・ウルフ、ローラ・ダーン、ウィレム・デフォー
原作:ジョン・グリーン(「さよならを待つふたりのために」岩波書店刊)
配給:20世紀フォックス映画
原題:The Fault in Our Stars/2014年/アメリカ映画/126分
URL:映画『きっと、星のせいじゃない』公式サイト

Text/たけうちんぐ

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たけうちんぐ
ライター/映像作家

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