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  • 2015.02.06

トヨエツ熱演!52歳大学教授と恋に落ちる…西炯子の人気漫画『娚(おとこ)の一生』実写化

 失恋したらその先が見えない。真っ暗闇に閉じ込められて、誰も何も見えなくなる。

「これから先の人生、人を好きになることはきっとない」

 この女性も、人生に絶望を感じて都会を離れてしまった。
祖母の一軒家で新たな生活を始めようとするが、その絶望はやがて晴れていく。それは、突如現れた白髪混じりの52歳の大学教授。

 心の距離と、歳の差。この二つを縮めるにはどうしたらいいのか。
つぐみと海江田の恋愛模様がそれを教えてくれます。

たけうちんぐ 映画 死ぬまでには観ておきたい映画のこと 廣木隆一 榮倉奈々 豊川悦司 向井理 ショウゲート 甥の一生 おとこのいっしょう 親戚 恋愛 共同生活 歳の差 西炯子
© 2015 西炯子・小学館/「娚の一生」製作委員会

 原作は『月刊フラワーズ』掲載の西炯子のベストセラーコミック。
この不器用で素直になれないラブストーリーの実写映画化を手がけるのは、現在『さよなら歌舞伎町』が絶賛公開中の廣木隆一監督。『余命1ヶ月の花嫁』『やわらかい生活』でもタッグを組んだ、榮倉奈々と豊川悦司が才色兼備なのに幸せになれないつぐみ、恋愛することを拒んできた大学教授を演じています。

 過去を引きずる二人が出会い、一緒に生活するとどうなるのか。
他にも向井理、安藤サクラ、前野朋哉といった個性的な面々が登場し、ひとつ屋根の下で様々な人間模様が繰り広げられます。


おじさまの色気と好意に抗えなくなっていく…


 【簡単なあらすじ】
 都会で忙しく働いていたつぐみ(榮倉奈々)は、恋愛のいざこざに打ちのめされ、祖母の一軒家に帰ってきた。ひっそりと田舎暮らしを始めるが、祖母が他界。突如一人になったつぐみのもとに、何の前触れもなく大学教授の海江田(豊川悦司)がやって来る。

 一方的に好意を寄せてくる海江田に戸惑うつぐみは、強引に押しかける彼との共同生活を始める。最初は海江田の横暴で自信家な態度に苛立ちをおぼえていたつぐみだが、次第に心が打ち解けていく――。

海江田、それはすべての女性の理想が詰まった男性像


 緑の自然に囲まれた風景と、誰にも縛られることない穏やかな時間。都会にはないこの二つが自然治癒力を促し、つぐみの心は再生されていこうとする。
が、簡単にはいかない。何もない風景と自由な時間は、より一層彼女を孤独にする。過去の記憶が心を蝕む。一人でしくしくと泣くシーンは胸が痛い。

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© 2015 西炯子・小学館/「娚の一生」製作委員会

 そんな彼女のもとに突如現れた海江田は救世主。胸元を開けた白シャツに、ロマンスグレーのサラサラヘアー。エレガントに登場するシーンは、誰かの妄想か?と言わんばかりのファンタジー感溢れる男性像。
ダンディーな色気でグイグイ攻める彼は、まるですべての女性の理想が詰まったかのようです。

 何が起きても動じない。時には少年のように無邪気になり、父親のように守ってくれる。「男」を1から100まで網羅した男、こんなのトヨエツにしか演じられない。現実ではありえないキャラクターだが、関西弁の親しみやすさが妙な生々しさを与えてくる。

 海江田は、自ら幸せから遠ざかろうとするつぐみに説教する。
「お前は自分を大切にしなさすぎる!」なんて最強の殺し文句じゃないですか!


少年を父へ、少女を女へ変えていく


 物語が進むにつれて、なぜ海江田がつぐみの祖母の一軒家に住み始めたのか、つぐみに最初から好意を寄せていたのかが紐解かれていく。

 父と娘くらいの歳の差の二人は、まるで父親を慕うように愛し、娘を育てるかのごとく接していく。
しかし、親戚の少年とのひょんな共同生活から、二人の表情に変化が訪れる。恋愛を拒んできた海江田と、恋愛から遠ざかろうとしていたつぐみには確かに父性と母性が宿り、二人の関係性も変わってくる。それはまるで、少女から女に変わるかのように劇的です。

     
たけうちんぐ 映画 死ぬまでには観ておきたい映画のこと 廣木隆一 榮倉奈々 豊川悦司 向井理 ショウゲート 甥の一生 おとこのいっしょう 親戚 恋愛 共同生活 歳の差 西炯子
© 2015 西炯子・小学館/「娚の一生」製作委員会

 決して二人だけで物語は進まない。
廣木隆一監督の演出は、周囲の人間模様が絡み始めることで、ようやく恋愛として発展していく。それは安藤サクラ演じるつぐみの友人、向井理演じるつぐみの元カレのエピソードもまた然り。二人を取り囲む登場人物たちが、二人の絆をより深めていく。

 本作は海江田の少年から父に変わる成長の記録でもある。“娚の一生”というタイトルが沁みてくるのも頷ける。
つぐみの祖母との知られざる切ない関係も、今ここに在る恋に至るまでの経緯と思えばいい。そうすれば、つぐみが都会で味わった辛い恋愛の痛みも吹き飛ばしてくれる。

     

恋する気持ちが宿っていく


 どこまでも不器用で、ダンディーな魅力全開の海江田。いくらコミックから飛び出してきたからとはいえ、ここまで男前のキャラクターだともはやファンタジー映画のよう。

 約2時間、つぐみと同じように恋をしてしまうことでしょう。
こんな52歳の大学教授と現実で会うのは難しいかもしれませんが、せめて映画の中だけでも「海江田の魅力」を味わってみては?


2015年2月14日(土)全国公開!

監督:廣木隆一
キャスト:榮倉奈々 豊川悦司 / 向井理
配給:ショウゲート
2015年/日本映画/119分
URL:映画『甥(おとこ)の一生』公式サイト

Text/たけうちんぐ

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ライタープロフィール

たけうちんぐ
ライター/映像作家

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