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  • 2015.01.30

キーラ・ナイトレイが美声を披露!失意の男女が生み出す“再生の歌”『はじまりのうた』

恋人に見捨てられてどん底に放り込まれたミュージシャン・グレタと、家族にも仕事にも見放された音楽プロデューサー・ダン。偶然出会った二人が、歌を作ることで絶望を希望に変えていく——。キーラ・ナイトレイ主演の“歌”に満ち溢れた人間ドラマ。

 街角で流れるようなラブソングに「これってもしかして私のこと?」と錯覚することはありませんか?

 ベタな失恋ソングなんて嫌いだったのに。ありきたりな歌詞に吐き気さえ感じていたのに。
流れる涙の成分は別れの悲しさだけじゃなく、失恋ソングにハマる悔しさも若干あったりする。

 その歌を作る人もまた、大粒の涙を流していた。さらにそれを売り出す人も、大量の酒を浴びていた。二人は一度人生の終わりを見て、新たな始まりを知る。
そんな男女だからこそ奏でられる“はじまりのうた”って、どんなうた?

たけうちんぐ 映画 死ぬまでには観ておきたい映画のこと ジョン・カーニー キーラ・ナイトレイ マーク・ラファロ アダム・レヴィーン ポニー・キャニオン 2013年 アメリカ映画 音楽 はじまりのうた
©2013 KILLIFISH PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED

『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズなどでお馴染みの人気女優キーラ・ナイトレイ。
セレブなはずの彼女が、どこにでもいそうな親しみやすいファッションとフレンドリーさで共感を呼ぶ等身大のヒロイン・グレタを演じます。
グレタの歌を売り出すプロデューサー・ダンに『アベンジャーズ』などのマーク・ラファロ。荒くれ者で自己中心的だけど、どこか繊細で優しさが垣間見れる中年男の魅力全開です。

 他にも、アメリカの人気ロックバンド・マルーン5のアダム・レヴィーン、『トゥルー・グリット』のヘイリー・スタインフェルド、『ワン チャンス』のジェームズ・コーデンといった多彩なキャストが勢ぞろい。
『ONCE ダブリンの街角で』で世界中から注目を浴びたジョン・カーニー監督によって、その歌が絶望から希望まで果てしない振り幅で届けられます。


失意のふたりが“はじまりのうた”にかけた再生への道


 【簡単なあらすじ】
 ライブハウスで歌うグレタ(キーラ・ナイトレイ)はミュージシャンの恋人・デイブ(アダム・レヴィーン)に裏切られ、失意のどん底に。彼女の歌を偶然聴いた落ちこぼれの音楽プロデューサー・ダン(マーク・ラファロ)もまた、彼女同様に自殺すら考えるほど落ち込んでいた。

ダンはグレタの歌に感動し、デビューの話を持ち込む。が、レーベルから見放された彼はレコーディングを自力で進め、その録音スタジオをニューヨークの街角で行なう。
この無謀な企画はやがて奇跡を生み出し、一度は崩壊しかけていたグレタとダンの生活が再生し始める――。

終わった男と、始まってもいない女が出会う


 絶望を感じた時、どうすれば気が紛れるのか。食べれないなら眠る。眠れないならお酒。では、お酒が飲めないなら?

 グレタには幸運にも歌があった。ダンにも歌を愛する心があった。
オープニングは、人生を一度終わらせた男と、一歩も踏み出せなかった女がライブハウスで偶然出会うシーン。
そこに至るまでの互いのストーリーはその後に一つずつ丁寧に描かれる。

たけうちんぐ 映画 死ぬまでには観ておきたい映画のこと ジョン・カーニー キーラ・ナイトレイ マーク・ラファロ アダム・レヴィーン ポニー・キャニオン 2013年 アメリカ映画 音楽 はじまりのうた
©2013 KILLIFISH PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED

 なぜグレタの歌が悲しくて、それを聴くダンの心に響いたのか。
結末を見せてから過程を描く手法は、オープニングで鳴り響くグレタの歌をより切実に感じられる。
恋人と別れたグレタの歌が、家族が崩壊しかけた男の心に響くのだから、二人の出会いに奇跡を感じずにはいられません。

 ふと流れる歌に共感し、それに心を寄り添うことなんて珍しくない。それがニューヨークでもライブハウスでもなく、世界中の至る所で“感動”が誕生している瞬間は劇的。
数多くのアーティストを手がけてきたダンの目に、グレタのステージにいないはずのバンドメンバーが見えるシーンは必見です。


音楽は人と人を出会わせてしまう


 グレタの悲しみが歌に命を吹き込み、その歌を聴く人の悲しみを癒す。その証拠に、一度見失いかけていたダンに命を吹き込んだ。
最初は性格の不一致で噛み合わなかった二人も次第に打ち解けていき、二人三脚で音楽を作り出す姿は見ていて気持ちが熱くなる。

 レコーディングがニューヨークの街角で行われることで、“音楽”により普遍的な意味をもたらす。雑踏と雑音に埋もれながら懸命に奏でられる音こそが、まるでグレタとダンの生き様に見えてくる。

たけうちんぐ 映画 死ぬまでには観ておきたい映画のこと ジョン・カーニー キーラ・ナイトレイ マーク・ラファロ アダム・レヴィーン ポニー・キャニオン 2013年 アメリカ映画 音楽 はじまりのうた
©2013 KILLIFISH PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED

 この作品は言ってしまえば地味で、その人間模様はさりげない。でも、“音楽”の重要な姿を映し出しているのです。
“ノー・ミュージック・ノー・ライフ”といえど、音楽が無くても衣食住に困るわけでもない。とはいえ、まず音楽は人と人を出会わせる。それが上手くいけば、親友にも恋人にも、夫婦にもさせてしまう。

 誰かにとってただの騒音になっても、また別の誰かにとっての救いの手にもなる。外から内から“音楽”の魅力を描き出す。演じる方も感じる方も、どちらも足並み合わせて再生していく様は歌の説得力に満ち溢れています。

 孤独が新たなストーリーを作り出すのなら、今感じている孤独も悪くないって思える。そんな希望を感じさせてくれる映画には、優しいクライマックスが待ち構えています。

失意のどん底でも“はじまりのうた”がある


 グレタの失恋の傷跡はどう癒されるか。ダンの崩れかけた人生はどう立ち直るのか。二人の行く末に、そっと背中を押される人も少なくはないはずです。

 もしあなたが失意のどん底で何も食べられなくて、眠れなくて、お酒も飲めないとしましょう。
でも大丈夫、この“はじまりのうた”があるのですから。


2015年2月7日(土)より、シネクイント、新宿ピカデリーほか全国公開

監督:ジョン・カーニー
キャスト:キーラ・ナイトレイ、マーク・ラファロ、アダム・レヴィーン
配給:ポニー・キャニオン
2013年/アメリカ映画/104分
URL:映画『はじまりのうた』公式サイト

Text/たけうちんぐ

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たけうちんぐ
ライター/映像作家

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