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  • 2014.09.10

まるでチャップリンの世界!伝えたい愛は言葉でも足りない『バルフィ!人生に唄えば』

 世の中は言葉が溢れている。
街に行けば広告のうたい文句が目に入り、携帯を覗けばSNSのタイムラインがちらほらと。目の前の人に話すだけでは満足できず、遠く離れた相手にまで言葉で埋め尽くす。それは愛の言葉ですら。

 この映画のバルフィにはそれができない。言葉が使えない。生まれつきハンディを背負った彼は耳が聞こえず、話もできない。
それなのにどうして彼の周りは愛が溢れて、人々を幸福にさせるのか。

バルフィに二人の女性が魅了される謎を解いていきましょう。

 
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©UTV Software Communications Ltd 2012

 昨今、『きっと、うまくいく』『スタンリーのお弁当箱』など良質なドラマを生み出し続けているインド映画から、また新たな作品が生まれました。
20代前半にテレビ業界でキャリアをスタートさせ、2003年から映画監督としての地位を築いてきたアヌラーグ・バス監督。本作で大きな成功を収め、2013年の第85回アカデミー賞外国語映画賞のインド公式代表作品に選出されました。

 バルフィ役に、ボリウッド界の若手俳優の中でもトップクラスの人気を誇るランビール・カプール、ジルミル役にプリヤンカー・チョプラ、シェルティ役にイリアナ・デグルーズという人気女優を起用。
名作映画のオマージュを散りばめ、ハンディを背負った若者の物語ながら常にパワフルでハッピーな作品に仕上がっています。


     

100の言葉より、愛に満ちたひとつの心


 【簡単なあらすじ】
 生まれつき耳が聞こえず、話ができないバルフィ(ランビール・カプール)。心優しき彼は豊かな感性とユーモアを持ち、身振り・素振りで人々を楽しませる。

 そんなバルフィに密かに想いを寄せるのは、資産家と結婚したシェルティ(イリアナ・デグルーズ)。そして、家族の愛を受けずに育った自閉症のジルミル(プリヤンカー・チョプラ)。
境遇の全く違う二人の女性の人生が、バルフィとの出会いによって静かに動き出していく——。

     

大切なのは言葉じゃない?バルフィの“人間力”が爆発


 ハンディキャップがあるなんて、映画が始まってすぐに忘れる。
バルフィが周りの誰よりも楽しそうに人生を謳歌し、表情を何百個も持って街を駆け抜ける姿は、どこも不自由じゃない。むしろ自由に見える。

 願えば全てが叶うようなハッピーな世界観に見えても、この映画では簡単には叶えられない恋が二つ描かれる。
その壁とぶち当たるバルフィはどこにでもいるような恋に悩む青年で、時折見せる寂しげな表情はかつて名作映画で観た映画スターのように尊大で、親しみやすいのです。

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©UTV Software Communications Ltd 2012

 バルフィはシェルティを“冒険”に連れ出す。
資産家との婚約指輪がまるで手錠のように思えるシェルティにとって、それは人生の解放だったに違いない。指輪を外し、代わりに草の葉を結ぶバルフィ。ロマンチックには言葉も金もいらない。

 初めてキスを交わした二人に待ち構えているのが別れでも、シェルティが安定した未来を選んでも、泣き出す彼女にバルフィは瞳で「笑って」と伝える。
バルフィの得体の知れない人間力を目撃する151分。彼のパワーから学べることがとにかく多いのです。


バルフィから眺める世界は、まるでサイレント映画?


 本作の大きな特徴は世界中の名作映画のオマージュ。映画ファンなら「あっ!」って驚くシーンが尽きないのです。
『雨に唄えば』をはじめとする古き良き時代のアメリカ映画から、『きみに読む物語』、『アメリ』、『Mr.ビーン』、『プロジェクトA』、『菊次郎の夏』といった世界各国の近年の作品まで網羅。作品全体に満ち溢れている映画愛は、愛情たっぷりな性格のバルフィに似合っています。

   
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©UTV Software Communications Ltd 2012

 そして何より、サイレント映画を再現している点は絶対に無視できない。
チャールズ・チャップリンやバスター・キートンなど名作サイレント映画のオマージュの連続。耳にハンディがあるバルフィから眺める世界があたかもサイレント映画のように音もなく静かで、味わい深いものになっている。

 かつて多くの人々に愛された、言葉を一切発しない映画スター。そのキャラクターを受け継ぐように、身振り素振りでシェルティとジルミルを魅了するバルフィ。
名作映画の数々がまた新たに映画を作っている、その事実に感動を覚えてしまうのです。

大切なのは言葉じゃない!


 シェルティとジルミルとともにこの映画の時間を共有すると、バルフィに惹かれる理由が分かるはずです。
大切なのは言葉じゃない。言葉に辿り着くまでの重要な部分が、たくさんの人に愛を運ぶのでしょう。

 バルフィは、シェルティとジルミルのどちらと結ばれるのか。
ふたつの恋心。でも叶うのは一つだけ――。
往年の名作映画が散りばめられた結末が明らかになるとき、心優しい気持ちになるはずです。



TOHOシネマズシャンテほか絶賛公開中!

監督:アヌラーグ・バス
キャスト:ランビール・カプール、プリヤンカ・チョプラ、イリアナ・デクルーズ
配給:ファントム・フィルム
原題:Barfee/2012年/インド映画/151分
URL:映画『バルフィ!人生に唄えば』公式サイト

Text/たけうちんぐ

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