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  • 2014.07.19

裏切りで全てを失った女の復讐劇!『眠れる森の美女』を“悪役”視点から見る『マレフィセント』

「私を捨てて、あいつは自分のために他の女と付き合った」
このような怒りを抱えている人に、とっておきの映画が生まれました。
本来なら呪いたいところですが、現実はそうもいかず。でも、映画では実際に呪っているんだから願ったり叶ったりです。

 女の心を壊すだけでなく、生活のすべてを奪った男。奈落の底へ突き落とされた女が復讐に燃え、男をコテンパンにする。こんなに爽快な映画は滅多にありません。
そして、この女がかの名作『眠れる森の美女』で“悪役”と見なされていることに驚くのです。

たけうちんぐ 映画 死ぬまでには観ておきたい映画のこと ロバート・ストロンバーグ アンジェリーナ・ジョリー エル・ファニング サム・ライリー シャールト・コプリー イメルダ・スタウントン ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン Maleficent マレフィセント 悪 眠りの森の美女 復讐 呪い
© 2014 Disney Enterprises, Inc. All rights reserved.

 ディズニーアニメの名作『眠れる森の美女』を“悪役”視点で描いたダークファンタジー。
『アバター』『アリス・イン・ワンダーランド』のプロダクションデザインでアカデミー賞美術賞に輝いたロバート・ストロンバーグが監督を務めます。

 主演のマレフィセントを演じるのは、近頃女優のみならず監督業もこなすアンジェリーナ・ジョリー。マレフィセントを演じられるのはこの人しかいない!なぜなら、美しさの中に潜む異様な妖気。角張った頬と大きな唇。“邪悪な妖精”を演じるのに、その顔の輪郭だけで説得力は半端ないのです。
さらに実の娘・ビビアンちゃんがオーロラ姫の幼少時代を演じ、本作で映画デビューを果たす。さすがのマレフィセントも愛を滲まさずにはいられない、二人の共演シーンは必見です!


“悪”と嫌われ続けた彼女の本来の姿

 【簡単なあらすじ】
 ある王国に王女・オーロラ姫(エル・ファニング)が生まれ、盛大な祝いが行なわれていた。しかし、そこに“招かれざる客”の邪悪な妖精・マレフィセント(アンジェリーナ・ジョリー)が現れ、赤ん坊のオーロラ姫に16歳の誕生日に永遠の眠りにつくように呪いをかける。

 実の娘が呪いをかけられた国王のステファン(シャールト・コプリー)は失意に陥り、怒りに震えた。しかし、彼こそがマレフィセントをどん底に突き落とした張本人。永遠の愛を誓ったのに裏切り、国王になるために彼女を捨てたのだ。
ステファンへの復讐のために幼い少女に呪いをかけたマレフィセントだが、次第にオーロラ姫に愛情が芽生えていき、呪いをかけたことを悔やむ。しかし、その呪いは“真実の愛”がなければ解く事ができない——。

“悪役”はそれぞれの視点で変わる

『アナと雪の女王』で大きく賑わっているディズニー映画。その新作はなんと“悪役”が主演。この振り幅と挑戦に感服する。ディズニーは輝きだけでなく、その裏側の闇までちゃんと描き出すから信頼できるのです。

『眠れる森の美女』を観た人ならマレフィセントはただの“悪役”で、それ以上でも以下でもない。彼女の生い立ちも感情も知らない。物語が描かれなければ、彼女はただすべての人に憎まれるだけの存在。

 
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 でも、それって考えてみるとちょっと怖い。誰が本当の“悪役”なのか、この映画を観ると一発で分かる。その視点の変え方が面白くて、現実世界でも置き換えることができる。

「あいつって本当性格悪いよ」「あの子とは関わらないほうがいい」

 このような噂は至る所で存在する。あくまでその人視点の“悪”なのに、あたかも真理であるように語られる。この目で確かめなきゃ真実は分からない。
視点を変えるだけで“悪”はいとも簡単に“善”に変わり、その逆も然り。それはこの映画が教えてくれることの一つです。


愛を持つ者の悪意は長続きしない

 映画の冒頭、少女時代のマレフィセントが優雅に空を飛び、森の住民たちと仲良く戯れる。屈託のないその笑顔と無邪気な性格。誰もが愛するような少女を生まれつき“悪役”なんて、誰が思うだろうか。
オープニングから、名作に隠されたマレフィセントの人間性が浮かび上がる。そんな彼女が裏切られる瞬間、多くの人は強く感情移入せざるをえない。

 そりゃ怒るし、そりゃ呪う。そして、呪われた親は、そりゃ怒る。
この悪循環をさーっと観ているだけで、悪意というものは連鎖し、血の雨を降らし、悲しみの種を蒔くことが分かる。

たけうちんぐ 映画 死ぬまでには観ておきたい映画のこと ロバート・ストロンバーグ アンジェリーナ・ジョリー エル・ファニング サム・ライリー シャールト・コプリー イメルダ・スタウントン ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン Maleficent マレフィセント 悪 眠りの森の美女 復讐 呪い © 2014 Disney Enterprises, Inc. All rights reserved.

 ただ、マレフィセントはオーロラ姫に愛を注ぎ始めた。これは、本当に愛を持つ者の宿命なのかもしれない。どんなに恨みを持って悪意を抱いても、それは長続きしないのです。復讐劇なんてあっけなく終わる。その先のドラマが始まるからです。

“悪役”であるはずの彼女の物語が、愛に満ち溢れたものであると知った時の衝撃は計り知れない。哀愁と慈愛の表情をするマレフィセントの姿は、本作のみならずすべての物語で位置付けられる“悪役”の真実を想像してしまうのです。

     

クールな佇まいに滲み出る温かさ

 オーロラ姫に対して「子どもは嫌いよ」と表情を崩さないマレフィセント。温度を感じないクールな佇まいを見せても、どこか温かみを感じる。それはやはり、幼少期のオーロラ姫を演じるのが実の娘・ビビアンちゃんだからでしょうか。ここらへん、完璧なフィクションの中に一瞬生々しいオフショット感が見られるのが微笑ましいです。

 誰かに復讐心を抱く人は、この映画にどんな結末を期待するだろう。
復讐をするとスッキリして、解決する。
でも、あなたに愛がある限り、本当はそんな結末を望んでいないし、そもそもその悪意は長続きしないのではないのか。それは、葛藤の末下したマレフィセントの決断が教えてくれるはずです。


全国公開中!

監督:ロバート・ストロンバーグ
キャスト:アンジェリーナ・ジョリー、エル・ファニング、サム・ライリー、シャールト・コプリー、イメルダ・スタウントン
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
原題:Maleficent/2014年/アメリカ映画/97分
URL:映画『マレフィセント』公式サイト

Text/たけうちんぐ

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