恋愛小説の大御所が残した上機嫌な言葉たち『上機嫌の才能』

 「でも、起こってしまったことはもとに戻せない。人の気持ちを変えるということはできないからね。だから『そんなこともあるわな』と切ってしまったほうがいい。人生とはそういうことの連続だし、それで済むようにするのが大人やねん。女には、そういう潔さがあるはずやから」。

 この言葉は、小説家の田辺聖子さんのインタビュー記事や自身の人生感などを掲載したエッセイ集『一生、女の子』のなかの一節です。 ふっと、心が楽になった人はいませんか? 恋愛に苦しんでいる女性の心のおもりを取り除いてくれるような言葉ではないでしょうか。

 本書『上機嫌の才能』は、田辺聖子の200をこえる作品のなかから、“上機嫌”をテーマにした文章や台詞を集めた言葉集です。 田辺聖子さんは冒頭にて「世の中は面白いと思い生きるのと、世の中って苦しいと思い生きるのでは歳月の形はぜんぜん違うのではないだろうか」「あなたのやさしみを、まずはあなたの近しい人に。笑いの種を、上機嫌の種をふりまいて」と綴っています。

もしも、あなたがなにかに怒っていたとしたら、辛くて仕方がないことがあったら、彼のことで悩んでいたら、読んでみてほしい一冊です。 不思議なくらい、今まで重くのしかかっていた憂鬱が晴れやかになります。本をパタンと閉じたとき、あなたはきっと上機嫌な女性になっているはず。
そして、そのうれしい気持ちはあなたのまわりの人も幸せにするパワーになるはずです。

書名:『上機嫌の才能』
著者:田辺聖子
発行:海竜社
価格:¥1,400(税込)

Text/Yuuko Ujiie