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  • 2012.05.20

“現実以上”を写しだす加工写真の歩みと魅力!『光の造形―操作された写真』

光の造形展
亀戸天神の藤棚 「玉村康三郎・蒔絵アルバム」より 玉村康三郎・騎兵衛 明治後期(1897~1912年頃) 鶏卵紙

 いまや、パソコンの画面上で写真の補正や加工なんてカンタンにできる時代。
彼氏がアイドルのグラビアに見とれていると、「そんなの、フォトショップで肌のシミやシワをぜんぶ消してるからかわいいのよ!」なんて、嫉妬して思わず悪態をついてしまったこともあるのでは?
ところが、昔のフィルム写真は特殊効果を出すための加工や編集も、すべて人の手によるアナログ技術。
だからこそ、その技術は芸術的感性の賜物であり、「作品」として評価されてきました。
 このように、撮った写真をそのままプリントするのではなく、さまざまな技法で手を加えることで、作家の理想を表現しようとした写真作品を集めた『光の造形―操作された写真』展が、東京都写真美術館で開かれています。
新聞や雑誌といった既存素材や文字と写真を組み合わせる「コラージュ」、写真の一部を切り取って主題を強調する「トリミング」、ネガを重ねあわせたり、数回に分けて現像することで合成写真を作り出す「フォトモンタージュ」など、その技法は実にさまざまです。

光の造形展
静止した時間#39 奈良原一高 1964年 発色現像方式印画

 写真を、文字通り「真を写す」=「ありのままを捉える」ものだと思いがちな私たちにとって、人が手を加えた写真は、現実をねじ曲げて偽りを写し出すニセモノ…といったネガティブなイメージがつきまといます。
でも、photographyという言葉は、もともとphoto(光)とgraph(画)が語源。「光を利用して画を造りだす」と考えれば、その可能性はずいぶん広がりますよね。

 写真技術が普及したての頃、銀板やガラス板に絵具で直接色を塗る「彩色写真」が大流行したのは、少しでも現実の風景に近付けたいと思う人々の創造力の賜物でした。
また、明治時代の日本では、さまざまな技法を複合的に使った「雑巾がけ」と呼ばれる独特の手法が発達します。
これも、作家の頭の中の世界を再現したいというイマジネーションが生み出した作品と言えるでしょう。

光の造形展
月の夢想 平井輝七 1938年 ゼラチン・シルバー・プリント

 フォトショップで簡単に補正ができてしまう現代だからこそ、私たちは創意工夫によって写真の中に「拡張現実」を作ろうとした、先人たちの手法や技術に学ぶべきなのかもしれません。
この展覧会を見たら、2人の思い出の写真を切り貼りした、昔ながらの「手作りフォトアルバム」を作ってみたくなるかもしれませんよ!

名称:光の造形―操作された写真
会期:2012年5月12日(土)~7月8日(日)
会場:東京都写真美術館(東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内)
開館時間:10:00~18:00(木・金は20:00まで) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:毎週月曜日(ただし月曜日が祝日の場合は開館し、翌火曜日休館)
観覧料:一般500円 学生400円 中高生・65 歳以上250円
問合せ:03-3280-0099
URL:http://syabi.com/contents/exhibition/index-1597.html

Text/Fukusuke Fukuda

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