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  • 2012.05.03

え、これぜんぶ紙でできてるの!?『トーマス・デマンド』展

トーマスデマンド展
《浴室》1997年、Cプリント
© Thomas Demand, VG Bild-Kunst, Bonn / APG-JAA, Tokyo
Courtesy Taka Ishii Gallery, Sprüth Magers, Esther Schipper, Matthew Marks

カーテンからチラリと浴槽がのぞくバスルーム、たくさんの機械に囲まれたどこかの制御室、神秘的で冷ややかな雰囲気の洞窟。
いずれも日常や自然のありのままの光景を撮影した写真です。
ところが、その質感はどこかのっぺりしていて現実味がなく、奇妙な違和感を醸し出しています。
それもそのはず、本物と見まがうこれらの光景は、いずれも厚紙で精巧に再現されたなんと“ニセモノ”なのです!


トーマスデマンド展
《制御室》2011年、Cプリント
© Thomas Demand, VG Bild-Kunst, Bonn / APG-JAA, Tokyo
Courtesy Taka Ishii Gallery, Sprüth Magers, Esther Schipper, Matthew Marks

 この驚くべき写真作品を制作しているのが、ドイツの現代美術界を代表する作家のひとり、トーマス・デマンドです。
彼は、政治的・社会的事件が起きた現場の風景を、新聞の報道写真などをもとに厚紙でほぼ原寸大に再現。
それを撮影して、見る者を圧倒するほどの大画面であらわすのが作風です。
無機質で空虚な紙でつくられた世界は、現実と虚構をあいまいにして私たちにリアルとは何かを問いかけてきます。

トーマスデマンド展
《洞窟》2006年、Cプリント
© Thomas Demand, VG Bild-Kunst, Bonn / APG-JAA, Tokyo
Courtesy Taka Ishii Gallery, Sprüth Magers, Esther Schipper, Matthew Marks

 そんな彼の個展『トーマス・デマンド』展が、東京都現代美術館で5月19日(土)から開催されます。
初期作品から最新作まで、デマンドの活動の全貌を紹介する本格的な個展は、日本の美術館としては初めて。
本展では写真だけでなく、彼の映像作品から代表作4点も紹介。
紙でつくられた物がぎこちなく、奇妙に動く独特の作風は、デマンドの表現する現実のフィクション性をより強調している彼の真骨頂ともいえます。
最新の映像作品《パシフィック・サン》では、2008年に豪華客船パシフィック・サン号が大嵐に見舞われた際の映像をモチーフに作品を制作。
世界の美術館で初めて発表されるという本作は、注目の目玉のひとつとなっています。

 大迫力の写真で構成された空間で、現実とは何か、虚構とは何かを考えるひととき。あなたの目に映っている現実は、果たして彼が見ているそれと同じなのでしょうか……。
思わずそんなことを考えてしまう不思議な体験ができるかもしれませんね。

名称:「トーマス・デマンド」展
会期:2012年5月19日(土)~7月8日(日)
開館時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
会場:東京都現代美術館 企画展示室3階(東京都江東区三好4-1-1)
休館日:月曜日
観覧料:一般1,000円 大学生・65歳以上800円 中高生500円 小学生以下無料
問合せ:03-5777-8600(ハローダイヤル)
URL:http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/134/

Text/Fukusuke Fukuda

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