パリコレに見る、日本と海外の“いい女”の定義

 こんにちは。ファッションエディターの近藤陽子です。
今回も今シーズンのパリコレから、気になったブランドをピックアップしてみました!
テーマはずばり“いい女”が着こなす服、です。

 まず“Rue du Mail”は、マルティーヌ・シットボンが手がけるブランド。
ブランド名を聞いて気づく人も多いかもしれませんが、rue du Mail5番地にアトリエとショールームを構えていて、ショーもいつもここで開催されています。

 私は以前、とある媒体でマルティーヌをインタビューしたことがあり、その後香港でも再会するなど何かと縁があるので、今回もショーを見ることをとても楽しみにしていました。
マルティーヌは毎回シーズンテーマを設けるわけではなく、一環してマスキュリン&フェミニン、永遠のパリジェンヌ像を貫いています。
今回は明るめの色の抽象画や複雑に編み込んだニット、ラメを施したグラフィカル模様のカットアウトドレスなど、品がありつつ斬新さも持ち合わせたルックがたくさん登場。
後日ショールームに行った時には、お得意のトレンチコートもあって、まさにパリ・シックを体現しているブランド!だと思いました。

 また、新しいニュースとして、本格的にコマーシャルライン“rdm by Rue du Mail”も誕生!
こちらはコレクションラインのイメージを継承しつつもプライスがぐっとお得になっていて、より私たちに身近なブランドとして要注目です。
今回は伊勢丹や高島屋、リステアなどが視察に訪れたというから、ぜひとも日本でも展開してほしいですね。

 そしてもう一ひとつ、個人的にも愛してやまないのが“ドリス ヴァン ノッテン”。
このブランドも、すでに普遍性のあるデザインを毎シーズン統一して打ち出しています。
オリエンタリズム漂うプリントやエンブロイダリーはデビューしてから変わらず、ですが、今回は他ブランドでも多く見られたファーが気になりました。特に、イエローやブルーなどぱっと目の覚める色使いは必見! いかにもマダム然としたファーだとちょっとオバサン…になってしまいますが、“ドリス ヴァン ノッテン”はマスキュリンなジャケットとの組み合わせなど、とてもモダンに昇華していて、いたるところにコーディネートのアイデアが潜んでいます。

それにセンシュアルな大人の気品がたっぷりの“Dior”や“ニナ・リッチ”、次シーズンからステファノ・ピラーティに代わり、エディ・スリマンがクリエイティブ・ディレクターに就任、というニュースで話題の“イヴ・サン・ローラン”など、パリには大人の女性が似合うクオリティの高い“本物”がたくさんあります。

 パリコレに限らず他の都市のコレクションもそうですが、海外と日本を比べた時、いつも思うのが“いい女”の定義が違うこと。
日本だと“大人可愛い”という言葉が定着しているように、ボディを強調しないユルいシルエットのガーリーテイストが多いですが、海外では“セクシー”こそが大人の女。
“セクシー”といってもわかりやすく肌を露出するわけではなく、全体的に媚びない凛としたムードが漂っていて、内面から女性美を追究しているように思うわけです。
愛する彼との関係を長続きさせたいなら、見た目の可愛さだけでなく、そういった内面からの輝きをパリコレブランドから紐解いてみるのもいいかもしれません。

Text/Yoko Kondo(Fashion editor)