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  • 2016.12.28

彼の愛を試して試して試しまくって自爆する わたしがメンヘラだった頃

少しでも心が不安定だったりすれば「メンヘラ」と呼べてしまう昨今。そんな状況に苦言を呈するうろんちゃんも、元はコテコテのメンヘラだったそう。連載第4回目は、リストカット以外のことは一通りやったといううろんちゃんによるメンヘラ分析と、彼女がメンヘラ的状況から脱したいと誓った経験についてです。

うろんちゃん 恋愛道場 メンヘラ 破壊願望

 メンヘラという言葉を聞いたことがあるだろうか? 今や、ほとんどの人が聞いたことがある言葉だと思う。では、メンヘラとはいったい、どんな人を指すのだろうか。しっかりと説明できるかと問えば、恐らくちゃんと答えられる人は少ないのではないだろうか。

 Google先生で“メンヘラ”を検索すると、一番上に“「心の病気を患った人」を指すネットスラングです。 「精神疾患・精神障害を持つ人」という意味。”と出てくる。

 しかし、今やメンヘラの基準はどんどん下がり、「情緒が多少不安定で恋愛に一途な女は全員メンヘラ」とでも言わんばかりの風潮である。その程度でメンヘラを名乗るなんて、ちゃんちゃら可笑しいと言いたくなる。誇れたもんではもちろんないが、わたしは元コテコテのメンヘラであった。そりゃあもう酷かった。

わたしがメンヘラだった頃

 わたしがどんなメンヘラだったかと言えば、まあ恐らく皆さんがメンヘラと聞いて連想するようなことは、リストカット以外は全部やったと思う。人間は自分にとって都合の悪いことは忘れるように出来ているから、正直当時の記憶はかなり薄いが、10代後半〜20歳の頃は酷かった。彼氏の携帯を逆パカして折ったことも、下北沢の駅前に彼氏のベースを投げ捨てたこともある。夜中に「今すぐ会いにきて」と電話口で泣くのは朝飯前であったし、睡眠剤を用法容量を守らず服用したり、故意に吐いてみたりした。喧嘩をすれば罵詈雑言を浴びせ、物を投げ、刃物を持ち出して死ぬだの殺すだの散々喚いたあと、お決まりのように「嫌いにならないで。好き? わたしのこと本当に好き?」と問い続けた。

 とにかく当時のわたしは、試したかったのだ。彼の愛を。そして、自分が本当に愛されているのかを。二人の間に愛はあるのか。全力で、あらゆる手段を用いて、試して試して試して試しまくった。まるで、石橋を叩いて叩いて叩いて叩き割るように、全力で。

メンヘラと破壊願望

 メンヘラとは往々にして、「自分はこんなに傷ついている!! お前のせいで! こんなに傷ついている!!!」ということを、とにかく激しく主張したくて仕方がないのだ。そのために、刃物を持ち出したり叫んだり、全身を使ってとにかく過剰なアピールをする。

 つまりそれは、「わたしは今、お前のせいでこんなに傷ついているんだから、愛をくれ!!!」という脅迫である。ここまでくると「傷ついている」ことはナイフと同じく凶器。ナイフをチラつかせて愛を強奪しようとしているのだ。

 本当に重要なのは「傷ついている」という事実ではなく、「愛をくれ」の部分なのだが、メンヘラは、とにかくそれをわかっていない。自分の本当に欲しいものがわからないから、破壊衝動へと突き進んでいく。

 わたしは、メンヘラとは、石橋を叩いて叩いて叩いて叩き割る生き物だと思っている。愛の名の下に、全てを壊そうとしていた。愛されたいと願いながら、本当に愛してくれているのかいつも疑った。愛してるよと言われれば、これでもか? これでも愛してるのか? と執拗に詰め寄った。冷静に考えると、自ら嫌われにいくような行為だとわかるが、当時はあまりにも必死すぎた。自分のことを、不安で可哀想な愛に溢れた乙女だと思っていた。不安ゆえに愛ゆえに、二人の間の恋心や彼の愛情、彼自身、ひいては自分自身を、完膚なきまでに壊そうと全力を注いでいた。

 そう、メンヘラの目的は壊すこと。自分自身を、壊してしまうこと。本当に欲しいものは「愛」のはずなのに、振られてしまえば、納得するのだ。「ほら、やっぱりわたしに愛される価値なんてなかった」と。
わたしはいつも、恋人にいつか本当に嫌われてしまうんじゃないかと怯えていた。そしてその恐怖に耐えられず、自分から別れを切り出す恋愛ばかりしていた。そして、自分から振ったくせに、やっぱり悲劇のヒロインに浸っていた。

「嫌いだった母親」に似ている自分

 わたしが、自分のことをメンヘラだと悟ったのは当時の恋人と喧嘩をしたときだった。いつものごとくそこら辺にあるものを引っ掴んでは投げ、引っ掴んでは投げていたときに、ついにフライパンまで投げようとした瞬間「それは流石にダメだろ!」と叫ばれ、咄嗟に「お母さんには投げられたことがある!」と叫び返していた。そのとき、自分の口から母親が出てきたことに心底、びっくりした。

 そして彼の言葉が決定的だった。「お母さんと同じことするの?」わたしはそのまま、トイレに行って吐いた。自分がすごく嫌だった母のように、自分がなろうとしている。こんなに怖いことはなかった。わたしはそこで初めて、自分でこのメンヘラ的状況を脱したいと誓ったのだ。

 そこから、通院やカウンセリングなどプロにも頼ったし、本をたくさん読んだ。自分で自分が制御できないという状況を初めて受け止め、暴走する己の中のメンヘラモンスターとしっかりと向き合うことを決めたのだった。

 今でも、わたしの胸には小さなメンヘラが住んでいる。たまに姿を覗かせるが、当時のような暴れん坊具合はとっくに失せた。恐らくそれは、あの頃よりはずっと自分を客観視することが出来るようなったからだと思っている。メンヘラというモンスターと完全にさよならすることは、今後も恐らく出来ないかもしれないが、この小さなモンスターを上手いこと飼い慣らして、これからもボチボチ付き合っていくしかないと思っている。

Text/うろんちゃん

次回は <「逆にウケる」でほとんどのことは解決する メンヘラモンスターの知恵>です。
元コテコテのメンヘラのうろんちゃん。愛されたいのに、あるいは愛されたいがゆえに暴れてしまう自分のなかのメンヘラモンスターをどうやって鎮めたらいいのか、その具体的な方法についてAM読者に提案してくれました。自分の不安を完全に消し去ることなんて他人には出来ないということを理解するためのワンステップです。

ライタープロフィール

うろんちゃん
元メンヘラ、元婚活ポエマー、既婚29歳(婚活卒業しました)

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