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  • 2016.09.16

恋愛は人類の進化がつくった最高の無駄!20万年前の恋愛観を専門家に聞いてみた

結婚し、子供を産む。これらには「恋愛」ということが絡んでくる…「自然(=地球)は子孫から借りているもの」という言葉もあるように子孫繁栄のために、そして自らの価値を確認したり、愛されることを目的とした【恋愛】とはいつの時代から始まったのだろうか。―肩の力を抜いて過去の恋愛を学び今を生きてみませんか?

 私たちは基本的に、恋愛をして、生殖行為にいたり、子孫を繁栄させていく。このシステムはいつ頃から始まったのだろう? アウストラロピテクスにネアンデルタール人、人類の祖先たちは恋愛をしていたのだろうか? 『ヒトの進化 七〇〇万年史』などの著者・河合信和さんに聞いてみた。

最古の人類の恋愛事情を探る

出会いのカタチ 最古の人類 恋愛事情

河合信和さん(以下、河合) まず、最古の人類とはサヘラントロプス・チャデンシスというのですが、彼らは間違いなく恋愛はしていなかったと思います。

――あれ? 最古の人類はサヘラントロプスというのですね。昔、アウストラロピテクスと習った記憶があるのですが……。

河合 実は違うんです。アウストラロピテクスよりも古い種の発見が相次いだのが2000年頃。それより前の教科書にはアウストラロピテクスが最古と書かれていました。今では、現状最古であるとされているサヘラントロプス・チャデンシスなど、アウストラロピテクスよりも前に4種類ほどいたことがわかっています。

アウストラロピテクスは手あたり次第に生殖行為をしていた

――そうだったんですね。最古のサヘラントロプス・チャデンシスは恋愛していなかったとのことですが、じゃあアウストラロピテクスはいかがでしょう?

河合 おそらくアウストラロピテクスも恋愛はしていなかったと思います。アウストラロピテクスは類人猿の中では“乱婚”の形を取るチンパンジーに近いと言われているんです。

――“乱婚”……手あたり次第に関係を持つということでしょうか?

河合 そうです。乱婚とは、特定の相手とペアを組まずに手あたり次第種付けを行うシステムのこと。一方、例えばゴリラはオス1匹がメス5~6匹を囲ってグループを作るハーレム社会です。ハーレム社会では、自分のハーレムをほかのオスが奪いに来るので、戦って守れるように、ゴリラのオスの体はメスよりもずっと大きく作られています。

――チンパンジーのような乱婚だと、何かを奪ったり守ったりで戦う必要はないんですね。

河合 そうです。チンパンジーもアウストラロピテクスも、オスとメスの体の大きさにさほど差はありません。このことからも、アウストラロピテクスはチンパンジー型だったのではないかと言われています。ちなみに、チンパンジーのオスの睾丸ってすごく大きいんですよ。現代人の2、3倍はあります。乱婚社会の中でたくさん精子を作って自分のDNAを残すためです。

――じゃあ、もしかしてアウストラロピテクスの睾丸も大きかったのでしょうか?

河合 何しろ化石として残らないので想像するしかないんですが、その可能性はあります。ただこの頃から一夫一婦制だったという見解もありますから、そうだとすると現代人並みの大きさだったこともあり得ます。

150万年前に恋愛感情のない一夫一婦制が始まる

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――アウストラロピテクスって、まだまだヒトよりも動物に近かったんですね。では、恋愛感情とはいつ頃から生まれたのでしょうか?

河合 おそらく20万年前に登場した、現代人に最も近いホモ・サピエンスからだと思います。

――結構最近になってからなんですね。といっても、20万年も前から恋愛して夫婦になって、と繰り返されてきているんですよね。

河合 ちなみに、男女がペアになって夫婦として家庭を築くようになったのはそれよりももう少し前で、150万年前のホモ・エレクトスの時代からとされています。このときに恋愛感情があったかは不明ですが、僕はなかったのではないかと思います。

――恋愛感情がないのに、夫婦のような形を取っていたのでしょうか?

河合 そうです。そのほうが子育てがしやすいからです。それ以前はオスは子育てに一切関与していませんでした。それでもメスだけで子育てはできていた。なぜなら、類人猿やニホンザルには毛があり、生まれた子は自分で母親の毛にぶら下がっていたから。母親が赤ん坊を両手で抱く必要がなかったわけです。けれど、ホモ・エレクトスくらいまでくると進化の過程で毛がなくなっているため、母親が両手で赤ん坊を抱いて移動しなければなりません。

――母親一人で両手で赤ん坊を抱きながら、食べ物を採集しなければならないということですよね。大変だ。

河合 子育てがしにくいと、子どもの生存確率も下がってしまいます。そういった理由から、男性が子育てに関与するようになり、徐々に一夫一妻制の形になっていったと考えられます。また、男性にとっても、乱婚だった時代と違って、一夫一婦制なら間違いなく自分の子と確信できます。よって、一緒に子育てすることに異論はなく、そのことにより自分の遺伝子がいっそう残りやすくなるという利点もあります。

――合理的な理由から夫婦の形を取っていたんですね。

河合 そうです。ホモ・エレクトスに限らず、生物は基本的に合理的です。非合理的な存在だったら自然淘汰の中で生きていけないですからね。絶滅しないように、その環境に合った合理的な仕組みで生きているんです。

ネックレスをプレゼントするホモ・サピエンスの恋愛事情

――その後、ホモ・サピエンスの時代になると恋愛感情が絡むようになるんですよね。そうなった理由って何かあるのでしょうか?

河合 ホモ・エレクトスの時代から、石器を作り始めたのが関係しているのではないかと推測できます。石器によって、動物の肉などの栄養価の高いものを食べられるようになったわけです。そのおかげで、脳が大きく発達していきました。ホモ・エレクトスの時代と、それ以前とを比べると、脳の大きさが明らかに異なるんですよ。

――脳が大きくなることで、脳の中に恋愛感情をつかさどる部分が作られたということですか?

河合 そういうことです。ほかにも、ホモ・サピエンスが残した壁画やオーナメントからも、恋愛をしていたことが類推できるんです。オーナメントの中には、ネックレスや腕輪のようなものもありました。ですから、男性が女性にネックレスをプレゼントしたこともあったはずです。

――ホモ・サピエンスの男性が、手作りのネックレスを女性にプレゼントしていたってことですよね。ちょっとグッときますね。

河合 こういうのは、現代の恋愛感情に近いものと言えるでしょう。

――振られることもあったのでしょうか?

河合 あったと思いますよ。振られたから、もっときれいなネックレスを作ろう、とか思ったはずです。

――(いい話だ……)

洞窟内で婚活パーティー(?)をするホモ・サピエンス

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河合 ホモ・サピエンスの残した洞窟壁画から、そこが「男女の出会いの場」だったのではないかという説を唱える人もいます。その壁画、洞窟の入り口から数100メートルも奥の真っ暗で不便な場所に描かれているんですよ。だから、鑑賞のための絵ではなく、何かの儀式やお祭り、出会いの場などに使われていたと考えられるんです。

――ホモ・サピエンスの男女がたくさん壁画のある会場に集まるってことですよね。婚活パーティーのようですね! 恋愛感情が生まれたことで、浮気や離婚をすることはなかったのでしょうか?

河合 浮気はあったかもしれませんが、片親になると子どもを育てられないので、基本的には何があっても別れなかったと思います。せいぜい、石器を投げつけて喧嘩をしたくらいでしょう。まだホモ・サピエンスの時代の恋愛は、今と比べたらシンプルなものだったはずです。

――こうして考えると、恋愛感情が今よりシンプルだったホモ・サピエンスの時代や、恋愛感情がなかったそれ以前って、恋愛に悩むこともなく、合理的な手段で繁栄していったわけですよね。恋愛感情が生まれたことって、正しい進化なのでしょうか?

河合 実際、恋愛や恋愛感情は無駄か無駄じゃないかで言えば、無駄です。プレゼントして、デートして、ディナーをご馳走して、と大昔と比べたら、無駄にコストがかかっています。ですが、恋愛をすることによって、絆が深まって、子育てがしやすくなるわけで、そういう意味では進歩なんです。
アウストラロピテクスもネアンデルタール人も、そのもっと前のサヘラントロプス・チャデンシスもみんな、恋愛どころか、この景色きれいだな、この木の実おいしいな、といった感情すらなかったはず。合理性からは遠ざかったかもしれませんが、石器のおかげで脳が発達して、高度な幸せを享受できるようになったのは間違いありません。

――元を辿ると石器のおかげだったというのは驚きでした。

河合 そうです。恋愛感情とは、人類の進化が作った最高の“無駄”です。

(取材・文/朝井麻由美)

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