• love
  • 2016.09.08

「自分に価値があれば元カレに大事にされたはず」22歳こじらせ女子大生の本心

性に関するマシンガントークをぶちかましてくれた高円寺で出会ったバンド少女みんみん。「すげえ女子大生に出会ってしまった・・・!」と思いつつ、どんどん話を聞いていくと「6年付き合った元カレ」と「真面目すぎる将来観」の話題に行きついた。4時間に渡る飲み会の最後に見せてくれたのは、必死に隠して守っていた彼女の本心だった。

poiboy
©Poiboy

 高円寺でナンパをし、一緒に飲みだした22歳バンド少女、みんみん。
性生活に関するマシンガントークを聞いていたら、お酒も次から次へと空になっていった。
高円寺、夏、22時頃。飲み会は、3時間を経過した。

6年付き合った彼氏と、4か月前に別れた

poiboy
©Poiboy

 様々なゆきずりのセックス話を披露してくれるなか、スルッと元カレの話題が出た。「乱れだしたのは、元カレが遊び出したころからで」…アレ? 勢い止まらずセックス話ばかりをしていたみんみんの声色が、少しだけ変わった。

「高2から6年付き合ってて、東京にも一緒に出てきて、週の半分は半同棲みたいな感じで。でも彼氏は大学入ってモテだして調子に乗って、色々あって、別れた」

 “色々あって、別れた”の部分を、とても言いたくなさそうだった。ずっと感じていたアンバランスさと通じる気がした。「いやしょうもない話ですよ」とあっけらかんと言いながら、どこかとてもジトッとしている。少しずつ彼との別れを聞いてみた。

「大学入ってからホントダメな男になって、バイトもせず学校も行かずただ遊んでて、浮気もしてた。それでケンカになって別れましたよね。まあちょっとショックではあったけど、しょうがないし」

 浮気がバレて別れたあとも、別れたくないと言う彼氏はみんみんの家に居続けた。みんみんはショックのあまり何も食べられなくなり、2週間で10キロ痩せ歩けなくなった。このままじゃヤバイと思い、“自分で救急車を呼び1人で乗った”。家に居た彼氏は、それを見送った。
そうして入院し、退院したみんみんは元カレとヨリを戻したが、彼はまた浮気をした。それを責めるみんみんに「重い」と言い彼氏は逃げた。話し合いの場すら持たせてもらえず、16歳から22歳をつぎ込んだ恋愛は、一目会うこともなく終わった。

「その元カレからごめんっていうLINEが最近来たけど、でもそんな連絡ウザいから、“もう私を巻き込むな”って返した。ついでに元カレの恋愛相談にも乗ってやった」

 …どこか、本心を隠している気がしてしまうのは、聞き手の思い込みなのだろうか。“彼氏がモテだしてからみんみんも遊び出した”“フラれて入院するほどに衰弱した”という行動と、“ちょっとショックだけどしょうがない”“連絡がウザい”そんな発言がどうにもかみ合わない気がしてしまう。
でも勝手なストーリーは作りたくない。ちょっと違うことも聞いてみた。

親にお金をちゃんと返して、孫の顔を見せたい

 みんみんは大学4年生。どんな進路に向かっているのだろうか

「就職して、親にかけてもらったお金を早く返したいし、25には結婚して早く子供も産みたい」

 へ!? あまりにも真面目な回答に、全員でみんみんの顔をマジマジと見てしまう。え、それが、3日3晩耐久飲み会をしている人のご意見!? 道端で出会った男とやっている人のご意見ですか?? いやいやいや、と全員でツッコミを入れる。

「親戚の中で一番年上で、だからちゃんと働いて、25には好きな人よりも安定している人と結婚したい。バンドは、まあ、適当に休日とかにやる感じで。だって、今まで生きてきて一番信じられるのってお金だと思うし、形にして返せるのってお金だけだから」

 ものすごく冷静な言葉と、ロッキンTシャツとかたわらのベースがどうも相容れなかった。お金などもらわずにセックスをしている彼女と、なんだか相容れなかった。
「25までに結婚なら早く彼氏見つけないとね」と投げかけるとみんみんは答える。

「次付き合う人とはまだ結婚したくないっすよ。あと2人は付き合いたい」

 え、結婚したい時期まで3年しかないんだから次付き合った人と結婚すればいいじゃん、と総ツッコミが入ると、またみんみんが何食わぬトーンで言ってきた。

私、ちょっとまだ男のことを信じちゃってるところがあって。だからあと2人くらい付き合って、男がどういうもんか納得して、諦めがついてから結婚したい」

 ………おい! ………おい! なんて夢の無いことを言うんだ。
もう、完全に元カレじゃん! 完全に元カレに心やられてるんじゃん!
思わず「本当に好きだったんだねえ、元カレのこと」と声に出た。「そんなことないっすよ」のポーズを相変わらず作りながら、みんみんは言った。

「でも恋愛って、自分の価値を映してくるもんだと思うんすよ。私に魅力が無かったからあの人は離れていったんだろうし。自分に価値があれば、男の人も求めてくる訳だし」

 すべての言葉が「超好き」と言っているように聞こえた。ひと際大きな声で、明るくみんみんは続けた。

まあ、彼氏が居なくなって、自分の居場所がなくなったみたいな感じはなくはないですけどね

 なあ元カレ、あんたは大きな大きな傷をこの子に残しているよ。
なあみんみん、そして君は自分の傷にものすごい虚勢を張っているんだな。
≫新しい恋をはじめたくなったら≪

「違和感」の正体

 みんみんにはじめから感じていた違和感が何なのか、わかった気がする。それは、彼女の強がりなんだと思った。
性の話ばかりを話し、辛い話をなんてことないように形容し、将来の話を冷めた口ぶりで話す。それらは全て、“今、心に蓋をしている時期”ということなのだろう。
6年付き合っていた彼氏に、話し合いすら許されずにフラれた。その彼氏から数日前に連絡が来た。さらに今、将来という大きな分岐点に居る。

 今みんみんはとても傷ついていて、でも傷ついていることをしっかり受け止める勇気がまだなくて、考えなきゃいけないこと・決断しなきゃいけないことがいっぱいで、心にバリアを張ってしまっているんだろう。
「あんたね、盛大に傷ついてること認めて、ちゃんと向き合いなさいよ!」なんて言葉を言いたくなる。言うタイミングを伺っていたら、お店がもう閉店となってしまった。
閉店ですと店員が伝えにきて、帰り支度をし始めたら、みんみんがボソリと言った。

「もし私が長女じゃなくて、色んなプレッシャーから解放されたら、本当は就活もしないでバンドをやる。でもそんな勇気なくて、“就職して家族を旅行に連れていくことが夢”なんてことにしてる。ホントは好きなこと、やりたいですよ…」

 なんだお前! 閉店ってなったらそんな風に素直な言葉を口にしやがって!
どこまでもどこまでも、素直になれない女だ。もう、バカタレ! と抱きしめた。

 どうしようもできない思いがこじれて、今彼女は素直になれなくなっている。
本当は元カレと一緒に居たかった。でも元カレは、選んではくれなかった。
本当はバンドをやっていたい。でも家族のプレッシャーから逃げられない。
恋も、将来も、恐らく初めて、そして急に、彼女を優しく見守ってくれなくなっている。 「何かが違う」その感情だけが、きっとみんみんの中に育っている。

 みんみんは確かに今、色んな男とやっている。愛の無いセックスを繰り返している。
でもそれは、“性に奔放”ではないのかもしれない。
バンドと、6年間捧げたダメな彼氏の方にはもう転ばず、真面目な将来を踏み出すために今、彼女はパワーを付けている。
パワーとは、「私は愛されるに足る人間である」という証拠の数。今みんみんは、多くの男に求められるという記憶を体に刻み込んでいる。そうして、グチャグチャになってしまった自尊心を取り戻している。

 来年の4月からは、しっかりとした企業でスーツに身を包んで、仕事を始めるみんみんがきっと居る。出会ったばかりの男とゆきずりの関係になることももうしないだろう。

 高円寺、確かにこじれた22歳が居た。しっかりとした人生を歩みだす前の、猛烈に乱れて傷ついた彼女が居た。飲んで飲んで浴びるように飲んだ先に、初めて呟く本心が垣間見えた。

 そして、その横でもう一人一緒にお酒を飲んでいた21歳の恋バナを、次回はお送りします。今度は「お姫様に扱われたい女」な、現役大学生キャバ嬢です。まためんどくさそう? めんどくさくない人間なんて、居るのかな。
街ゆく人のリアルな恋バナが、ここにある…。
≫傷つき尽くして、また恋しよう≪

Poiboyとは

poiboy

 AM編集部がプロデュースした女の子のための恋愛応援アプリ。女性が男性をお気に入り登録(通称ポイ)することからコミュニケーションが始まる安心の女性主導設計。好みの男性をみつけたり、女性同士でオススメしあって盛り上がったり。恋愛中の感覚を擬似体験することができます。

関連キーワード

ライタープロフィール

舘そらみ
脚本家・俳優。1984年神奈川県生まれ、トルコ・中米育ち。映画「私たちのハァハァ」の脚本を執筆。Twitter:@_sorami

今月の特集

AMのこぼれ話