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  • 2016.01.29

同棲彼氏との結婚、もしくは浮気相手との結婚/はくる相談室(1)

浮気相手と同棲している彼氏どちらを選んだらいいか分かりません…。そんな読者のお悩みに、ゴールデン街をはじめとする人間交差点に立ってきた「はくる」さんが答えます。繊細に相談者の声に寄り立つはくるさんの声にご期待ください。

 東京で日常を生き、その狭間のふとした瞬間からtwitterにこぼれ落とされる言葉たちが静かに、しかし熱狂的な支持を受けている「はくる(@silonica )」さん。ゴールデン街など、さまざまな人間交差点に立つ彼女は、一方で、映画や文学をはじめとした様々な物語のよき受け手でもあります。恋愛相談に答えつつ、オールジャンルの魅力的な作品たちをご紹介する新しい形の恋愛カルチャーガイドが、ついに始まります!

【相談】
2年間同棲している彼氏がいます。その彼氏と結婚しようと思い、浮気相手に別れを告げたら、思いがけず浮気相手からプロポーズされました。 彼氏に対して不満はありません。ただ、ときめきは皆無で一年半セックスレス…。その点、浮気相手とは1年半強、ラブラブ状態が続いています。 私はどちらと結婚すればいいでしょうか。(26歳・金融・O型)

別れられない理由は「離れがたさ」

はくる 大相談への小さな声 同棲 浮気 結婚
PHOTO/はくる

 こういった相談に対して、「どちらを選んでも結局は後悔が残る」という答えが返ってくることが多いのではないでしょうか。ここでは果たしてそれは本当に真実なのかということを考えていきたいと思います。

 セックスのない生活に嫌気がさした夜は、浮気相手に思いを馳せる。浮気相手のデートに不満があった日には、楽である彼氏のことを思い出す。ふたりの男性と生活を共有していると、お互いの欠点をもうひとりの男性で埋めることができるので、つねに満たされた気持ちでいられます。きっとそれは合理的なことで、あなたはそこに甘んじているのではないでしょうか。

 相談の内容から察するに、彼氏・浮気相手共に交際期間が長期であるようですが、ここでネックとなるのは「離れがたさ」ではないでしょうか。どちらを選んでも、悪いことだとは知りつつもあなたが当然のように過ごしてきた人生の一部を失ってしまうことになるわけです。

 もうあの部屋には行けなくなるのかもしれない、もう近況を本人の口から聞くことはできなくなるのかもしれない、相手に次の恋人が出来てしまって私は傷付いたりするのかもしれない。そうなった時にあなたが受けるダメージは、きっと並大抵のものではないでしょう。

「きこえの悪さ」に惑わされてはいけない

 ここで話を冒頭に戻しますが、後悔が全く残らないようにすることはできなかったとしても、少なくすることは出来ると私は考えます。そのためにあなたに心がけてほしいことは、きこえの悪さに戸惑わないことです。きこえの良さに左右されないと言い換えてもいいかもしれません。

 同棲を始めてまもなく体を求めてこなくなった恋人。恋人がいる女性と浮気をするような男性。どちらも非難される要素を含んでいますが、あなた自身はそんなことを気にする必要はありません。正しさというのはある種野蛮な信仰で、いい加減な理由からでも幸せになるに越したことはないのです。正当な理由で不幸になってしまっては元も子もありません。

離れがたさに打ち勝てば、どちらでも大丈夫

 ここで一冊の本を紹介したいと思います。フランソワーズ・サガンの『すばらしい雲』です。

 このお話は、既に結婚している女性が主人公で、夫の嫉妬や妄想癖に悩まされているところに、かつて彼女に夢中だった男性が現れ、再び彼女に夢中になります。彼だったら夫といるときのような問題は起こらないと確信しながらも、女性は二人の間で揺れ続ける…という作品です。
具体的な解決策があるわけではないのですが、わだかまりに対しての心理描写が非常に多い作品なので、共感を得られる部分も多いのではないかと思います
(*ちなみにこの作品は同作家の『一年ののち』の登場人物のその後のお話でもあるので、こちらも併せておすすめします)。

はくる 大相談への小さな声 同棲 浮気 結婚
はくる 大相談への小さな声 同棲 浮気 結婚
フランソワーズ・サガン『すばらしい雲』(新潮文庫,1968)『一年ののち』(新潮文庫,1960)

 決断をするためには一度、相手のステータスや、自分に対して何をしてくれるのかということから目を離してみてはどうでしょう。
これから生活していく上で、自分が無理なく楽しく、刺激的に(刺激を求めないのであればフラットに)過ごせる相手を、欠点は欠点のまま愛することができれば…。
そして離れがたさや、離れた後の喪失感が派手なおまけとしてついてくるマリッジブルーにあなたが遅かれ早かれ打ち勝つことができれば、どちらと結婚したとしても良い日々を過ごすことができるのではないかと思います。

浮気しているすべての女性におすすめの作家、銀色夏生

 最後に斉藤由貴さんの『AXIA~かなしいことり~』という歌の詩(詞)を紹介します。これは銀色夏生さんという詩人の方が斉藤さんのために書かれたもので、浮気をしている女性の視点から、こんなフレーズが出てきます。

「いまではあなたを好きだけど/彼とは別れられない/それでもあなたを忘れない」

「これから誰を愛しても/ふたりは胸が痛いのね」(銀色夏生『Balance』角川文庫,1989より)

 銀色さんは恋についての詩を書いている著書が豊富なのですが、その中でもとりわけ、好きな女性が自分から去っていってしまう男性目線で書かれた詩が多く載っている『生活』という本も読まれると面白いかもしれません。

「探しているものが見つかればいいね /そのときとなりにいられないけど」

「わたしたちがいつかどこかにいたことを/ためらわず悲しまずおごらずにいよう」

「きみがどんなに素晴らしいところにいて/そこで守られているか/ 時がたつほど身に沁みて/やがてわかるようになるだろう」(銀色夏生『生活』幻冬舎文庫,2012より)

はくる 大相談への小さな声 同棲 浮気 結婚
銀色夏生『Balance』『生活』

 これらを読まれることで、結ばれなかった愛の意味合いがあなたのなかで良い方向に変わるかもしれません。

 習慣を捨てるというのは容易なことではありません。ですが、この先、夫となってあなたの生活に本当の意味で寄り添い、唯一の習慣となってくれる男性が、愛を持ってあなたの心をあたためてくれることを祈っています。

つづく

TEXT/はくる

ライタープロフィール

はくる
新宿ゴールデン街で働くインターネット十二年生。根暗ポップ。Twitter:@silonica

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