生きることは忘れること 過去にこだわらない貪欲な生き方

肉乃小路ニクヨ 恋愛 ニューレディー おネエ 忘れる 記憶

40歳を超えると物覚えが悪くなったり、忘れてしまうことが増えます。
私も例に漏れず、お客様の顔は覚えているのですが、うまく名前が出てこない時があります。
友人との会話でも「ほらほら、あれ、何だっけ?」という会話のやり取りが増えました。

ストーリー仕立てにして覚えるとか、覚え方のコツもあるようなのですが、
私は不精者なので、あまりできていません。
本当に大切なスケジュールや仕事関係はメモやカレンダーなどで管理しますが、
普段はなすがままです。そうするとどんどん忘れます。

で昔のこともどんどん忘れていきます。
若い頃は結構前にあったことまで、はっきりと生々しく覚えていました。
けれど最近はあっさりと忘れてしまいます。 良いことは忘れて、嫌なことは覚えているなんて言いますが、私は辛いこともけっこう忘れてしまい、苦手な人も会ってから、ああこの人ここが苦手だったわと思い出します。

若年性の物忘れの病ということではありません。
実はあまり気にしない、拘らない、執着しないということを敢えて心がけるようにしているからです。
忘れるというか覚えない努力、記憶に留めない努力です。

記憶の飽和

 前まではあらゆることを覚えていないと不安で仕方ありませんでした。
周りを見回しても年を重ねて、忘れっぽくなっている人を見て、ああはならないようにしようと思っていました。
物忘れは不幸だと思っていました。

でもね、20代くらいまでなら、記憶の総量も少ないから覚えていられるかもしれませんが、
生きてるとどんどんインプットが増えていき、処理しきれなくなる時が来るのです。辛いことも嬉しいことも毎日沢山起こります。
苦しいことも、悲しいことも、楽しいことも、おかしいことも、生きていくというのは膨大な経験の蓄積なのです。

食いしばった歯の感覚、作り笑いで顔に力を入れた感覚、楽しくてお腹がよじれた感覚、心が動いて涙が溢れた感覚、
社会人になって、世間との関わりが増えると、学生時代の比にならないくらい、
記憶と記録が増えます。まさに生きてる! っていう瞬間が沢山あるのです。
そんな経験を必死に覚えていよう、忘れないでいようと思うと、けっこう大変です。

「人間の記憶の容量には限界がある」というと決めつけがあって嫌なのですが、人も生きものなので、たしかに限界があると思うのです。
あと、前にあったことに執着を持ち過ぎると新しい経験をし難くなるのではないかと思うのです。予断と経験が新しいことの邪魔をすることがあります。