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  • 2016.11.08

宇多田ヒカルから藤圭子を知る 「好きな人」のルーツを辿る聖地巡礼のススメ

ニクヨさんが藤圭子さんを知ったのは、9月にニューアルバム『Fantôme(ファントーム)』を出された宇多田ヒカルさんのデビュー後でした。好きな人のルーツを探るのは楽しいもの。中島みゆきさんと安住紳一郎さんの母校にフィールドワークしに行ったり……AM読者のみなさんもぜひ真似してみてはいかがでしょうか!

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by keulefm

 宇多田ヒカルさんの新しいアルバムを最近よく聴いています。
熱心なファンではないのでiTunesでダウンロードして聴くくらいですが、一応アルバムはすべて持っています。
音楽の質が高いのでBGMにもなりますし、しっかり歌詞を聴きとるとなかなか深いことを言っているのです。
聴いていると、売れる理由がわかります。

 そして、今回のアルバムを聴いていて強く感じたのは「母性と命の連鎖」ということです。
宇多田さん自身がお母さんになられたということもありますが、2013年に亡くなられたお母様の藤圭子さんについて歌っていると思われる歌詞が沢山ありました。

好きな人のバックグラウンドを知る

 私は歌謡曲好きで通っているんですが、歌謡曲で一時代を築いた藤圭子さんを詳しく知ったのは、実は宇多田ヒカルさんがデビューしてからなんです。
藤圭子さんは1970年代に活躍されていた歌手ですので当然リアルタイムでは知りません。
宇多田さんが歌手となり、彼女のルーツを辿ることで初めて、私は藤圭子さんに興味を持ったのです。

 私は、人を好きになると、その人のバックグラウンドがどうしても知りたくなります。
どんなアーティストが好きで、どういう環境で育ち、どういう経歴でここまで来たのだろう?
その人がどういう経緯を経て、その世界観に辿りついたのか知りたくなるのです。
好きな人の好きなものを辿ることは、とても楽しい作業ですし、自分の世界も同時に広がっていくのが面白いです。

 当然、その人の過去を色々妄想します。
どんな学生時代だったのだろう?
どんな環境で育ったのだろう?
時には、フィールドワーク(実地調査)にも出かけます。

ルーツを辿る弾丸旅行

 例えば、私は中島みゆきさんと安住紳一郎さんがとても好きなのですが、その二人が卒業された(Dreams come trueの吉田美和さんの出身校でもあります)帯広柏葉高校を見るためだけに、帯広まで行ったことがあります。
高校の近くには小川が流れ、川沿いには趣のある小道が続いていました。
学校のすぐ隣に素敵な神社が2つくらいあって、とても清々しい気が流れていたのを覚えています。
流石に校舎の中まで入ったら変質者ですから、周囲からリサーチするだけですが、
安住さんは野球部で外野だったから、そこからこの景色を眺めていたのかしら?
とか
この素敵な神社でみゆきさんは逢い引きして、恋の歌が生まれたのかしら?
とか、あれこれ妄想します。

 駅からの往復で街並みも確認しつつ、人がほとんど歩いていない街並みを見て、北海道のモータリゼーション具合(車社会がどれだけ進んでいるか)を考えたりします。
地元の百貨店も、その土地の文化を知る良い手がかりです。
百貨店には、地域の女性の欲望が忠実に反映されます。
帯広には藤丸という地元の百貨店があり、その店頭を見て
道東の地産品の紹介を強化してるなとか、
商圏はどのあたりまでなのか? とか
安住さんやみゆきさんは、ここで買い物したりデートしたりしたのかしら? とか考えます。
締めにみゆきさんの生誕跡地である帯広厚生病院の駐車場を見て、
みゆきさんは、鉄道の近くで育ったから、歌に汽車や列車がよく登場するのかしら?
なんて考えたりして。

ルーツを知ることで、知識に厚みが出る

 フィールドワークを半日するだけでも、相当な情報量です。
興味があることは、情報が脳に定着し易いですから、好きな人を通じて相当勉強できるのです。

 一見役に立たない勉強ですが、フィールドワークの後は、ますますみゆきさんと安住さんが好きになりましたし、2人と思い出を少し共有できたような気になります。
この知識は北海道について考えたり、語ったりする上で深みを与えてくれます。

 できれば地元の居酒屋でお酒を飲んで地元の人と話ができたら最高でしたが、その日は札幌に宿を取っていたので、泣く泣く特急スーパーおおぞらで帰りました。

 好きな人ができたら、こういう風にルーツを辿ると自分の中にイキイキとした形で知識が定着します。
それは「好き」が終わってしまった後でも人生を豊かにしてくれます。
あなたも良かったら是非やってみてね。ふふふ。

Text/肉乃小路ニクヨ

次回は <女装はオネエの頭脳プレイ。慶應生が女装に目覚めるまで>です。
慶應の大学生だった肉乃小路ニクヨさんが、ほんの余興のつもりで21歳のときに女装を始めて、20年。当時のニクヨさんに影響を与えたのが、パソコン通信を通じて知った「Camp」の精神、つまりマイナスイメージを帯びた言葉をあえて受け入れることでプラスの意味にひっくり返す、同性愛者たちの頭を使った戦いでした。

ライタープロフィール

肉乃小路ニクヨ
東京の片隅でひっそり生き続けるちょっぴりしょっぱくてサワーなニューレディー。オーバー40歳、崖っぷち女装

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