その報道はセカンドレイプそのものです――2世俳優の不起訴処分を考える

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 女優さんのご子息が突然、強姦容疑で逮捕されて、大変な騒動になったことが今年の8月にありましたね。
結局は示談による不起訴処分。
親がお金持ちだから凄腕の弁護士を雇って金で解決したという批判もあるようですが、同時に警察に通報する際に登場した被害女性の知人男性が反社会的勢力の方だと言う話も出てきて、
実際に何が起こったのかよくわからなくなっています。

 強姦は実際にあったら卑劣な犯罪で断罪すべきことですが、
まず、私が疑問に思ったのは警察が不起訴になるかもしれない案件を早く発表し過ぎたのではないかと言うことです。
確かに有名人を突然拘留したら騒ぎになるので、早めに公表せざるを得ないとしても、
まだ十分に弁護士とも相談できない状況で、自白したかのような報道が出ると言うのは、警察がマスコミに発表しなければ出てこない話です。
人一人の人生がかかっているのです。もう少し慎重に公表できなかったものでしょうか。

マスコミ不信

 そして警察からの情報をそのまま垂れ流し、更に大衆の感情を煽ったマスコミも如何なものかと思いました。
被害女性を特定できる情報をメディアで垂れ流す行為はセカンドレイプの助長、いや、セカンドレイプそのものです。
その後、逮捕された方の奇行について沢山のことが報じられ、中には発達障害だったのではという報道もなされ、発達障害を抱えた人やその支援者への偏見も助長されました。
また、母親の女優さんを引っ張り出して公開裁判のような記者会見をしたのも、如何なものかと思います。

 あれは女優さんが自ら開いた場でありましたが、そうせざるを得ない状況に追い込んだのはマスコミです。
あの場で子供の性癖について聞いたゲスい質問はもちろん、会見自体が被害女性へのセカンドレイプになりうると想像できていないことも、配慮が足りなかったよう思われます。

 で、結局は不起訴です。
誰かこの件で謝りましたか?
人一人の人生が大きく狂ったのですよ。
報道の自由は保障されるべきですが、同時に言葉の暴力、報道の暴力があるということを自覚すべきです。
私がこの連載で時事ネタを書く際に、多少旬が過ぎても色々な材料が出揃ってから書いているのも、言葉が暴力になると自重しているからです。