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  • 2016.08.16

親子の縁だけではない相続、かたちを伝承させるマイノリティの終活

お盆の時期に親戚と顔を合わせてしまったばかりに、「結婚しないの?」「子供を生むタイムリミットが…」などというハラスメントを受けてしまったAM読者の方も少なくないのではないでしょうか。特に、LGBTらセクシャルマイノリティの場合には、言葉にかかる重みが何倍にもなります。ゲイのニクヨさんが考える最適な「終活」とは?

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©Jesse Wagstaff

 盆ジュール(お盆ならではのご挨拶)!
昔、働いていた会社の先輩に、相続というのは、お金や家をもらうことではなく、相(ものの姿、かたち)が続くことを意味するのだよ、と教えてもらったことがあります。

 現代社会では相続と言うと一般的には、現預金や金融資産、不動産などの相続を浮かべてしまいますよね。
その先輩はそこから自分と同じDNAを持った子や孫がずっと繁栄し続けられるように、ずっとかたちを残していくために、きっちりとした相続対策をしましょうということを切り口に、ガッツリと相続対策商品を売り込んでいました。

 相続といえば私は結婚もしていませんし、女性ともセックスをしないので、子を作れません。
気楽だし、自分勝手な身分だと人に言われます。
家は、家族は、お墓はどうなるのかと親に言われます。

 その度に私は黙ります。
 
 反論や理論武装は頭で出来ていますが、そこで口ごたえしても正しさと正しさの戦いになるからです。 それは意味がないので、ここでも私は笑顔の不服従で切り抜けます。
 
 30代の頃は反論したり、泣いたりもしました。
でも、もうそういうことはヤメにしたのです。
言ってるこの人も論理的な思考はもうできないし、感情論になるとドロ沼だし、多分私よりも先に弱って死ぬだろう。そんな人を言い負かしたところで何になる。
 
 と思うと距離を置いて、笑顔の不服従で切り抜けるのが一番良いと考えるようになったからです。
酷いと言われたら酷いですが、意見を戦わすだけが戦いじゃないのです。

私の終活と相続対策

 黙ったところで私はそれで「はい、おしまい」とは思っていません。
「私の生きた証」なんてそんな大それたことは思いませんが、ささやかながら私は私の相続対策をしています。
私が生きながら学んだ何かが、後に生きる誰かの心をちょっとでも楽にできたらなと思っていて、それでこの連載やブログ、ツイッターで発信をしています。

 あと、将来的には会社を作りたいです。
私はLGBTについてのこだわりがあまりないので、誰でも良いから、若い人と適正に利益を取りながら社会の役に立ち、ずっと続いていくような会社を作りたいと思っています。
社長だったら、なんとか焼き場までは誰かが連れていってくれるんじゃないかと、淡い期待を抱いています。もし駄目なら野垂れ死にですかね。
 
 燃えちゃった後は何処に捨てられても良いと思っています。
ドブは流石にいやだけど、山でも海でも川でも。
骨格がしっかりしているから、結構な量がある場合は砕いてしまっても良いです。
骨には生前私を支えてくれて感謝の気持ちでいっぱいですが、私はもうここに居ないし、次の人生に向かっているから、どこか眠りやすいところに撒いていただけたら助かります。

仕事で残すDNA

 人の繋がりやかたちの伝承は親子の縁だけではない、というのが私の信条です。
事実私は親に教えてもらったことよりも、社会に出てからたくさんの人に教えられたことを胸に刻んで生きていますし、私が引き継ぎたいのもそういう素敵な人から出会って学んだかたち(流儀や考え方)です。

 私は仕事を通じてたくさん学んできたので、誰かにそれを残すのであれば、仕事で残す方法なんだろうなと思っています。
相続というのは家族だけでなく、そんなやり方もあるのではないかと最近思っています。

 いつか生まれ変わった私が、私の残したかたち(流儀や考え方)に触れて、その続きをする日が来たりして、そうやって時代はめぐりめぐっていると思うと気持ちが楽になります。

 お盆らしいコラムでした。
ほほほ。


Text/肉乃小路ニクヨ

ライタープロフィール

肉乃小路ニクヨ
東京の片隅でひっそり生き続けるちょっぴりしょっぱくてサワーなニューレディー。オーバー40歳、崖っぷち女装

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