わたしの自己実現の証「大泉りか」で名前を呼んでくれる夫

わたしをペンネームで呼ぶ恋人

ひとつのパソコンを2人で見つめながら微笑んでいるカップルの画像 bruce mars

 2009年。付き合い始めたとほぼ同時に同棲することになった新しい恋人は、わたしのことを「りかちゃん」と呼ぶ人でした。

 というと、「それって当たり前なのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。けれども違うのです。わたしが原稿を発表する時に使用している「大泉りか」という名前はペンネームであって、実は姓も名も、まったく異なる名前なのです。

 そもそもポルノを本名で書く人はあまりいません。官能小説家の開田あやさんは、ペンネームではなく本名で執筆されていることを公表しているのですが、これはものすごく稀なことだと思います(ちなみに旦那様は怪獣絵師の開田裕治さん。ウルトラマンシリーズのほか、ゴジラから機動戦士ガンダム、最近では映画『レディ・プレイヤー1』の日本版ポスターも手掛けるすごい方)。

 ペンネームを使う利点は、プライベートと仕事を分けやすいことです。仕事の内容を知られたくない人には、ペンネームさえ知られなければ、基本的にはバレることはありません。逆に読者にも、私生活の部分を知られずに済みます。

 わたしが「大泉りか」というペンネームを使い始めたのは、2004年に講談社から『ファック・ミー・テンダー』という小説で作家としてデビューしたことがキッカケでした。それまでは「栗戸理花(クリトリカ)」というヒドい名前で、主にアダルト誌に原稿を寄稿したりエロいイベントを打ったりしていたのですが、版元から、その名前では出せないから改名しろと迫られたのです。その際に、出身地である大泉学園から取って、姓を「大泉」にすることに決めたのは、鶴見辰吾さんのことが頭に浮かんだからです。

 なぜ鶴見辰吾さんが関わってくるのか。それは、わたしが女子大生だった時代まで遡ります。