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  • 2016.10.08

彼とのケンカを避けたいから…食の好みに合わせてすり減った私のメンタル

肉じゃが、カレー、すき焼き…それぞれに合う肉というものがあって然り。しかし、ベストマッチの肉をチョイスした時、それが豚肉だと怒り出す彼。AM読者のみなさんの身の周りにはそのような人はいますか?今回は、そんな豚肉論争から考える「人間関係」についてです…

大泉りか 人妻は不倫の夢を見るか?
by thephotographymuse

 ちょっと前のことですが、20代女性の彼氏の悩みを聞く機会がありました。

 その悩みとは「彼のことは大好きなんだけど、性格や生活が合わない」というもの。
彼氏が借金を返すためにダブルワークをしているため、休日にデートが出来ないことが不満だそうで、しかし、彼女には「仕方ないと諦めて我慢する」という選択肢はなく、ゆえに、ことあるごとに喧嘩ばかりしているそうです。

 わたしはそのあたりの「仕方ないこと」には、物わかりよくしてしまうタイプなので、「頭でわかっていても、嫌」と主張する彼女を見ながら、「世の中には、こういうタイプの女性もいるのね」と、少し羨ましくも思ったりもしたのでした。

薄っすらとした記憶がよみがえる店

 さて、話は変わり、先日、期限切れ間近のANAのマイルを消化するために、夫を誘い、神戸へと一泊二日で旅行に行ってきました。
神戸に行ったのは10年ぶりかそこらで、二度目。前回は、以前お付き合いしていた男性の故郷が神戸ということで、一緒に訪ねたのですが、予定や行く先はすべて恋人任せだったせいか、どこに行って何をしたのかを、実はあまり思えていない。焼肉を食べて美味しかったことと、船に乗って酔っただけが、うっすらと記憶にあります。

 けれども、神戸といえば元彼氏の街という印象があります。なので、少々センチメンタルな気分で街を回った、と言いたいところなのですが、「これ、観たなぁ」という懐かしい風景にはなぜかまったく出会えず、「わたし、本当に神戸に来たことあったっけ?」と疑わしい気持ちになるほどで、甘苦い気持ちはほんの少しも沸いてきません……

 もっとも、今回は夫のリクエストで某パンクバンドのボーカリストの聖地巡りをしたいということで、尼崎に足を運んだりと、たぶん、前回の旅行では訪れていない場所をメインに訪問したので、それも当然だと思うのですが、その尼崎で目について入った「てっちゃん鍋」と呼ばれるホルモン料理の店の店員さんの放った、なんてことのない言葉に、ようやくのこと「あっ、懐かしい」という思いを感じたのでした。

自分を主張することが「関係構築」の第一歩

 それは「東京では肉じゃがも、豚肉なんですよね」という一言でした。

「カレーも豚肉です。なんならすき焼きが鶏肉のことだってあります」と返すと店員さんは笑っていましたが、そうなんです。その神戸出身の男性と一緒に住んでいた頃、わたしがスーパーで買う肉は牛肉がメインでした。
というのも、その彼が「豚肉だとバカにされている気分になる」と大げさなことを言うから、肉について、まだこわだりの薄いわたしが譲り、牛肉をメインに使うようになったのですが、最初はよくとも、これが地味にストレスになっていった。

 というのも、そもそも、東京で売っている美味しい牛肉はべらぼうに高いし、高くない牛肉は味がかすかすで、美味しくない。日常的に高い牛肉が買えるくらいに金銭的に潤った生活をしているわけじゃないから「豚肉だったら、もっと安くて美味しい肉が食べられるのにな……」と毎度、食事の度に思って過ごさなくてはならない。
しかも、「たまにはいいだろう」と思って豚肉や鶏肉を使って料理をすると、彼は本当にバカにでもされたようなテンションで食卓に向かうもんだから、「そんなに嫌な顔をされるなら」と再びこっちが譲ることになってしまう。たかが肉、されど肉。あの頃はスーパーに行って献立を考えるのが本当にツラかった。

 その神戸の彼の前に、名古屋出身の男性と付き合っていたのですが、その彼の主張する「味噌は赤味噌」は即座に却下し、あくまでもスーパーで売っている味噌を使い続けた記憶があります。
神戸の彼のほうが、名古屋の彼よりも好きの熱量が大きかったのか、というとそういうわけではなく、名古屋の彼は「赤だしは寿司の時に飲むものです」と言い切れば納得してくれる人で、一方、神戸の彼は「豚肉でカレー作ろうかな」というと黙り込んだり、ムッとしたりと態度に出すので、それを避けたかっただけ。

「喧嘩を避けたい」と思うわたしの気持ちこそが、自分を追い詰めることになってしまったのではないか、と思うのです。
「仕方ないこと」と諦めずに、きちんと自分を主張すること。出来る人には簡単に出来ることであっても、身について立場からすると、なかなか難しいことです。
だからこそ、ことさらに気を付けて生きようと思う次第であります。

 しかし、東京で暮らすのに「豚肉を出されるとバカにされた気分」なんて言ってたら、生きにくいだろうなぁ。

Text/大泉りか

次回は <妊婦になったらセックスできない?婚活・妊活より大切なのは「性活」だった>です。
「婚活・妊活・保活」…○○活というワードが昨今話題になっていますが、AM読者のみなさんは何活に力を入れていますか?今回の大泉さんのお話はそんな「活動」についてです。妊娠されてから初めてのセックスに挑んだ大泉さんですが、おなかの中には新しい命が宿っている中でのセックスで感じたこととは一体…?

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ライタープロフィール

大泉りか
キャバ嬢、SMショーのM女、ボディペインティングのモデルなどの経歴を経て、現在は官能小説家、ライトノベル作家。

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