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  • 2016.08.27

中国語の「抜」に期待をしたら痛い目に…風俗浮気未遂も許せる「心の余裕」

カップルや夫婦の皆さんは、この夏どこかへ行かれましたか?それとも、予定を立てている最中ですか?-今回は、旅先で起こる喧嘩の解消法やアクシデントからみるパートナーとの関係性についてのお話です。心に余裕を持つことが如何に大切なのか・・・

旅先で“イラッ”としたら美味しいものを!

大泉りか 人妻は不倫の夢を見るか?
©www.jasoncoreyphoto.com

 付き合って九年、結婚して四年目になる、我々夫婦の共通の趣味は海外旅行です。近場のアジアに1年に一度、中東、南米、東欧といった遠方には、一年半に一度くらいのペースで訪問しています。
とはいっても、決してリッチなツアーに参加するわけではなく、ほとんどがエアチケットとホテルをそれぞれ抑えていく自由旅行が主でして、バックパッカーとまではいかないけれど飛行機は運賃の安いLCC、ホテルはその国の物価にも寄るけれど、一泊二~三千円を目安に、毎度計画を立てて渡航しています。

 さて、旅先というのは、喧嘩が非常に起きやすいものです。普段よりもよく歩いて疲れている上に、道に迷ったり、目的地が見つからなかったりと、計画通りに進まないことで、イライラが募る。これを防止する方法……を考えてみたのですが、「とにかくこまめに休む」ことと「お腹が空かないようにする」「計画通りにいかなくても、仕方ないと諦める」くらいしか見つかりませんでした。
でも、なにげに「お腹が空かないようにする」はとても大切で、なにかお腹に入れた瞬間に、「今まで何を苛立っていたのだろう」とすっと気持ちが収まるものなんですよね。

 もうひとつ、決めていることといえば、東南アジアなどの物価が安い国の場合、一泊だけは高級ホテルに泊まることです。
クラブフロアを予約すると、大概、専用のクラブラウンジでオードブルやカクテル類を無料で楽しめたり、部屋のクラスをジュニアスイートにあげてくれたりもするんです。1万円から2万円かそこらで、高層階にあって眺めのいいクラブラウンジで好きなだけ飲み食いしたあげく、広い部屋に泊まれる。なんなら朝食だって、一般客とは違う、ちょっとリッチな朝食がついてきます。通常はオムレツと目玉焼きとスクランブルエッグが定番の卵料理メニューに、エッグベネディクトがあったりする。これ、日本だとなかなか出来ないことなので、もしも東南アジア方面に自由旅行で行く予定のある方は、ぜひ、お試しくださいませ。

 今年の6月にも、香港・マカオを旅行で訪れてきました。が、実は旅行の数週間前に、妊娠が発覚。「この時期に飛行機で海外なんて……」と中止も考えたものの「逆に!このチャンスを逃したら、もうしばらくは行けなくなる」とも思い直して決行することに。
今回は、飛行機とホテルがセットになったツアーだし(しかし、格安のため、空港送迎はなし)、妊婦ということで、自分でゆるめの計画を建てたつもりでしたが、蓋を開ければ超ハードスケジュールでした。というのも、一日目に香港到着してそもまま観光、二日目はフェリーでマカオへ、三日目はマカオから陸地で中国本土へと入国、観光後、香港へと戻り宿泊、四日目の夕方の便で帰国というスケジュールです。
ゆっくりする暇なし。ちなみに夫からのリクエストはひとつだけ「人肉饅頭でお馴染の八仙飯店一家殺害事件の現場はマカオだから、そこに行きたい」というものでした。

中国人施術師から突然の呼び出し

 香港は三度目です。夫も二回目なので、特に有名な観光に行くことはなく、と珍スポットとして有名な萬佛寺を見学したり、たまたま取材で香港を訪れていた友人と合流してご飯を食べたりして過ごし、マカオでは、エッグタルトを食べ、ドッグレースで負け、しかし、八仙飯店一家殺害事件の現場はなかなか見つからず、かといって、通行人にも尋ねずらくて散々彷徨い、暑さも手伝って険悪な雰囲気になったものの、「とりあえず、涼しい店に入ってなにか食べよう!」という夫の一言で持ち直しました。そして三日目。マカオに隣接する珠海(ジュハイ)という都市に陸路で入り、半日観光をした時のことです。

 香港もマカオも総じて物価が高く、日本とさして変わらないくらいなのですが、珠海に入ると途端に激安。目抜き通りにある洋服屋でも、ワンピースが150円くらいで売ってるし、市場に通いこんだら魚の生首が口をパクパクいわせている状態で陳列されていたりして、「すげぇな中国!」と高めのテンションで街を散策していると、マッサージ屋を発見しました。
お値段は1時間で500円くらい。香港だと3000円くらいだったので、これまた安い。なので、即決で入ることに。配偶者は全身コース、わたしはお腹が心配だったので、足ツボマッサージを受けることにしました。

 わたしは入口入ってすぐのリクライニングチェアに通され、夫は奥の個室へと消えていきました。こうして、電源をお借りして、携帯を充電しつつ足裏のツボを刺激されること1時間。
わたしを施術してくれたのは、加瀬亮似の男性です。マッサージに入ってイケメンや美女だと技術的にはハズレのことが多いのに、今回に限っては大当たり。「さすがは中国。食べ物とマッサージのクオリティは高い!」と大満足したところで、夫のいる奥のベッドスペースから、施術師の女性が出てきて、「ちょっと来てくれ」と呼ばれたのです。

中国語の「抜」はシモではない!?

「どうしたのかな?」といぶかしみながら、奥の個室ブースに足を踏み入れると、そこで見たのは、背中一面に吸い玉を施された夫の姿。「……なにこれ、どういうこと?」と尋ねると「お願い、記念に写真撮って!あと、痛いって言って!」
なるほど、そのために呼ばれたのか。スマホで撮影し、ついでにスマホに「痛」とタイプして、夫の担当の施術師に見せると、笑いながら頷いてくれたので、役目は済んだかと、もといたリクライニングソファに戻ったものの「しかし、なんであの人は、吸い玉でのカッピングなんかに挑戦したのだろうか」と頭の中はハテナでいっぱい。

 以前、わたしがエステでカッピングの施術を受け、赤い痣が残っていたのを夫に見せた時に、「それ、イノキがやってるやつだ、かっこいい!」と言っていたので、興味はあったのかもしれません。けれど、それにしても、この日本語はおろか英語さえも一切通じない店でようも、オプションを指定出来たものだ、と感心していたところ、夫が戻ってきて、その真相を語ってくれました。

 いわく、「マッサージの途中に、担当のお姉さんが紙を見せてきて。そこに『抜』って文字があったもんだから、『おっ、この店は裏オプションでヌキがある!』と思ったんだよね……」。

 そう、別料金でシモのサービス、手コキがあると勘違いした夫は、喜んでオプションを付けることを了承。すると、お姉さんにTシャツを脱がされ、オイルのようなものを背中に塗られ、「おお、これぞまさしく!」と期待に股間を半勃起。オイルマッサージからの手コキ、と待ちわびていたところ、突然背中の一部に、キュウッと引っ張られて、絞られるような痛みが。「えっ?」と驚いたものの、うつ伏せのために確認できず。しかも、やむことなく、それどころか、背中各所にどんどんと増えていく。その時点でようやくのこと、『抜』のある文字はカッピングを示すメニューだと気が付いたというのです。

 風俗浮気未遂ですけど、正直、結果がバカバカしすぎて、怒る気にもなれない……まぁ、そもそもが我々夫婦は割れ鍋に綴じ蓋。そんなことでいちいち目くじらを立てるつもりはありません。相手を束縛すると、その縛りは、自分にも返ってきますからね。

……というようなことを、リオオリンピックの水泳の、マイケル・フェルプス選手の肩のカッピングの跡を見て思い出したのですが、風俗浮気未遂の是非はさておき、結婚って、こういう“ふたりの思い出”がどんどんと積みあがっていくことなんですよね
何かの折に、ふたりで一緒にした経験を思い出して、「あの時は、ああだったね」と笑って話せる相手がいると、「人生を渡っていくのに、ひとりじゃないんだ」と思え、心に余裕が生まれます。「愛されること」は、心に余裕を得ること、「愛する」っていうことは、相手に余裕を与えることなんじゃないのかな、とわたしは思うのです。

Text/大泉りか

 次回は《風俗でのバイトが人生を変えた!?学校では教えてくれない就職先》です。

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ライタープロフィール

大泉りか
キャバ嬢、SMショーのM女、ボディペインティングのモデルなどの経歴を経て、現在は官能小説家、ライトノベル作家。

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