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  • 2016.08.20

千葉のヤンキーを黙らせる!?キャバクラ通いの40代が見せる『日本の男社会』

「女社会での立ち位置」…考えるだけでも頭の中がグチャグチャになってしまうこの問題。「女って面倒くさい!女に生まれなければ…」なんて考えてしまうことってありませんか?しかし、日本の社会は男社会!その中で生きていくということは…今回は大泉さんが見た男社会の一部始終についてです!

キャバクラでの私の立ち位置と千葉の巨根

大泉りか 人妻は不倫の夢を見るか?
©midwestnerd

 高校を卒業して一番嬉しかったことは、なんだったかというと、「堂々と、キャバクラで働けるようになった」ことでした。

 なんせそれまでしていたまともなバイト(近所の蕎麦屋)は時給750円。援助交際バブルの真っ只中で、オジサンとセックスすれば最低三万円から、時には十万円も貰えることがある、といっても、それを定期収入と考えるには、不安定でしたし、そもそもが、好きでオジサンとセックスをしていたわけではないこと、「なんとなくの罪悪感」や「親や彼氏や友人にバレるリスク」、を考えると、出来れば別の手段で収入を得る方法を持ちたいと常々考えているわたしにとっては、二千円、三千円の時給がいただけるキャバクラというのは、願ってもない存在だったのです。

 というわけで、いざ、キャバクラ。

 以前も書いたように、指名客がなかなか取れなかったわたしが選んだのは「指名を持っている先輩キャバ嬢の妹分」として、ヘルプとして重宝される立場を取ることでした。「いい加減、あまり話すこともない馴染みの客との席に呼ぶと、場が持つコ」を目指し、先輩キャバ嬢のテーブルについた時は、とにかく、「先輩キャバ嬢と指名客のカップル」と「わたし」という構図を作って、ふたりを盛り上げる。ポイントはなるべく色気を出さずに「このコなら指名替えされない」という安心感を先輩キャバ嬢に与えること。例え「今日、アフターしない?」などと、誘われても、その瞬間に先輩キャバ嬢に言いつけて「アフター、一緒だったら行きます!」とあくまでも先輩キャバ嬢から「可愛がられる後輩」を目指したわけです。

 これは意外と成功し、そのうち、先輩キャバ嬢からも「あのコ、場内指名で呼んであげて」と声が掛かるようになりました。そして、先輩キャバ嬢を指名しているお客さんたちとも、だんだんと打ち解けて、「彼女の妹」のように可愛がって貰えるようにもなった。そんな馴染みのお客さんのうちのひとりに、Mさんという男性がいました。

 Mさんは、40代後半。両親が某企業の社長とかで、本人もその会社の役付き。なかなか羽振りのいいお金の使い方をする人でした。が、どことなく強面なところもあり、「ちょっと素性が怪しい人」という空気を出していました。

 その頃、わたしは、千葉のヤンキーと付き合い始めたばかりでした。出会いはナンパで、ヤンキーなところは微妙だったけれど、ものすごい巨根の持ち主。女性の二の腕くらいの長さと太さなんですよ!物珍しさもあって、セックスしたついでに付き合ってみたものの、正直なところ、わたしも、そして向こうもピンとは来ていないことは確実で、電話しても会っても全然盛り上がらない。

 だから、「次にいい人が現れたら別れよう」と考えていたところ、ひと月もたたないうちに、これまた合コンで知り合った男性とセックスをして、そっちに乗り換えようと思って、「好きな人が出来ちゃったんで」と、別れを告げた時のことでした。

お金を出すか、お前を出すか。

 別れの電話から1時間も経たないうちに、別れを告げたばかりの彼の、地元の友達(ヤンキー)から電話が掛かってきて、ドスの利いた声で、こう恫喝されたのです。

「心変わりして、俺のダチを振るなんて、どういうつもりだ。お前、どっちか選べ。十人からに姦されるか、二十万用意するかだ」

 このセリフを聞いた時、まずわたしが思ったのは「二十万!中途半端すぎ!」ということでした。もちろん二十万円は大金ですが、十人からに姦されることを考えれば、ちょっと安すぎやしませんか。なので、思わず笑ってしまったのですが、向こうにそれが伝わってしまったらしく「姦す時にはビデオも撮るからな、覚悟しとけよ!」と叫んで電話は切れました。

「ヤンキーに手なんて出すんじゃなかった……」と後悔したものの、後の祭りです。脅しと割り切って放っておくという手もありましたが、万が一ということもある。「どうしようかなぁ」と悩んでいる最中に、たまたまMさんの席につく機会があったので「わたし、すっごい面倒くさいことに巻き込まれつつあるんですけど!」とぼやいてみたところ、「じゃあ、俺が解決してやるよ」とあっさり言ってのけてくれたのです。

 もちろんMさんはわたしの元彼氏のことなんて知りません。面識もない相手にどうやって解決の道筋をつけるのか。そもそも向こうはヤンキーだし、いくら強面といっても……。「いいから、そいつの電話番番号を教えろ」というので、伝えて数日後。Mさんが店を訪れてこう言ったのです。「全部解決したから、もう、心配しなくていいよ」。

 まるで狐につままれたようでした。いったいどうやって、粋がりまくっている千葉のヤンキーを黙らせたのか。「意味がわかんないんですけど!どうやって解決したんですか!?」と再三うるさく騒ぎ立てていると、Mさんは渋々ながら、その方法を教えてくれました。
「電話をして、で、『俺が代わりに、あいつが心変わりしたって男をボコって、あいつもシメとくから、それでいいだろ? それとも、俺の顔潰すのか』って言ったら、引き下がった」

 いや、説明をされても、やっぱりさっぱり納得が出来ません。なんでこのオジサンが「代わりにボコる」ってことで、物事が解決するのか。しかし、納得は出来ないまでも、なんとなく理解が出来たのは、男の社会って、わたしの知っている女社会とは、まったく違うルールで動いているんだな、ということでした。

 もしもこれが女だったら。いくら強面の年上であろうとも、見知らぬ女性が「わたしに任せてお前は引け」とドスを利かせたところで、「関係ないじゃないですか!わたしと彼の問題じゃないですか!」ってなりますよね。

 けど、男って違う。

 どんなに理不尽であっても、強いものの言うことが通る(ことがある)。ということを考えると、女に生まれてよかったと心底から思うわけですが、しかし、一方では、日本の社会は、その実、男社会。そして、これから先、女でありながらも、“男社会の中”で生きていくを余儀なくされることに、その頃のわたしはまだ気が付いていませんでした。

Text/大泉りか

次回は《中国語の「抜」に期待をしたら痛い目に…風俗浮気未遂も許せる「心の余裕」》です。

ライタープロフィール

大泉りか
キャバ嬢、SMショーのM女、ボディペインティングのモデルなどの経歴を経て、現在は官能小説家、ライトノベル作家。

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