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  • 2016.08.06

「前向き」「仕事も女も諦めない」を押し付けてくる女友達

久しぶりに会った友人が、明らかに「おかしなこと」になっていることを感じたことはありませんか? 美魔女化ならまだしも、突然前向きになって前世や生まれ変わり、運命論を語りだしてきたら…。自己啓発などで自分の生きやすい道、スタイルを取ることは自由ですが、それを人に上から目線でアドバイスするババアになってしまったら、きっともう、今まで通りに接することはできないのかもしれません。

おかしくなってしまった女友達

大泉りか 人妻は不倫の夢を見るか?
©mookielove

 久しぶりに女友達に会った時、あきらかに「おかしなこと」になっていて、心の中で静かに驚いたことが何度もある。
突然、色気づいて美魔女化しているだとかの、その程度の問題なら、今更、さしてそう驚きはしないし「もう、アラフォーも見えてきてるんだから、好きにしたらいいよね」というくらいのもの。
そうではなく、「おかしなこと」になっていると戸惑ってしまうのは、やたらとポジティブ、そして、運命論じみたことを語りたがられる場合だ。ひどい場合だと「前世が~」だとか「生まれ変わりで~」と、天使だとか巫女だとか女神だとか突然、「実は自分すごい人だったアピール」が始まったりしてしまう。

 これを「おかしなこと」になっていると判断せずにいられるか。しかし、「あなたの自意識、肥大しすぎてますけど何があった?」と思いながらも、「へー」と適当に相槌を打って流すしかない。だって、人の前世や生まれ変わりを否定するだなんて、まさに悪魔の証明だし、本人が信じているのに、否定しても、仕方がないし。

 例えばこれが結婚や出産を控えて、もしくは経ての変化ならば、仕方ない。「幸せで脳内がお花畑になってる」と理解できるし、半年か一年もすれば、たいがい、自然に元に戻る。たまに戻ってこない人もいるけれど、状況が変わって大切なものが変われば、性格が変わることは仕方がない。自分が望んでいる相手と違ってしまったからといって、「もとに戻って欲しい」なんてことを思うほうがおこがましい。子供が出来てベジタリアンになった友人に、肉を食えという気はない。
 
 そもそも、彼氏が出来て激変する女のコなんて、十代の頃から嫌というほど見てきた。自分だって、付き合った人はもちろん、仕事を始めたりして、環境が変わったことで、性格も考え方も変わったように思えるし、「また、会えるようにあったら会いましょう」というスタンスで、環境の変化を含めてゆるく続いていくのが、女の友情だ。

 そういうことを踏まえて「おかしなこと」に、心配を抱いてしまう状況もある。そういう女友達に具体的に「何かあった?」と尋ねると、多くの確率でかえってくるのが「自己啓発のセミナーを受けた」というものだ。
つい先日もあった。久しぶりに会う友人は、子育てを終えて社会に復帰して、1年ほど経ったところだという。前に会ったのは、育休中だった。だから、雰囲気が変わったのは、そのせいかと思ったけれど、なんだか話していることがおかしい。
 
 やたらと「前向きに考えることの大切さ」や「仕事も女も諦めないこと」、そして「心の持ち方次第で、どんどんといい状況に変化していく」などを説いてくるのだ。こうして書くと、そのすべてが間違っているとは言えないし、むしろポジティブでいいことのように思える。けれど、実際に会っている時に、こちらの言い分も聞かずに、こうした考えを披露され続けていると、息苦しいし、辟易する。

 そもそも、結婚している女が口にする自分の夫の不満は、その多くが憂さ晴らしであって、離婚や人間関係の見直しといった本質的な改革を求めているわけではない。時には犬も食わないノロケだったりもする。義実家の愚痴も、実母への文句も、ママ友の悪口もすべては、コミュニケーションのひとつで、ポジティブよりも下世話な話題のほうが、共感をし合えて楽しかったりもするからの選択だ。
そこでいちいち、「旦那さまとセックスレスでも自信を失くすことはない。わたしの知っている例だと……けれど、それも自分に訪れた変化する時期が……うんぬん」って別に自信を失くしてるわけじゃなくって、ただたんに「夫とはまぁ、ぼちぼちやってますよ」という報告くらいのものなのに、いちいち、お説教されてはウザい。

啓発されて「キラキラした目」

 けっこう昔にフリーのライターをしている男性と付き合っていたことがある。その男性は、宗教だとか風俗だとかドヤ街だとかに潜入取材をする仕事を多くしていた。(そして今もしている)のだけれど、いつだったか自己啓発セミナーに数日間、潜入して来たことがあった。
帰ってきて会って、まず思ったのは「妙に目がキラキラしている」ということで、思わず「目がキラキラしてる!啓発されてる!!!」と大爆笑したら「えっ、そんなことないと思うんですけど」と、ものすごく、嫌そうな顔をされた。
その後、詳しい話を聞いたら、さすがは潜入取材に慣れているだけあって、ものすごく冷静かつ客観的に、そこに参加する人々のパーソナリティーや変化の様子、人を啓発させるシステムについて、見てきたものを説明してくれた。

「あー、よかった。君は啓発されてないね」と、感想を述べたら「当たり前ですよ、プロですよ」と返していたけれど、やっぱり目はキラキラしていた。それくらい、自己啓発って力があるんだと思う。本人もきっと楽になると思う。けれど、周囲からはかなりの確率で「おかしなことになっている」と認定される。これは事実だと思う。
 
 本人が生きやすくなるなら、自己啓発セミナーでもなんでも行ってくれて構わない。アラフォーに差し掛かり、「こんなはずじゃなかった」とちっとも満足いかない自分と、その現状に愕然した時、何かを学ぶという選択肢を取ることで、その不満足から抜け出して、生きやすくなるのはきっと本人にとってはいいことだろう。しかし、聞きたいのは、そういう人はなぜ、突然上目線でアドバイスしたがりババアになるのか。
 
「自分が得た気づきを、人に伝えたい」ということだとは思うんだけど、だったら、自己啓発セミナーで「上から目線にならないように、自分の気づきを面白く伝える方法」とかを教えたほうがいい。

Text/大泉りか

次回は《「年下の女とヤれると信じるオッサン」は私に女を自覚させた》です。

ライタープロフィール

大泉りか
キャバ嬢、SMショーのM女、ボディペインティングのモデルなどの経歴を経て、現在は官能小説家、ライトノベル作家。

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