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  • 2016.06.25

キャバクラで私を指名してくれた人に映っていた自分自身の姿

大泉さんがキャバクラで働いていたころ、指名は全くされなかったわけでもありませんでした。でも、指名してくれたのはちょっとおかしな人たち。なんでそういう人たちに指名してもらえたのかを考えることで見えてきた、出会いの場の法則とは?

共感できない私を指名してくれた人たち

大泉りか 人妻は不倫の夢を見るか?
©GordonsPictures

「どうでもいい会話で笑えない」、そんな性質を持つ女にとって、キャバ嬢という職業は「向いていない」の一言に尽きました。というのも、ほとんどのお客さんは楽しく飲みに来ているのです。だから、上機嫌でギャグを飛ばしたり、酒の上での与太話に相槌を求める。

 その時に必要とされるのは、瞬発的な共感力です。ケラケラケラ、と明るく笑って「やっだぁ、おもしろい」と返すこと。なのに、こちらは、それができず、代わりに、お客さんの言っていることをいちいち受け止めて、考えてしまう。しかし、考えたところで、当然、ギャグや与太話に深い意味などあるわけもなく、「やっだぁ、おもしろい」という結論に達することもない。だから、笑えない。そんなふうに、せっかくのお客さんの楽しい気持ちに水を差すキャバ嬢にニーズがあるのか……というと、まったくないわけではないのです。

 そんなわたしのことを、ボチボチと指名してくれる人も、いないことはないのでした。が、他の女のコのお客さんに比べて、面倒な人が多いというと語弊があるかもしれませんが、おかしな人が多いのは確かなことでした。飲んでいる最中、角界にまつわる陰謀論を話し続ける人や「この店の指名ナンバー1の女のコは、かつてピンサロで働いていたから俺は指名する気にはならない」といった先輩ホステスのゴシップを延々としゃべり続ける人など、他の女のコから「よく相手に出来るよねー」と苦笑される男性客ばかりが、わたしを指名してくれる常連さんでした。

 当時は「なぜ!?」と疑問に思い、チャラいけれどもノリのいいイケメンサラリーマンたちに指名されている同僚たちのことを羨ましく思っていましたが、こうして一歩離れた今ではよくよくわかります。リーマンたちのギャグを真顔でスルーする女が指名を受けるわけがないのです。そして、陰謀論もゴシップも大好きなわたしは、ややこしい常連たちの話を熱心に聞いていたのだから当然のことです。

寄ってくるのは同じにおいの人だった

 知り合いのキャバクラ勤めの女のコがいつか、こんなことを話していました。「合法ドラッグにハマっていた頃、指名してくる客って、なぜかみんな、合法とか非合法のドラッグやってる人ばっかりで。やっぱり人って、自分と同じにおいの人がわかるんだよね」。その時は、「いや、体から薬物臭が匂っているんじゃないの?」という感想を抱いたのですが、いま、こうして考えると、彼女が言っていたことが正しい気もします。何もせずとも、勝手に近寄ってきてくれるのは、自分と近しい感性や、共通点、嗜好を持った人間だけなのです。たぶんこれは、キャバクラという場だけでなく、合コンや婚活といった異性との出会いの場全般に言えることだと思います。

 その近しさや共通点、嗜好がポジティブなものならば、「しっくりくる、これ以上、パートナーとして最高の相手」となることでしょう。ところがそうとも限らない。先ほど例に出したドラッグ好きキャバ嬢のように、互いの“クズっぽい部分”がピッタリと合致してしまう場合もあります。カップルで廃人まっしぐら。いくら幸せは様々といっても、それはちょっと……。

 だから、いい関係を持てるパートナーが欲しければ、ありのままの自分に近づいてきてくれる人を、「ありがたい」と受け入れるのではなく、自分から選んでいったほうがいいのだと思います。もちろん、素のままの自分を認めてくれる相手は貴重な存在です。けれども、貴重な存在といえども、一緒にいて、幸せになれる存在とは限らない。だったら、「わたしを幸せにする素質を持っている人」を探し、選んで、自分を好きになってもらったほうが、幸せになれる可能性は高いのではないでしょうか。もっとも、その場合「自分を好きになってもらう」という大きなハードルが圧し掛かってくるわけですが、そこに負けていては幸せは掴むことが出来ない。

 というわけで、もしもいつか、熟女パブで働く機会があったら、「この人に指名を貰いたい!この人と近づくと、なにかいいことがありそう!」と思った人には、営業メールくらいはガンガン送ろうと思っています。

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Text/大泉りか

次回は《私にキャバクラを辞めさせた「女性らしい女性」という刷り込み》です。

ライタープロフィール

大泉りか
キャバ嬢、SMショーのM女、ボディペインティングのモデルなどの経歴を経て、現在は官能小説家、ライトノベル作家。

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