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  • 2016.06.18

キャバクラの面接に受かった女子大生が変えようとしなかった自分

高校を卒業したら働くだったものの親の勧めで大学へ進学した大泉さん。4年間の自由な時間を手に入れたと思い、大学に入って最初にやったことはキャバクラの面接を受けることでした。同僚のキャバ嬢が人気になっていくなか、自分はいまいち売れなくて……自分を変えることが必要になった大泉さんの選択とは?

大学に入って、まず最初にしたこと

大泉りか 人妻は不倫の夢を見るか?
©T!ffers

 高校を卒業したわたしは、どうでもいい女子大へと進学しました。「どうでもいい」なんていうと、同じ学校を卒業した人たちはもちろんのこと、学費を払ってくれた両親にも申し訳ないのですが、本当に、わりと、どうでもよかった。むしろ、出版社で働く父親の影響もあり、以前から出版の世界に興味を持っていたので、どこかの編集プロダクションか何かで働きたいと考えていたのですが、両親は大学への進学を進めてきました。

「勉強したいこともないのに、大学に行くなんてもったいない」そんなわたしの主張をひっくり返したのは、父親の一言でした。「大学を卒業すれば、嫌でも残りの人生、働き続けることになる。だったらその前に四年くらい、自由を満喫すればいいじゃないか」というのです。モラトリアムを許す、という宣言は、遊びたい盛りのわたしにとってありがたくもありました。そもそも、わたしが通っていた高校は進学校で、友人たちも皆、大学へと進学します。就職を目指すほうが珍しく、従って、より自分の意識をはっきりと持って動かなくてはならない。それを思うと億劫な気分になる一方で、「自由を満喫」という言葉が甘く聞こえてきます。というわけで、わたしが流されるまま、四年生の某女子大へと進学したのです。

 今考えれば、「大学に通いながらライターを目指せばいいじゃない!」と思うのですが、当時はそんな方法があるとは知りませんでした。なので、大学に入って、まず最初にしたことといえば、キャバクラの面接に行くことでした。今までは法のぎりぎりグレーのところをかい潜って、わりのいい金稼ぎをしてきましたが、これから先は、堂々と高額アルバイトに勤しむことが出来る。これは、わたしにとってありがたい話でした。
というのも、別にわたしだって、好き好んで女子高生デートクラブに通ったり、オジサンを相手に春をひさいでいたわけではないのです。もちろん、デートクラブで「指名される」という快感や、シャワーを浴びているオジサンの財布から金を抜いて逃げるスリル、クラスメイトたちの知らないイケナイ世界を知っているという優越感を心地よく思うことはありましたけど、それよりもオジサンと歩いているところを人に見られるリスクや、金で買われた相手に股を開く憂鬱のほうがずっと大きかった。だから、正々堂々とキャバで働ける立場に達したことほど、喜ばしいことはないようにも思えました。

プライドと甘えた言い訳とがぐちゃぐちゃになって

 こうして、池袋のキャバクラで働くようになったのですが、しかし、わたしは悲しいほどキャバ嬢が向いていませんでした。というのも、キャバ嬢に必要とされる美貌もなければ、愛嬌もなかったからです。キャバクラは、指名を何本も取れて時給もそれなりにあがっていきますが、反対に指名が取れないと時給がさがり、あげくクビになることもあります。さすがにクビになるのは、避けたいけれど、どうやって指名を取れていいのかわからない。同じ時期に入った女のコたちを見ていても、見め麗しいコはもちろんのこと、可愛くてよく笑うコ、自信まんまんのコ、のんびりとしている癒し系のコと、みなきちんと指名が取れているのに、わたしは、いまいち売れないのです。

 その理由が、今となってはわかる気がします。相手とふんわりとした話をしてキャッキャすることが苦手なのです。若い女のコのことを「箸が転がってもおかしい年頃」と言いますが、最も苦手なのは、そういう何がおかしいのかわからないことをノリだけで笑うこと。そして、困ったことに、目の前で起きていることには真顔で対処する癖がついている。しかもその真顔は、基本的に冷ややかなな表情なものだから、相手からすると心理的な距離を感じざるを得ない。これはキャバ嬢としては、致命的な欠陥です。

「どうしよう……このままじゃ首になる……」と思ったものの、対処のしようがない。いや、変えようと思えば変えることも出来るのかもしれないけれど、そこまでの努力はしたくない。変えることは難しいことなのに、それが出来ない自分を棚に上げて、「自分を変えてまで指名を取ってどうする、別にただのアルバイトなのに」というプライドと甘えた言い訳とがぐちゃぐちゃに入り混じった状態で、ほぼ最低時給(といっても時給二千五百円もらえるのはさすがの都心のキャバクラ!)で過ごしていました。

 が、一方で、こんな思いもありました。「こんなわたしでも、そのうち、気に入って指名してくれる人が現れるかもしれない」という希望です。書けば書くほど、「婚活している」と言いながらも、いつまで経っても彼氏が出来なくて焦っているアラフォー女性のような心持ちです。けれど、この気持ちは実は今でも引きずっています。運よく希望するような相手と結婚が出来たからよかったものの、今もわたしはどこかで、「変えることの難しさ」を見ないふりをして「選択として変わらないでいる」と思い込み、そして「自分を変えてまで指名を取ってどうする」とも思っている部分があります。

 しかし、希望というものがないわけではなく、そのうち、そんなわたしでも興味を持って、指名してくれる男性がチラホラと出てきました。が、その男性たちが、待っていたような、お金と権力を持った素敵な王子様だったかというと、また話は別です。その話は次週に。

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Text/大泉りか

ライタープロフィール

大泉りか
キャバ嬢、SMショーのM女、ボディペインティングのモデルなどの経歴を経て、現在は官能小説家、ライトノベル作家。

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