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  • 2016.05.14

ガラス越しのオンナを選ぶ男と、葛藤する女―デートクラブでの実体験で見えたもの―

先週に引き続き、今週も「破格のお仕事」について。今で言う「JK」を使った商売の火種となった「女子高生デートクラブ」。当時の感覚や実態を体験された大泉さん本人により教えていただきました。そこで見えてきたものとは一体…

女子高生ブームの起源

大泉りか 人妻は不倫の夢を見るか?
©by MarkScottAustinTX

 90年代、初頭から中頃、都内を中心にして一瞬でブームとなり、すぐに消えていった風俗のひとつに「女子高生デートクラブ」というものがありました。
JKリフレ、JK散歩など、今でも「女子高生」を前面に押し出した風俗は存在しますが、おそらくそのはしりとなったのは、「女子高生デートクラブ」だったのではないでしょうか。

「女子高生デートクラブ」は、だいたいマンションの一室にありました。
玄関を入ってすぐにマジックミラーにカーテンの掛かったパーテーションがあり、それを挟んで向こう側の空間が、女のコたちの待機場となっています。
テレビや雑誌が置かれていたり、お菓子やジュースなども無料で用意されていて、何時間だらだら居座っていてもいい仕組みです。
店によっては、同じワンルームのスペースに男性客も座ることが出来て、しばらく女のコとお話しをした後にデートに行くかどうか決めることも出来る店もありました。

 女子高生と「デートがしてみたい」と思ってる男性客は、店を訪れると、まず会員登録をします。
登録料は一万円程度。
登録を終えたところで、女子高生たちが思い思いにくつろいている部屋を、マジックミラー越しに覗きます。
そこでしばらく好みの女のコの物色した後、デートする場合は、店に連れ出し料五千円を払い、待ち合わせの場所(だいたいマンションのエントランスや喫茶店など)を決めて外に出ます。
その際、男性客は女のコに五千円以上の交通費を支払うよう、店から言い含められます。

誘いを断っても「お金は入る」システム。

 男性客が部屋から出ていった後、受付の人が、指名された女のコを呼びます。
呼ばれた女のコは待ち合わせの場所を聞き、そして男性客と落ち合ってデートをすることになります。
デートといっても、喫茶店でお茶を飲むか、食事をするか、カラオケに行くか。
キャバ嬢のように指名客を捕まえている女のコは買い物に連れて行って貰ったりもしていました。
お店の人からは「最低30分はデートしてくれ」と言われていましたが、縛りはそれだけでした。

 もちろん、「ホテルに行こう」と誘ってくる男性もいます。
ホテルに行く女のコもいましたが、 社会学者の宮台真司さん曰く「第一世代」であるわたしたちは、行かないコのほうが圧倒的に多かった。
その理由はいくつかあります。

 ひとつには、ホテルになど、行かなくても稼げたこと。
「女子高生デートクラブ」という珍しい風俗に興味を抱いた男性たちが、次々とやってくるのです。
そのうちのひとりやふたり……どころか、10人でも20人でも「わたしはウリはしないんで」と断ったところで、痛くも痒くもない。
それにどちらにしても、「わたしはウリはしてないけど、してるコもいるのはいますよ。そっちのが多いかも?」なんて情報を与えれば、「そうか。じゃあ、次に賭けよう」と希望を持って、また店に訪れてくれるのです。

選ばれる快感に潜む「葛藤」

 もうひとつの理由としては、「女子高生デートクラブ」に出入りをする目的は、必ずしも「お金を稼ぎたかったから」とではなかったからです。
そもそも、部活や恋愛といった、校内での活動が充実していれば、デートクラブになんて出入りしません。
そういった皆がしていることに、あまり興味を持てないタイプの女のコ……当時、いわゆる“コギャル”と呼ばれていた女のコたちが、デートクラブには、多く集まっていました。

 コギャルたちの関心といえば、ファッション、メイク、パーティー、男、セックス、そしてドラッグ。
そして、“界隈”で、どれだけ知られているか、どれだけ顔が利くか、どれだけ知り合いがいるかが、そのポジションの証明となる。
だから、デートクラブに出入りしている女のコたちは、デートをしてお金を稼ぐことと同じくらいに、そこで出会う女のコたちと交流を深めることに夢中になっていたのです。

 お金が一切、掛からず、お菓子やジュースもあり、時折、訪れる男性と30分か1時間か外でお茶を飲んだりカラオケをするだけで最低五千円が手に入る。
もちろん、身体を触られたり、いやらしいことを言われたりと、嫌な目に合うこともありましたが、「そういうの、無理なんで」と断って帰る事も出来る。
それだけでも、十分にデートクラブに出入りするに値しましたが、わたしが「女子高生デートクラブ」にハマったのは、もうひとつ理由がありました。

 それは、「指名される」という快感です。
マジックミラー越しに中にいる女のコを品定めした男が、「わたしを選ぶ」こと。
それは快感でした。
例え「エロそう」「ヤレそう」という印象からわたしを選んだのであってもそこにいる幾人かの女のコの中から、自分が選ばれるのは気持ちのいい行為でした。
そして、おそらく、それを感じていたのは、わたしだけではないと思うのです。

「ピンポーン」とインターフォンが鳴ると、それまで髪の毛を電気コテで巻いたり、マニキュアを塗ったり、プリクラ帳を見せ合ったりと、思い思いのことをしていた女のコたちの間に、一瞬、緊張が奔ります。「はーい。どうぞ」と受付の男性が玄関の扉を開けた後、入ってきた男が会員登録を済ませるまでのくぐもった声色と衣擦れ。
シャッというレールが擦れる音でカーテンが開いたことを知り、こちらをじっと値踏みして眼差す男の視線を感じながら、わたしたちは、何も気づいていない素振りで、今まで通り、自由奔放にふるまい続けます。

 やがて再びカーテンが閉める音の後にヒソヒソと抑えた声が聞こえ、男が再び廊下の向こうに消えていった後、誰かの名前が呼ばれ、呼ばれなかった残りの女たちは、小さくそっと息を吐く。
指名された女は、込み上げる優越感を少し恥ずかしく思いながら、「キモいオッサンだったら嫌だなー」としぶしぶといったふうを装い、しかし、心の中では、五千円で何が買えるか、何を買おうかと素早く算段をする。
なぜ父親ほどの男たちに欲情されるのかを理解できないまま、思春期の女の体臭と、まるで似合わない海外ブランドの香水と、スナック菓子のにおいが入り混じった狭い部屋を出て、「わたしを選んでくれた男」の元へと向かう。

 けれど、誇らしい気持ちでいるのもわずかの間のこと、すぐにそれは「ちょっと違う」となります。
なぜなら、男が選んだのは、「マジックミラーの向こうから見たわたし」でしかなく、男は「本当のわたし」のことは知らないんです。
知らないくせに、わたしを選ぶだなんて、どういうつもりなのか。
苛立ちながらも、「選ばれる」という快感は捨てられない。

――「選ぶ」快感を知った今になっても「選ばれる快感」はまだわたしを手離してはくれません。
選ばれることに対する苛立ちも。

…次回は《口コミから生まれる「パパ」と「女子高生」の池袋ネットワーク》をお届けします。


Text/大泉りか

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ライタープロフィール

大泉りか
キャバ嬢、SMショーのM女、ボディペインティングのモデルなどの経歴を経て、現在は官能小説家、ライトノベル作家。

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